幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

YōkaiNo.154

日本の妖怪偽汽車(にせぎしゃ)夜の野原を走る汽車の前から、火を吐き汽笛を鳴らして、来るはずのない列車が向かってくる。止まれば止まり、走れば走る。思いきって突っこむと手ごたえがなく、翌朝、線路には古ギツネが——明治の鉄道とともに広まった新しい妖怪

汽車に化けて本物の汽車をまどわす狐や狸の話は、明治に鉄道が開けるとともに各地で語られるようになりました。岩手の佐々木喜善は『東奥異聞』(1926年)の「偽汽車の話」で、陸中の後藤野の話や、大正10年の新聞に載った信州の山中の話を紹介し、「ごく新しい口碑」がなぜこれほど広がったのかを考えています。妖怪を研究した井上円了は、同じような「狐の汽笛」の話を、遠くの汽車の汽笛の聞きちがいだと説明しました。どちらも青空文庫の本文で読みます。

2026年10月22日

目次
  1. プロフィール(『東奥異聞』「偽汽車の話」より)
  2. 「どこでも同じすじ」の話
  3. 大正10年の新聞記事
  4. 「船幽霊」とのちがい
  5. 本場では「知らない」と言われる
  6. 井上円了の説明:「狐の汽笛」
  7. この妖怪の読みどころ
  8. まとめ

プレ男狐が汽車に化ける!?妖怪って、もっと昔からいるものだと思ってた。

メル美明治の鉄道といっしょに生まれた、新しい言い伝えなんだって。

日本の妖怪、今回は偽汽車(にせぎしゃ)です。佐々木喜善(1886〜1933年)の『東奥異聞』(初出は1926年、閑話叢書・坂本書店)の「偽汽車の話」を中心に、井上円了の『おばけの正体』と『迷信解』にある同じような話もあわせて、青空文庫の本文で読みます。

プロフィール(『東奥異聞』「偽汽車の話」より)

名前 偽汽車
あらわれる場所 汽車が通るようになった野原や山あいの線路。岩手県二戸郡の大野、陸中の後藤野、仙台に入って小牛田、栃木の那須野ヶ原など
時刻 いつも夜行のとき。朧月の夜の話も
すること 火を吐き汽笛を鳴らして向かってくる。こちらが止まれば止まり、走れば走る
正体 話の結末では、きまって古ギツネ(狐狸のしわざ)
生まれた時代 佐々木によれば「ごく新しい最近にできた話」で、明治十二、三年から二十年前後のころのもの

「どこでも同じすじ」の話

メル美こわいけど、最後の狐はちょっとかわいそう…。

大正10年の新聞記事

「船幽霊」とのちがい

本場では「知らない」と言われる

佐々木喜善は、偽汽車の正体を説明するより、「どうしてそんな話がこれほど広まったのか」を問いました。本場とされる村では「知らぬ、よその話だ」と言われるのに、話は鉄道とともに遠くまで広がっていったからです。

井上円了の説明:「狐の汽笛」

この妖怪の読みどころ

まとめ


参考文献

  1. 佐々木喜善. 東奥異聞「偽汽車の話」(底本:『世界教養全集 21』平凡社、1961年。初出:『東奥異聞』閑話叢書、坂本書店、1926年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000263/card53817.html (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 井上円了. おばけの正体「第二一項 汽笛にだまされた話」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/card49355.html (閲覧日:2026年10月22日)
  3. 井上円了. 迷信解「第二段 狐狸のこと」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/card49373.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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