幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

Ghost StoriesNo.172

岡本綺堂「笛塚」天保のはじめ、月の河原。笛の名手の若侍が、芒のかげの乞食小屋から聞こえる笛の音にひきよせられた。「拙者はこの笛に祟られているのでござる」——持ち主から持ち主へ、禍いを運んだ一管の名笛

岡本綺堂『青蛙堂鬼談』の一編「笛塚」(初出『苦楽』1925年1月)。北国のある藩の19歳の若侍・矢柄喜兵衛は、月夜の河原で、乞食に身を落とした浪人・石見弥次右衛門が吹く世にもまれな名笛に出会います。弥次右衛門が語った笛の因縁。それでも笛がほしくてたまらない喜兵衛が、その夜したこと。そして7年後、笛の中から出てきた文字とは。青空文庫の本文で、あらすじと読みどころを紹介します。

2026年10月22日

目次
  1. どんな話?
  2. まくら:『耳袋』の家老
  3. 月の河原の笛の音
  4. 弥次右衛門が語った笛の因縁
  5. 喜兵衛がその夜したこと
  6. 夜明けの河原
  7. 7年目の秋、笛の中の文字
  8. 笛塚
  9. 読みどころ
  10. まとめ

※この作品には、人を斬る場面、自ら命を絶つ場面、切腹の場面が出てきます。

メル美今回は「笛」の怪談。名刀にまつわる因縁話はよく聞くけど、笛は初めてかも。

プレ男どうしても手に入れたいもの、ってあるよね…。それが禍いのもとだったら、こわいな。

今回は、岡本綺堂の「笛塚」です。怪談集『青蛙堂鬼談』の一編で、青空文庫の本文(底本:『影を踏まれた女 岡本綺堂怪談集』光文社時代小説文庫、1988年)で読みました。初出は『苦楽』1925年(大正14年)1月です。

どんな話?

題名 笛塚
作者 岡本綺堂
収録 『青蛙堂鬼談』
初出 『苦楽』1925年(大正14年)1月
語り 青蛙堂の怪談会で11番目に話す男。北国の出身で、自分の藩に伝わる話をする
舞台 天保のはじめ、北国のある藩の城外の河原
主な人物 若侍・矢柄喜兵衛(19歳)/乞食に落ちた浪人・石見弥次右衛門(27、8歳)

まくら:『耳袋』の家老

月の河原の笛の音

弥次右衛門が語った笛の因縁

プレ男禍いのもとだとわかってても、手放せないんだ…。

喜兵衛がその夜したこと

夜明けの河原

7年目の秋、笛の中の文字

切腹の前に吹いた笛は、曲の終わりに二つに裂け、中には「九百九十年 終 浜主」と刻まれていました。その990年目が、ちょうどその年にあたっていたのです。

笛塚

読みどころ

まとめ


参考文献

  1. 岡本綺堂. 青蛙堂鬼談(「笛塚」を収録。底本:『影を踏まれた女 岡本綺堂怪談集』光文社時代小説文庫、光文社、1988年。初出:「笛塚」『苦楽』1925年1月). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000082/card1307.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

Further Reading次に読む

  1. 怪談岡本綺堂「猿の眼」明治のはじめ、上野広小路の夜店で、落ちぶれた士族から買った木彫りの猿の面。見つかったとき、その両眼は白い布で目かくしされていた。隅田川ぞいの離れに泊まった客の夜、柱の面の眼が青い火のように光る
  2. 怪談岡本綺堂「兜」関東大震災で家財をすべて焼かれた一家に、ひとつだけもどってきた古い兜。届けにきたのは、左の眼の下に小さい痣のある女——幕末の辻斬りから彰義隊の落武者まで、60年にわたって人の手をめぐった兜の因縁話
  3. 怪談幸田露伴「幻談」江戸の海で、夕暮れの水の中からひょいひょいと出ては引っこむ細い棒。船頭が手につかむと、それは見事な釣竿で、その根もとを握っていたのは——「ヤ、お客さんじゃねえか」