ヨーロッパの先天梅毒が2009年以降で最多(ECDC、2024年):140件でほぼ倍増。妊娠初期の検査と28週までの治療がかぎ。梅毒がふえている地域では、妊娠28〜32週の再検査も
ヨーロッパの先天梅毒について、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の2024年の年次報告(2026年5月)をもとにまとめました。2024年、EU/EEAの14か国から140件の先天梅毒が報告され、2023年の78件からほぼ倍増し、2009年に監視を始めてから最多になりました。妊娠できる年代の女性の梅毒の増加と同時に起きています。治療していない早期梅毒の妊婦では、70〜100%で赤ちゃんに感染し、最大3分の1で死産になります。うつるのは妊娠28週以降が多く、それまでに適切に治療すればよく防げます。ECDCは、妊娠初期の検査と、リスクのある妊婦の妊娠28〜32週の再検査をすすめ、梅毒がふえている地域では全員への再検査も考えるべきだとしています。

メル美妊娠中に梅毒にかかると、赤ちゃんにうつることがあるんだよね。ヨーロッパでもふえてるの?

プレ男妊婦健診で検査しているのに、どうしてふえるんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、ヨーロッパの先天梅毒の話です。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の「Congenital syphilis - Annual Epidemiological Report for 2024」(2026年5月)をもとにまとめました。日本の先天梅毒は、先天梅毒を見てください。
先天梅毒とは
ECDCによると、
- 先天梅毒は、梅毒にかかった妊婦から、主に胎盤を通しておなかの赤ちゃんに梅毒がうつるものです
- 梅毒のどの時期でも、妊娠のどの時期でもうつりますが、治療していない早期梅毒の妊婦では、70〜100%で赤ちゃんに感染し、最大3分の1で死産になります
- うつるのは妊娠28週以降が多く、それまでに適切な治療をすれば、赤ちゃんへの悪い影響をよく防げます
2024年は140件、ほぼ倍増
ECDCによると、
- 2024年、EU/EEAの14か国から140件の先天梅毒が報告され、2023年の78件からほぼ倍増しました。2009年に監視を始めてから最多です
- ブルガリア、ハンガリー、ポルトガルの3か国で62%をしめましたが、ほかの国でもふえていて、広がりがみられるとしています
- 一方、14か国は0件で、6か国は過去10年間0件でした
- 増加は、妊娠できる年代の女性の梅毒の増加と同時に起きていて、女性の梅毒は20〜24歳と25〜34歳でもっとも多くなっています

先天梅毒は、妊娠中の検査と、早めの適切な治療で防げます。妊娠初期の検査で陰性でも、そのあとに感染することがあります。
なぜ防げなかったのか
ECDCによると、先天梅毒の多くは、
- 妊婦健診で梅毒の検査をしていない、陽性でも治療が不十分・されていない
- 若い年齢、移住の背景、薬物の使用など、社会的に弱い立場にあること
と関係していました。また、妊娠初期の検査で陰性だった、リスクのない妊婦が、そのあとに感染することもあります。

プレ男最初の検査で陰性でも、そのあとにうつることがあるんだね。パートナーの検査も大事なんだ。
ECDCのすすめ
ECDCは、
- すべての妊婦に妊娠初期の梅毒の検査を行い、陽性なら時期に合った治療を、できれば28週までに行う
- 梅毒にかかるリスクが高い妊婦には、妊娠28〜32週に再検査し、検査を受けていない人は出産時に検査する
- 妊娠できる年代の女性で梅毒がふえている地域では、リスクにかかわらず、全員に妊娠後期の再検査を考える
- 妊娠中の再感染を防ぐため、パートナーの検査と治療が欠かせない
としています。
妊娠前の検査は妊娠を考えたら、ふたりで性感染症の確認を、ヨーロッパの性感染症全体はヨーロッパでも性感染症が過去最多(2024年、ECDC)を見てください。
(更新)日本の「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」(平成27年厚生労働省告示第226号、こども家庭庁掲載資料)では、B型肝炎抗原検査、C型肝炎抗体検査、HIV抗体検査、梅毒血清反応検査は、いずれも妊娠初期に1回を目安とされていて、妊娠後期の再検査や、お産のときの迅速検査は基準の項目に入っていません。性器クラミジア検査は妊娠初期から30週までに1回です。自治体が独自に追加の検査を公費で行っているかどうかは確認していません。
2026年9月にまとめられた、妊婦のHIV・B型肝炎・梅毒の検査のヨーロッパの基準は、妊婦のHIV・B型肝炎・梅毒の検査、ヨーロッパの新しい基準(ECDC、2026年9月)を見てください。
まとめ
- 2024年のヨーロッパの先天梅毒は140件で、ほぼ倍増・過去最多
- 治療していない早期梅毒の妊婦では70〜100%が赤ちゃんに感染、最大3分の1が死産
- うつるのは28週以降が多い。それまでの治療で防げる
- 妊娠初期に陰性でも、あとから感染することがある
- ECDCは28〜32週の再検査とパートナーの検査・治療をすすめる
参考文献
- European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Congenital syphilis. In: Annual epidemiological report for 2024(May 2026). https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/congenital-syphilis-annual-epidemiological-report-2024 (閲覧日:2026年10月12日)
- 厚生労働省. 妊婦に対する健康診査についての望ましい基準(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)(こども家庭庁掲載資料、PDF). https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ae69f83a-d0b5-4d1a-a51f-54b6eabd44a7/aa6c59aa/20251028_policies_boshihoken_nimpukenshin_01.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
