幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

YōkaiNo.184

日本の妖怪ギバ(頽馬・提馬風)夏の日盛り、旋風のようなものが来て、馬のたてがみが一本一本立ち、赤い糸のような光がさしこむと、馬はまもなく倒れる。玉虫色の小さな馬に乗った女が馬の顔に組みつく、とも——寺田寅彦は「空中の放電では」と考えた

ギバは、馬を襲って倒してしまうと言われた魔物で、「頽馬(たいば)」「提馬風(たいばふう)」とも呼ばれました。物理学者の寺田寅彦は随筆「怪異考」(昭和2年)で、磯清『民俗怪異篇』の記述をもとに、たてがみが立つ、赤い光がさしこむ、玉虫色の光が馬の首をつつむ、夏の日中に多い、馬の首に布をかぶせると助かる、といった言い伝えが、セントエルモの火のような空中の放電と考えるとよく説明できる、という仮説を書きました。青空文庫の本文で紹介します。

2026年10月22日

目次
  1. プロフィール(寺田寅彦「怪異考」より)
  2. 2つの言い伝え
  3. いつ、どこで、どう防ぐか
  4. 寺田の仮説:旋風ではなく「放電」
  5. 「馬は感電に弱い」
  6. この妖怪の読みどころ
  7. まとめ

プレ男ギバ?はじめて聞く妖怪だ。

メル美人じゃなくて、馬をねらう魔物なんだって。物理学者の寺田寅彦が、正体を考えているよ。

日本の妖怪、今回はギバです。物理学者・寺田寅彦の随筆「怪異考」(昭和2年『思想』)を、青空文庫の本文で読みました。寺田は、ギバについての知識は、磯清『民俗怪異篇』の記事から得ただけで、自分で調べたわけではない、と断っています。

プロフィール(寺田寅彦「怪異考」より)

名前 頽馬(たいば)、提馬風(たいばふう)。濃尾地方では「ギバ」
ねらうもの 馬。襲われた馬は倒れて死ぬ
出るとき 4月から7月(美濃では5・6月に多い)。晴れたり曇ったりする日の、日盛り
出る所 一里塚のような、決まった場所が多い
身の守り方 襲われたら、半纏・風呂敷・むしろなどを馬の首からかぶせる。ふだんは馬に腹当てをさせる
寺田の見立て セントエルモの火のような、空中の放電と関係があるのでは

2つの言い伝え

メル美玉虫色の小さな馬に乗った女の人……。こわいけど、絵になりそうな妖怪だね。

いつ、どこで、どう防ぐか

寺田の仮説:旋風ではなく「放電」

「馬は感電に弱い」

寺田寅彦は、ギバの言い伝えにある「たてがみが立つ」「赤い光がさしこむ」「夏の日中に多い」「首に布をかぶせると助かる」といった点が、空中の放電と考えるとよく説明できる、と書きました。そのうえで、確かめるには野外での正確な観察を待つ必要がある、としています。

この妖怪の読みどころ

まとめ


参考文献

  1. 寺田寅彦. 怪異考(昭和2年11月『思想』). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2344.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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  1. 妖怪孕(はらみ)のジャン高知の浦戸湾、夜半に「ジャーン」と鳴りひびいて海の上を過ぎていく、だれも姿を見たことのないもの。それが通ると魚がさわいで、その夜はもう釣れない——物理学者・寺田寅彦は「地鳴りではないか」と考えた
  2. 妖怪鎌鼬(かまいたち)道を歩いていると、急に鎌で切ったような傷ができている。血は流れず、痛みも少ない——明治の井上円了は「越後に最も多い」と書き、物理学者の寺田寅彦は「旋風に飛ばされた木や竹のかけらが当たるのでは」と考えた
  3. 妖怪オシラサマ娘と馬の悲しい恋から生まれた神。『遠野物語』69話では、馬の首に乗ったまま娘は天へ。桑の木で作った神像は「姉神・妹神」の3体だった