幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

YōkaiNo.153

日本の妖怪狐火(きつねび)火のあるはずのない夜の野に、ぽうっと灯る火。狐が人の骨をくわえて息を吐くと火になる?——明治の妖怪学者・井上円了は「はなはだ疑わしい」。箱根の夜道で円了自身が見た「怪火」の正体は、マッチを擦る電報の配達人だった

狐火は、夜の野山に見える、だれがともしたのかわからない火です。井上円了は『迷信解』(明治37年)で、狐火・鬼火・竜灯・天狗火などの「怪火」を取りあげ、見まちがい(誤怪)や人のいたずら(偽怪)が多いこと、それを除いた本当の怪火も燐の光だろうと説明しました。『おばけの正体』(大正3年)には、円了が箱根で見た怪火の正体や、山腹の鬼火、大和の「蜘蛛火」の正体の話も。青空文庫の本文で紹介します。

2026年10月22日

目次
  1. プロフィール(井上円了『迷信解』『おばけの正体』より)
  2. 「人の骨をくわえて息を吐く」?
  3. 怪火の多くは「見まちがい」と「いたずら」
  4. 箱根の夜道で円了が見た火
  5. 山腹の鬼火と「蜘蛛火」
  6. 円了の結論:「燐の火」
  7. この妖怪の読みどころ
  8. まとめ

プレ男狐火って、狐の嫁入りの行列のあかりのこと?

メル美夜の野原に見える、ふしぎな火のことみたい。明治の学者が、その正体をいろいろ調べているんだって。

日本の妖怪、今回は狐火(きつねび)です。妖怪を研究した井上円了の『迷信解』(明治37年)と『おばけの正体』(緒言は大正3年)で、青空文庫の本文を読みました。円了は、狐火を「火のあるまじき所に火光を見る」怪火のひとつとして取りあげています。

プロフィール(井上円了『迷信解』『おばけの正体』より)

名前 狐火
なかま 鬼火、竜灯、天狗火、不知火、蓑火など、「怪火」とよばれるもの
言い伝え 狐が人の骨を口にくわえて息を吐くと、火になってあらわれる
円了の見立て 言い伝えは「はなはだ疑わしい」。見まちがいや人のいたずらが多く、それを除いた本当の怪火も、空中にただよう燐の火だろう

「人の骨をくわえて息を吐く」?

怪火の多くは「見まちがい」と「いたずら」

箱根の夜道で円了が見た火

メル美「幽霊の正体見たり枯れ尾花」のもじりだね。円了先生、ちゃんとオチをつけてる。

山腹の鬼火と「蜘蛛火」

円了の結論:「燐の火」

井上円了は、狐が人の骨をくわえて火を出すという説を「はなはだ疑わしい」とし、怪火の多くは見まちがいや人のいたずらだと書きました。箱根で円了自身が見た火の正体も、マッチを擦る電報の配達人でした。

この妖怪の読みどころ

まとめ


参考文献

  1. 井上円了. 迷信解「第三段 狐惑、狐憑きのこと」「第一二段 怪火、怪音および異物のこと」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/card49373.html (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 井上円了. おばけの正体「第四項 空き小屋の光り物」「第一五項 鬼火の正体」「第一六項 蜘蛛の火」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/card49355.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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  1. 東京の街王子稲荷神社で、狐の伝説と広重の浮世絵の世界をたどるデート平安時代に「関東稲荷総司」の称号を受けたと伝わる稲荷神社。朱塗りの社殿は11代将軍家斉の寄進。大晦日に狐が装束を整えて参詣したという言い伝えを再現する「王子狐の行列」。落語「王子の狐」の舞台。王子駅北口から徒歩5分
  2. 妖怪不知火(しらぬい)夏の終わりの真夜中、八代海の沖に、だれがともしたのかわからない火が並んで明滅する。明治・大正の井上円了は「潮の打ち合う光」と考え、令和の高校生は「空気のレンズ」で光が曲がる蜃気楼の一種と観測した
  3. 怪談田中貢太郎の短い怪談2編夜の田んぼ道で鬼火を追いかけた武士。火玉は一軒の農家の小窓へ——「お武家さんが見つけて、斬りに来たから」(鬼火を追う武士)。亡くなった母親が子どもの枕もとへ来ようとして、裾にふれた炭取りがぐるりと動いた(炭取り)