幽々奇譚A Nocturnal Field Guide

YōkaiNo.190

日本の妖怪海坊主(うみぼうず)霧の夜の九十九里の沖にあらわれた大入道は、歩けば歩き、止まれば止まり、手をあげれば手をあげた——井上円了が記録した正体は「霧にうつった自分の影」。泉鏡花が語った房州の黒い坊主、漁師が見た「顔の長さ四尺」の海坊主も

海坊主は、海の上にあらわれる大きな坊主頭の化け物です。井上円了は『おばけの正体』で、上総・九十九里の浜で「海亡魂」とさわがれた大入道の正体が、濃い霧に提灯の光でうつった自分の影だったという小学校長の話を記録しました。田中貢太郎は泉鏡花から聞いた房州の海坊主の話を、土田耕平は北の海で漁師をしていた老人から聞いた海坊主の話を書いています。青空文庫の本文で紹介します。

2026年10月22日

目次
  1. プロフィール(三つの本より)
  2. 九十九里の大入道は「自分の影」だった
  3. 円了が集めた、海と川の「亡魂」
  4. 泉鏡花が語った、房州の黒い坊主
  5. 漁師が見た「顔の長さ四尺」の海坊主
  6. この妖怪の読みどころ
  7. まとめ

プレ男海坊主って、海からぬーっと出てくる、つるつる頭の巨人でしょ?

メル美明治の学者の記録だと、その巨人の正体は「自分の影」だったんだって。

日本の妖怪、今回は海坊主(うみぼうず)です。妖怪を研究した井上円了の『おばけの正体』(緒言は大正3年)、田中貢太郎の「海坊主」、土田耕平の「海坊主の話」(『鹿の眼』大正13年)を、青空文庫の本文で読みました。

プロフィール(三つの本より)

名前 海坊主。九十九里では「海亡魂(うみぼうこん)」とも(円了)
姿 海の上の大坊主・大入道。土田の話では、顔の長さが四尺(約1.2m)、目をとじて口を少しあけ、胸から上を海の上に出す
出るとき 霧の夜(円了)、時化の夜(田中)、雨の日に限る(土田の話の老人)
出る所 老人によると、船が沈んで人がたくさん死んだ場所
円了の見立て 濃い霧に、提灯の光で自分の姿がうつったもの

九十九里の大入道は「自分の影」だった

プレ男手をあげたら、海坊主も手をあげる……。ちょっと笑えるけど、夜の海で見たら絶対こわい!

円了が集めた、海と川の「亡魂」

泉鏡花が語った、房州の黒い坊主

漁師が見た「顔の長さ四尺」の海坊主

井上円了が記録した九十九里の「海亡魂」の大入道は、歩けば歩き、手をあげれば手をあげる、霧にうつった自分の影でした。円了は、霧に姿がうつることは深い山でもあり、昔の人はそれを海坊主や山男と名づけて妖怪にしてしまった、と書いています。

この妖怪の読みどころ

まとめ


参考文献

  1. 井上円了. おばけの正体「第二〇項 海上の幻影」「第七一項 川亡魂」「第一〇三項 幽霊灯台」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/card49355.html (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 田中貢太郎. 海坊主. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000154/card45524.html (閲覧日:2026年10月22日)
  3. 土田耕平. 海坊主の話(『鹿の眼』古今書院、大正13年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001179/card45141.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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  1. 妖怪船幽霊(ふなゆうれい)船のない海に船の形が見え、櫓の音や人の呼び声が聞こえる。小泉八雲が伯耆の海で聞いたのは、盆の16日の夜、海からのびる長い手と「桶をくれ」の声。渡す桶は、底を抜いてから
  2. 妖怪不知火(しらぬい)夏の終わりの真夜中、八代海の沖に、だれがともしたのかわからない火が並んで明滅する。明治・大正の井上円了は「潮の打ち合う光」と考え、令和の高校生は「空気のレンズ」で光が曲がる蜃気楼の一種と観測した
  3. 妖怪狐火(きつねび)火のあるはずのない夜の野に、ぽうっと灯る火。狐が人の骨をくわえて息を吐くと火になる?——明治の妖怪学者・井上円了は「はなはだ疑わしい」。箱根の夜道で円了自身が見た「怪火」の正体は、マッチを擦る電報の配達人だった