結膜炎と性感染症—目の充血・目やにとセックスの関係。アデノウイルスは尿道炎もおこす
目が赤い、目やにが出る——結膜炎の中には、性行為と関係するものがあります。いちばん多いのはアデノウイルスで、実は尿道炎もおこします。淋菌やクラミジアの結膜炎も含めて、うつり方と注意点をまとめました。

メル美目の充血と性感染症って、関係があるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 「目が真っ赤で、目やにが出る」——結膜炎というと、プールやはやり目を思い浮かべる人が多いと思います。でも実は、結膜炎の中には性行為と関係するものがあります。今回は、性感染症としての結膜炎についてお話しします。
性行為と関係する結膜炎
性行為の多様化によって、性感染症の原因となる病原体は、性器だけでなく、のどや直腸、そして目(結膜)からも見つかるようになっています。 性行為と関係する結膜炎の原因には、次のようなものがあります。
- アデノウイルス
- 淋菌
- クラミジア
実際の診療では、アデノウイルスによるものが圧倒的に多く、淋菌やクラミジアによる結膜炎を診ることは、あまりありません。
アデノウイルス—目にも尿道にもうつる
アデノウイルスは、「はやり目」と呼ばれる流行性角結膜炎の原因ウイルスです。
- ウイルスがついた手指や、タオルなどの共用物を介してうつります
- うつってから症状が出るまでは、8〜14日程度です
- まぶたの腫れや、涙が出る、充血などの症状が出ます
- 特効薬はなく、症状をやわらげる治療が中心です
アデノウイルスによる結膜炎が疑われるときは、眼科の受診をおすすめします。眼科では、目の分泌物を使って、アデノウイルスを調べる抗原検査(イムノクロマト法)を行うことができます。
アデノウイルスは、尿道炎もおこす
あまり知られていませんが、アデノウイルスは尿道炎もおこします。
- 尿道炎の人の約 2〜6.6% から、アデノウイルスが見つかると報告されています
- 症状は、強い排尿痛と、尿道の出口のまわりの赤み。分泌物は、ないか、あっても透明でさらっとしています
- 結膜炎をともなうことが多いのが特徴です
- 1〜2週間でよくなることが多く、経過は良好です
うつり方としては、次の3つが考えられています(どれも逆向きもあります)。
- のどから尿道へ(オーラルセックス):パートナーののどのウイルスが、尿道にうつる
- 腟や子宮頸部から尿道へ
- 目から手指を介して尿道へ:パートナーの目から、または自分の目から手指を介してうつる
オーラルセックスのあとに、尿道炎の症状が出て、そのあとにのどの痛みや結膜炎が出たという報告もあります。
アデノウイルスは、症状がなくなったあとも、しばらく尿やのどからウイルスが出ることがあります。よくなっても、すぐに油断しないでくださいね。
アデノウイルスの尿道炎の診断と治療
実際の診療では、アデノウイルスの尿道炎は、次のような点から総合的に診断します。
- 淋菌やクラミジアなど、ほかの尿道炎の原因が否定される
- 症状が強い(おしっこをするのをためらうくらい痛いことが多い)
- 結膜炎や咽頭炎をともなっている
アデノウイルスに効く薬はないため、治療は痛み止め(ロキソプロフェンなど)で症状をやわらげるのが中心です。多くは、2週間程度で症状がおさまります。
症状がなくなっても、ウイルスが出ていることがある
日本の研究では、アデノウイルスの尿道炎の人(32人)を追いかけたところ、尿道炎の症状が消えたあとも、最大12日間、尿から感染力のあるウイルスが見つかりました。研究者は、発症からおよそ1か月は、目やのど、ほかの人にうつさないよう注意が必要としています。 別の症例でも、症状が消えてから1週間以上、尿やうがい液からウイルスが見つかっています。
症状がよくなっても、しばらくはうつす可能性があると考えましょう。
セックスはいつから?
このサイトでは、次のようにおすすめしています。
- 症状が消えるまでは、セックスは控えましょう
- 症状が消えたあとも、発症からおよそ1か月は、コンドームを使うなど注意しましょう
ただし、コンドームでは、オーラルセックスによるのどへの感染や、手指を介した目への感染は防げません。手洗いをこまめにし、目や性器をさわった手で、相手の目や口にふれないようにしましょう。
淋菌・クラミジアの結膜炎
頻度は多くありませんが、淋菌やクラミジアが目に感染して、結膜炎をおこすこともあります。
- 淋菌の結膜炎:症状が強く出るのが特徴です。大人ではまれで、淋菌の治療(注射)に加えて、目を生理食塩水で洗うことがあります
- クラミジア:目やにから見つかることがあります。また、妊娠中にお母さんが感染していると、生まれた赤ちゃんが結膜炎や肺炎になることがあります。くわしくは クラミジアの記事をご覧ください
目の症状があるときに気をつけること
- 目をこすらない。目をさわった手で、性器をさわらない
- 手洗いをこまめにしましょう
- タオルや目薬は、自分専用にしましょう
- 性行為のあとに、目の症状と、排尿痛などの尿道炎の症状が一緒に出た場合は、そのことを医師に伝えましょう。尿道炎については 尿道炎のページをご覧ください
パートナーにも気をつけて
アデノウイルスは、のどや目、性器を行き来してうつります。パートナーにのどの痛みや結膜炎がないか、気にかけてあげましょう。

メル美性病になるより、修羅場になる方がヤバい!

プレ男責め合うより、2人で一緒に気をつけるのがいちばんの近道です。
まとめ
- 性行為と関係する結膜炎で、いちばん多いのはアデノウイルス
- アデノウイルスは、尿道炎もおこす。強い排尿痛と、結膜炎をともなうことが多い
- のど・腟・目から、手指やオーラルセックスを介して尿道にうつる(逆向きも)
- アデノウイルスに効く薬はなく、治療は痛み止めが中心。2週間程度でおさまることが多い
- 症状がなくなっても、しばらくウイルスが出ていることがある。症状が消えるまではセックスを控え、そのあとも発症から約1か月は注意
- 淋菌やクラミジアの結膜炎もあるが、まれ
- 目をこすらない、目をさわった手で性器をさわらない、手洗い、タオルは自分専用に
参考文献
- 花岡希, 藤本嗣人, 伊藤晋, 出口隆, 安田満. アデノウイルス性尿道炎について. 病原微生物検出情報(IASR)2017;38:145-146. https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/7382-449r09.html (閲覧日:2026年9月25日)
- Hanaoka N, et al. Human Adenovirus B7d–Associated Urethritis after Suspected Sexual Transmission, Japan. Emerg Infect Dis. 2020;26(10):2444-2447. https://doi.org/10.3201/eid2610.191538 (閲覧日:2026年9月25日)
- 国立健康危機管理研究機構. 流行性角結膜炎. https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ra/ekc/index.html (閲覧日:2026年9月25日)
- Hanaoka N, Ito S, Konagaya M, et al. Infectious human adenoviruses are shed in urine even after disappearance of urethral symptoms. PLoS One. 2019;14(3):e0212434. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0212434 (閲覧日:2026年9月25日)
- Bradshaw CS, et al. Etiologies of Nongonococcal Urethritis: Bacteria, Viruses, and the Association with Orogenital Exposure. J Infect Dis. 2006;193:336-345. https://doi.org/10.1086/499434 (閲覧日:2026年9月25日)
- 日本感染症学会・日本化学療法学会. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2018―男性尿道炎とその関連疾患―. 感染症学雑誌 2018;92(3):313-. https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC2018_maleurethritis1805.pdf (閲覧日:2026年9月25日)
- Centers for Disease Control and Prevention. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Gonococcal Infections Among Adolescents and Adults. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/gonorrhea-adults.htm (閲覧日:2026年9月25日)
- 国立健康危機管理研究機構. 性器クラミジア感染症(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/chlamydia-std/detail/index.html (閲覧日:2026年9月25日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
