
メル美妊婦健診で、梅毒の検査もするんだね。症状もないのに、検査する意味ってあるのかな。

プレ男梅毒が増えてるって聞くけど、妊婦さんも増えてるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、妊娠中の梅毒の話です。梅毒は日本で大きく増えていて、妊娠中に梅毒と診断される人も増えています。国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)が2024年4月に公表した報告をもとにまとめました。
妊娠中の梅毒の届出が増えている
- 梅毒と届け出られた妊娠中の女性は、2019〜2021年は年間200例前後でしたが、2022年は267例、2023年は383例で、それぞれ前の年の1.4倍に増えました
- 2023年は、女性の梅毒の届出のうち、妊娠中の人の割合も7.2%に増えました
- 先天梅毒(お母さんから胎盤を通して赤ちゃんに感染)は、2019〜2022年は年間20例前後でしたが、2023年は37例と、1999年の感染症法の施行以降で最も多くなりました(梅毒)
- 報告は、先天梅毒の増加などから、妊娠中の梅毒の増加は本当に新しく感染する妊婦が増えている可能性があるとしています

プレ男先天梅毒が37例…。赤ちゃんにまで影響が出てるんだ。
どんな人が?:7割が20代、7割は症状なし
2022〜2023年の妊娠中の梅毒の特徴は、次のとおりです。
- 年齢:中央値は24歳。20〜24歳が約45%、25〜29歳が約25〜29%で、20代が約7割
- 症状:約7割が無症候(症状がない状態で見つかった)。妊娠していない女性では無症候は約3割で、大きくちがいます
- 見つかった時期:妊娠初期(0〜13週)に診断された人は2023年に59.0%と増えた一方、妊娠中期以降に診断された人も約4割いました
- 性風俗の仕事の経験:妊娠中の人では、経験がない人が、ある人の2倍以上でした。だれでもかかりうるということです
- 妊娠中の検査で陰性だったのに、あとで陽性になった人もいました(2022年1例、2023年4例)

妊娠中の梅毒の7割は、症状がないまま妊婦健診などの検査で見つかっています。治療すれば赤ちゃんへの感染を減らせるので、検査を必ず受けてください。
赤ちゃんへの影響と、治療
- 報告によると、梅毒にかかったお母さんから胎盤を通して赤ちゃんに感染すると、先天梅毒になることがあり、流産、死産、早産の原因になることもあります
- 一方で、妊娠中に適切な抗菌薬の治療を受ければ、赤ちゃんへの感染のリスクを下げられます
- 報告では、届出の自由記載から、流産(2022年3例、2023年2例)、死産(2022年11例、2023年9例)などが報告されていました(届出が求められている項目ではなく、梅毒が原因とは限りません)
治療や、治ったかどうかの確認は、梅毒と梅毒の血液検査の見方の記事を見てください。
妊婦健診の梅毒検査を必ず受ける
- 日本では、妊娠初期の妊婦健診で梅毒の検査を行うことがすすめられています(妊婦健診で調べる感染症)
- 報告は、妊婦健診を受けやすくする取り組みのほか、妊婦健診以外の場での検査、医師がリスクが高いと判断したときの妊娠中期・後期の再検査なども検討すべきだとしています
- 妊娠中に新しいパートナーができた、パートナーが梅毒と診断された、しこりや潰瘍、発疹などの症状が出た——そんなときは、妊娠初期の検査が陰性でも、主治医に伝えてもう一度検査を相談しましょう
パートナーにできること
- 梅毒は、パートナーからうつる病気です。妊娠中のパートナーを守るために、自分も検査を受け、妊娠中はコンドームを使いましょう(コンドームの正しい使い方)
- 妊婦さんが梅毒と診断されたら、パートナーも検査と治療が必要です。責め合わず、一緒に治すことが赤ちゃんを守ります(パートナーにどう伝える?)
先天梅毒の届出の数や、生まれたあとの経過については、先天梅毒にまとめています。
妊娠中の梅毒の治療(飲み薬と注射のちがい、治療のはじめの反応など)については、妊娠中の梅毒の治療にまとめています。
まとめ
- 梅毒と届け出られた妊娠中の女性は、2022年267例、2023年383例(それぞれ前年の1.4倍)。先天梅毒は2023年に37例で過去最多
- 妊娠中の梅毒は、7割が20代、7割が症状なし
- 妊娠中に治療すれば、赤ちゃんへの感染のリスクを下げられる
- 妊婦健診の梅毒検査を必ず受ける。パートナーも検査とコンドームを
参考文献
- 国立感染症研究所 感染症疫学センター. 感染症発生動向調査に基づく妊娠中の女性における梅毒の届出、2022〜2023年(2024年1月5日現在、2024年4月12日公開). 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idss/target-diseases/syphilis/2022-2023/index.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。