
メル美双極性障害で治療中の友だちが、「赤ちゃんがほしいけど、薬は全部やめたほうがいいよね」って言ってたの。

プレ男赤ちゃんのためにやめたい気持ちはわかるけど、やめて大丈夫なのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、双極性障害・統合失調症があって妊娠を考えたときの話です。日本産婦人科医会の研修ノート「No111 合併症妊娠」の「双極性障害」「統合失調症」(医師向け)をもとにまとめました。
双極性障害:妊娠中も薬を続けるのが原則
研修ノートによると、
- 双極性障害は、気分が異常に高まる時期(躁)と、気分が落ちこむ時期(うつ)をくり返す病気です
- 治療や自然な経過でいったんよくなっても、再発しやすいため、薬と精神療法による再発の予防(維持療法)が大切です
- 維持療法をやめると再発のリスクが高まるため、妊娠中も薬を続けることが原則です
- とくに産後4週間以内は再発しやすく、再発すると産後精神病につながることがあり、入院が必要になることが多いとされています
- 妊娠の少なくとも6か月前から、安定した状態で維持療法を続けていることが求められています
産後精神病については、産後精神病を見てください。

双極性障害や統合失調症の薬は、自己判断でやめると再発しやすくなります。妊娠を考えはじめたら、精神科の主治医と産婦人科に相談して、妊娠前から準備しておきましょう。
統合失調症:自己判断で薬をやめる人が多い
研修ノートによると、
- 統合失調症は、幻覚や妄想などが中心で、長く続く病気のため、薬による治療を続けることが必要です
- 妊娠中に薬を自己判断でやめる人が多く、その結果、妊娠中からとくに産後の再発がふえ、産後うつや産後精神病につながることがあります
- 妊娠中の薬の治療では、食欲がふえて血糖値が上がりやすくなるので注意が必要です
- 妊娠前から、たばこやお酒などの生活習慣を見直し、薬を続けることを確認しておくことが、妊娠中の再発を減らすために大切だとしています

プレ男赤ちゃんのために薬をやめたつもりでも、かえって再発しやすくなるんだね。
産後は、休息と睡眠がとれるように
研修ノートによると、統合失調症のある人の産後は、再発や悪化を防ぐため、薬を続けることに加えて、育児の合間に休息や睡眠がとれるような育児の手助けを行うとしています。
パートナーや家族にできること
- 夜の授乳やミルクを交代するなど、お母さんがまとまって眠れる時間をつくる
- 「いつもとちがう」様子(眠れない、気分が極端に高い・低い、話がまとまらないなど)に気づいたら、ためらわずに主治医に連絡する
- 薬を続けることを責めずに、治療を続けることを応援する
産後うつについては、産後うつはママだけじゃないも見てください。
(更新)気分安定薬の添付文書では、バルプロ酸ナトリウム錠(2026年3月改訂)は、躁病・躁うつ病などの治療では妊婦に「治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと」(片頭痛の予防では投与しない)とされ、二分脊椎などの先天異常の報告があります。炭酸リチウム錠(2026年6月改訂)も、妊婦には「治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと」とされ、使う場合は周産期の管理ができる医療施設と連携し、血中のリチウム濃度をこまめに測るよう書かれています。どちらも、妊娠する可能性のある女性には、先天異常のリスクを十分に説明し、使うかどうかを慎重に判断するとされています。自己判断で薬をやめず、妊娠を考えはじめたら主治医に相談してください。
まとめ
- 双極性障害は再発しやすく、妊娠中も薬を続けるのが原則
- 産後4週間以内はとくに再発しやすい。産後精神病につながることも
- 妊娠の6か月以上前から、安定した状態で治療を続けておく
- 統合失調症も、薬を自己判断でやめると産後の再発がふえる
- 産後は、休息と睡眠がとれるように、まわりが手助けを
参考文献
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No111 合併症妊娠「(2)双極性障害:Bipolar disorder」「(3)統合失調症:Schizophrenia」. https://www.jaog.or.jp/notes/note20015/ (閲覧日:2026年10月10日)
- バルプロ酸ナトリウム錠 添付文書(2026年3月改訂 第4版). KEGG MEDICUS. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00071273 (閲覧日:2026年10月12日)
- 炭酸リチウム錠 添付文書(2026年6月改訂 第6版). KEGG MEDICUS. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070245 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。