赤ちゃんにうつる性感染症(母子感染):梅毒、B型・C型肝炎、HIV、性器ヘルペスなどは、お母さんから赤ちゃんにうつることがある。多くは、妊娠前・妊娠中にわかっていれば、治療や対策で防げる。まとめて確認
妊娠中やお産のとき、母乳などを通してお母さんから赤ちゃんに感染がうつることを母子感染といい、赤ちゃんに後遺症などを起こす感染症をまとめて「TORCH症候群」とよびます。日本産婦人科医会の研修ノート(医師向け)によると、梅毒は適切な抗菌薬の治療で先天梅毒を防ぐことができ、HIVは妊娠中の治療や帝王切開などの対策をすべて行うことで母子感染を防げます。B型・C型肝炎のウイルスをもっている女性は、お母さんのウイルス量が多いことが母子感染のリスクになるため、肝臓の専門医の受診がすすめられています。性感染症については、男女を問わず若い人への性教育と予防の啓発が重要だとしています。

メル美性感染症って、お母さんから赤ちゃんにうつることもあるんだよね。どんな病気があるのかな。

プレ男パートナーからうつって、それが赤ちゃんに……ってこともあるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、赤ちゃんにうつる性感染症(母子感染)の話です。日本産婦人科医会の研修ノート「No115 プレコンセプションケア」(医師向け)の「TORCH症候群」をもとに、性感染症に関係するものをまとめました。病気ごとのくわしい記事へのリンクもつけています。
TORCH症候群とは
研修ノートによると、お母さんの感染症が、おなかの中、お産のとき(産道)、母乳を通して赤ちゃんにうつり、神経の後遺症や将来の病気の原因になる感染症をまとめて「TORCH症候群」とよびます。トキソプラズマ、その他、風しん、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスの頭文字をとった呼び方です。
このうち、性感染症に関係するものを見ていきます。
梅毒
研修ノートによると、
- 梅毒にかかった妊婦さんでは、胎盤を通して赤ちゃんに感染し、流産・死産や先天梅毒が起こる危険があります
- 日本では2014年ごろから梅毒の報告がふえ、女性の梅毒がふえるのにともない、先天梅毒もふえる傾向にあります
- 梅毒には効く抗菌薬があり、適切な治療で先天梅毒を防ぐことができます。梅毒がわかった女性は、治ったと判定されるまで治療を受けるよう指導されます
- 日本の妊娠中の梅毒は、若い人に多く、感染源の多くはパートナーであることが特徴だとしています
くわしくは妊娠中の梅毒が増えている、先天梅毒を見てください。

梅毒は、適切な治療で先天梅毒を防ぐことができます。妊娠中の梅毒の感染源の多くはパートナーとされているので、パートナーもいっしょに検査と治療を受けてください。
B型・C型肝炎
研修ノートによると、B型・C型肝炎のウイルスをもっている女性が妊娠した場合、お母さんのウイルス量が多いことが母子感染のリスクになります。妊娠前からウイルスをもっていることがわかっていて、内科で経過をみてもらっていない場合は、肝臓の専門医の受診がすすめられています。
HIV
研修ノートによると、HIVがわかっている女性は、妊娠中も抗HIV薬でウイルス量を低くおさえる、陣痛が始まる前の帝王切開(ウイルス量が検出できないほど低く、対応できる施設では経腟分娩も考慮)、粉ミルクで育てる、赤ちゃんに抗HIV薬を予防投与するという対策をすべて行うことで、母子感染を防げることを伝え、こころの負担を軽くすることが大切だとしています。
くわしくはHIVと妊娠を見てください。
性器ヘルペス、クラミジア・淋菌
性器ヘルペス(単純ヘルペスウイルス)はTORCH症候群のひとつです。お産のときに赤ちゃんにうつる性感染症には、クラミジアや淋菌もあります。妊娠中の性器ヘルペス、赤ちゃんにうつるクラミジア・淋菌を見てください。

プレ男多くは、わかっていれば治療や対策で防げるんだね。だからこそ、妊娠前・妊娠中の検査が大事なんだ。
性教育と予防が大切
研修ノートでは、性感染症については、男女を問わず若い人への性教育と感染予防の啓発が重要だとしています。妊娠前の確認については、妊娠を考えたら、ふたりで性感染症の確認をを見てください。性感染症以外の母子感染(サイトメガロウイルスやトキソプラズマなど)は、妊娠中に気をつけたい「サイトメガロウイルス」と「トキソプラズマ」を見てください。
(更新)性器ヘルペスについては、WHOのファクトシート「Herpes simplex virus」(2025年5月30日)でも確認できます。新生児ヘルペスは、お産のときに赤ちゃんがヘルペスウイルスにふれることで起こり、世界で出生10万あたり約10人とまれですが、後遺症が残る神経の障害や死亡につながることもある重い病気です。リスクは、お母さんが妊娠後期にはじめて感染した場合に最も高いとされ、性器ヘルペスの症状がある妊婦は医療者に伝えるよう、また妊娠後期の新たな感染を防ぐことがとくに大切だとしています。クラミジア・淋菌の母子感染は、この追記では確認していません。
まとめ
- お母さんから赤ちゃんにうつる感染症をまとめてTORCH症候群という
- 梅毒:適切な治療で先天梅毒を防げる。感染源の多くはパートナー
- B型・C型肝炎:ウイルス量が多いとリスク。肝臓の専門医へ
- HIV:治療や帝王切開などの対策をすべて行えば、母子感染を防げる
- 妊娠前・妊娠中の検査と、若い人への性教育・予防が大切
参考文献
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No115 プレコンセプションケア「(2)TORCH症候群」. https://www.jaog.or.jp/note/no115_2_10_2/ (閲覧日:2026年10月10日)
- World Health Organization. Herpes simplex virus(Fact sheet, 30 May 2025). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/herpes-simplex-virus (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
