先天梅毒:お母さんの梅毒が、おなかの赤ちゃんにうつる。2025年は四半期ごとに6〜13例、合わせて39例の届出。生まれたときは症状がなくても、成長してから目・耳・骨などに出ることも。妊娠前と妊婦健診の検査、パートナーの検査で防げる
先天梅毒は、妊娠中にお母さんが梅毒にかかっていると、胎盤を通しておなかの赤ちゃんにうつる病気です。国立健康危機管理研究機構の「感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要」によると、2025年の先天梅毒の届出は四半期ごとに9・13・11・6例、合わせて39例でした。日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」によると、生まれたときは症状がなく、成長してから知的障害、目の異常、難聴、歯や骨の異常で気づかれることもあります。妊娠前の検査、妊婦健診での検査、パートナーの検査と治療で防ぐことができます。

メル美梅毒が増えているってニュースで見たけど、妊娠中にかかると赤ちゃんにもうつるの?

プレ男パートナーが妊娠したら、ぼくも検査を受けたほうがいいのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、先天梅毒の話です。国立健康危機管理研究機構(国立感染症研究所)の「感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要」(2026年4月1日現在)と、日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」をもとにまとめました。妊娠中の梅毒については妊娠中の梅毒が増えているを見てください。
先天梅毒とは
日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」によると、
- 妊娠中にお母さんから赤ちゃんに梅毒がうつり、赤ちゃんが活動性の梅毒になったものを先天梅毒(先天性梅毒)といいます
- 胎盤ができる前の時期にうつることもありうると考えられています
- お母さんが梅毒にかかると、お母さん自身に症状がなくても、赤ちゃんに大きな影響があるため、救急の病気として扱うべきとされています
日本の届出の数
国立健康危機管理研究機構によると、先天梅毒の届出は次のとおりです(2026年4月1日現在の集計)。
| 時期 | 先天梅毒の届出 |
|---|---|
| 2025年 第1四半期 | 9例 |
| 2025年 第2四半期 | 13例 |
| 2025年 第3四半期 | 11例 |
| 2025年 第4四半期 | 6例 |
| 2026年 第1四半期 | 10例 |
2025年の4つの四半期を合わせると39例です。2023年は37例でした(妊娠中の梅毒が増えている)。
(更新)次の報告(2026年7月1日現在)でも、2025年第2〜第4四半期の先天梅毒の届出は13・11・6例、2026年第1四半期は10例で、4月1日現在の数と同じでした。2026年第2四半期は6例でした(第1四半期の2025年分は、7月1日現在の表には載っていません)。年報の確定値は確認していません。

先天梅毒は、お母さんが妊娠中に検査と治療を受けることで防げる病気です。妊婦健診の梅毒の検査は必ず受けてください。パートナーも一緒に検査を受けることが大切です。
生まれたときは症状がないことも
日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」によると、
- 先天梅毒は、症状が出やすい時期から、生まれて2年を境に早期と後期に分けられますが、その時期は重なっています。そのため、長く経過をみて、後期の先天梅毒を早く見つけることが大切です
- 大人の梅毒と同じように、生まれたときは症状がなく(潜伏梅毒)、あとから症状が出ることがあります
- 生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんから移った抗体の影響で、大人よりも診断がむずかしく、疑いの段階で治療を始めることもあります
- 成長の途中で、知的障害、目の異常、難聴、骨や歯の異常(歯のでき方の異常など)に気づかれて、先天梅毒と診断されることがあります
- まれに、大人になってから健診の梅毒の検査で陽性とわかり、先天梅毒だったと推測されることもあります
防ぐために
日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」によると、
- 妊娠する前に、梅毒の抗体検査を受けることの啓発が、もっとも大切だとしています(「プレコンセプションケア」って?)
- 妊娠初期の妊婦健診で梅毒の検査が陽性なら、すぐに数値を調べて、活動性の梅毒かどうかを判断します(妊婦健診で調べる感染症)
- 妊娠初期にかかっていなくても、妊娠中の性交でうつることがあるため、梅毒が流行しているときは、妊娠中期・後期(または出産直後)にもう一度検査することも検討の余地があるとしています
- 妊娠中の梅毒は、ペニシリン系の薬で治療します。日本産科婦人科学会の全国調査(2010〜2018年)では、早期梅毒を飲み薬のペニシリン系の薬で治療した場合、先天梅毒になった割合は0%だったと紹介されています

プレ男妊娠中にパートナーからうつることもあるんだね。妊婦さんだけじゃなくて、パートナーも検査を受けることが大事なんだ。
パートナーの検査と治療については、梅毒は治っても、またかかるも見てください。
(更新)国の「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」(平成27年厚生労働省告示第226号、こども家庭庁掲載資料)では、梅毒血清反応検査は妊娠初期に1回とされていて、妊娠中期・後期の再検査は基準の項目には入っていません。自治体が独自に公費で行っているかどうかは、引き続き確認していません。
梅毒のほかに赤ちゃんにうつる性感染症については、赤ちゃんにうつる性感染症(母子感染)にまとめています。
ヨーロッパの先天梅毒の増加と再検査のすすめは、ヨーロッパの先天梅毒が2009年以降で最多(ECDC、2024年)にまとめています。
世界の母子感染をなくす取り組みは、HIV・梅毒・B型肝炎の母子感染をなくす「トリプル・エリミネーション」を見てください。
国の届出の分析(2019〜2024年6月)については、先天梅毒の届出の分析(国、2025年10月公開)を見てください。
まとめ
- 先天梅毒は、妊娠中にお母さんから赤ちゃんに梅毒がうつる病気
- 2025年の届出は、四半期ごとに6〜13例、合わせて39例(2026年4月1日現在)
- 生まれたときは症状がなく、成長してから目・耳・骨・歯などの異常で気づかれることも
- 妊娠前の検査、妊婦健診での検査、流行時は妊娠中期・後期の再検査も
- 妊娠中にうつらないよう、パートナーも検査と治療を
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所. 感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要(2026年4月1日現在、PDF). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idss/target-diseases/syphilis/notification/syphilis2026q1.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 日本性感染症学会「梅毒診療の基本知識」作成ワーキンググループ. 梅毒診療の基本知識(PDF). https://jssti.jp/pdf/syphilis-medical_basicknowledge.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省. 妊婦に対する健康診査についての望ましい基準(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)(こども家庭庁掲載資料、PDF). https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ae69f83a-d0b5-4d1a-a51f-54b6eabd44a7/aa6c59aa/20251028_policies_boshihoken_nimpukenshin_01.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所. 感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要(2026年7月1日現在、PDF). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idss/target-diseases/syphilis/notification/syphilis2026q2.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
