
プレ男那須の「殺生石」が割れて、封印されてた九尾の狐が出てきた!ってニュース、見たことある!

メル美名前がこわいよね。「殺生」って、本当に生き物が死ぬ石なの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、栃木県那須町の殺生石(せっしょうせき)です。那須町の公式サイト、那須町観光協会の発表、内閣府の防災広報誌、観光庁の多言語解説文をもとに見ていきます(2026年10月22日に閲覧)。
どこにある、どんな石?
- 那須町によると、殺生石は、那須岳の丘陵が湯本温泉街にせまる斜面の、湯川にそったところにあります。「九尾の狐」の伝説にまつわる史跡で、狐が化身したといわれる大きな岩のまわりには、いまも独特な硫黄のにおいがただよっています
- 平成26年(2014年)3月18日、「おくのほそ道の風景地」の一群をなすものとして、国の名勝に指定されました(那須町)
- 観光庁の解説文によると、殺生石は1957年に栃木県の指定文化財になっています。また、石にはしめ縄と紙垂(しで)が巻かれています
伝説:玉藻の前と九尾の狐
那須町の公式サイトが紹介している伝説は、こうです。
- 平安の昔、帝の愛する妃に「玉藻の前」という美人がいました。じつは天竺(インド)、唐(中国)から飛んできた九尾の狐の化身でした
- 帝は日に日に弱り、床にふせるようになります。陰陽師の阿倍泰成がこれを見やぶり、上総介広常と三浦介義純が狐を追いつめて退治しました
- すると狐は巨大な石に化身し、毒気をふりまいて、通る人や家畜、鳥や獣に被害をおよぼしました
- やがて源翁和尚が一喝すると、石は三つに割れて飛び散り、一つがここに残った。それが「殺生石」だと伝えられています
観光庁の解説文では、狐が仕えたのは鳥羽上皇(1103〜1156年)の宮廷とされ、源翁(1329〜1400年)が大きな金槌で石を三つに打ちくだき、一つは福島県に、一つは広島に飛んで、最後の一つがその場に残った、と紹介されています。中国の古い本に出てくる九尾の狐の話は、世界の幻獣「九尾の狐」でくわしく書いています。

メル美伝説の中で、石はもう一度「割れて」いたんだ。
2022年3月、石が二つに割れた
- 那須町観光協会の発表によると、殺生石が割れたことを受けて、2022年3月26日に「九尾狐 那須殺生石 慰霊祭並びに平和祈願祭」が史跡・殺生石でひらかれました。発表には「割れた殺生石(2022.3.5撮影)」の写真がのっています
- 観光協会は、石が割れた一件が、よみがえった瑞獣・神獣の九尾の狐による、コロナの収束や世界平和などへの吉兆となるよう願いをこめて行う、と書いています。神事は那須温泉神社がおこないました
- つまり地元は、「封印がとけた」とこわがるのではなく、「よいことの前ぶれになりますように」と祈る形で受けとめたのです

プレ男「呪いの復活」じゃなくて「吉兆になりますように」かあ。地元の人の受けとめ方、かっこいい。
「殺生」の正体は、火山ガス
- 内閣府の防災広報誌『ぼうさい』によると、那須岳は栃木県と福島県の県境にある火山群で、いちばん新しい茶臼岳(1,915m)の活動が続いています。茶臼岳のまわりにはいまも絶えず火山ガスを噴き出している場所があり、山麓の那須温泉近くにある「殺生石」もその一つです
- 観光庁の解説文は、伝説の一部は科学で説明できると書いています。石は、二酸化硫黄と硫化水素のガスを出す火山の噴気のそばにあります。噴き出す蒸気で地面があたたまるので、とくに冬には岩のまわりに小さな動物が集まり、有毒な煙が眠っている動物を死なせてしまう、というのです
- 那須町によると、松尾芭蕉もこの地を訪れ、『おくのほそ道』に「殺生石は温泉の出づる山陰にあり。石の毒気いまだ滅びず、蜂蝶のたぐひ真砂の色の見えぬほど重なり死す」と書き、「石の香や 夏草赤く 露あつし」と詠みました

殺生石のまわりでは、いまも二酸化硫黄や硫化水素をふくむ火山ガスが出ています。「近づいた生き物が死ぬ石」という伝説の背景には、この火山ガスがあると観光庁の解説文は説明しています。
見学するなら:火山ガスの注意と、マナーと法律
- 火山ガスが出ている場所です。内閣府と観光庁の資料のとおり、石のまわりではいまも火山ガスが出ています。決められた通路から外れない、立入りを禁じた場所に入らない、気分が悪くなったらすぐにその場をはなれる、を守りましょう
- 火山の最新の情報は、気象庁の「那須岳の噴火警報・予報」で確かめてから出かけましょう
- 立入禁止の場所に入らない。軽犯罪法1条32号は、入ることを禁じた場所に正当な理由なく入った人を、拘留または科料にすると定めています
- 石をけずる・持ち帰る・しめ縄にさわる、をしない。殺生石は国の名勝です。文化財保護法196条は、史跡名勝天然記念物の現状を変えたり保存に影響する行為をしたりして、滅失・毀損・衰亡させた人を、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金にすると定めています
- 毎年5月には、狐の魂をしずめる「御神火祭」がおこなわれています(観光庁の解説文では5月の最終日曜日。那須温泉神社から殺生石へ、たいまつを持った人たちが向かう夜の行事)。行事の日は、地元の人の祈りの場であることを忘れずに
まとめ
- 殺生石は、那須町湯本の斜面にある九尾の狐の伝説の石。2014年3月18日に「おくのほそ道の風景地」として国の名勝に
- 伝説では、玉藻の前に化けた九尾の狐が退治されて石になり、源翁和尚が石を三つに割った
- 2022年3月、石が二つに割れているのが見つかり、那須町観光協会は「慰霊祭並びに平和祈願祭」をひらいて吉兆になるよう祈った
- 「殺生」の正体は、いまも出ている火山ガス(二酸化硫黄・硫化水素)。芭蕉も蜂や蝶が重なって死ぬようすを書いた
- 通路から外れず・石にさわらず・火山の情報を確かめて。東京の「祟り」の伝説は将門塚、将門の伝説が残る千葉の竹藪は八幡の藪知らずもどうぞ
参考文献
- 那須町. 国指定名勝「殺生石(せっしょうせき)」と那須伝説「九尾の狐」(ページ番号P-000398). https://www.town.nasu.lg.jp/0224/info-0000000398-1.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 一般社団法人那須町観光協会. 九尾狐 那須殺生石 慰霊祭並びに平和祈願祭について 2022年3月26日(土)開催(2022年3月23日、共同通信PRワイヤー). https://kyodonewsprwire.jp/release/202203238956 (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府(防災担当). 広報誌「ぼうさい」平成24年度「日本の火山 vol.23 那須岳 [栃木県・福島県]」. https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h24/68/volcano.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 観光庁. 地域観光資源の多言語解説文データベース 殺生石の解説文(日本語文PDF). https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/common/001556787.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 軽犯罪法(昭和23年法律第39号)第1条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039 (閲覧日:2026年10月22日)
- 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第196条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0100000214 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

