
プレ男「カオス」のことを日本語で「混沌」っていうよね。あれも神話から来てるの?

メル美中国の古い本に、顔のない「渾沌」っていう帝が出てくるんだって。ちょっと切ないお話なの。
こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回は中国の渾沌(こんとん)と帝江(ていこう)です。『山海経(せんがいきょう)』西山経(郭璞の注をふくむ)と、『荘子(そうじ)』応帝王篇の原文(ウィキソース)を読みました。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

「帝江神図」(『古今図書集成』神異典より)18世紀前半、中国・清。版画。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | 帝江(『山海経』)、渾沌(『荘子』) |
| すみか | 天山。金と玉が多い(『山海経』) |
| すがた | 黄色いふくろのようで、赤い火のように光る。6本の足、4枚の翼 |
| 顔 | 「渾敦(こんとん)として、顔も目もない」 |
| とくい | 歌と舞を知っている |
| 『荘子』では | 中央の帝。7つの穴をあけられて死んだ |
1. 天山の神・帝江
『山海経』西山経です。
- 「さらに西へ350里、天山という。金と玉が多く、青い雄黄がある。英水がここから出て、西南に流れて湯谷にそそぐ」
- 「ここに神がいる。すがたは黄色いふくろのようで、赤いことは丹(に)の火のよう。6本の足と4枚の翼があり、渾敦として顔も目もない。歌と舞を知っている。これが帝江である」
- 郭璞の注は、「体の色は黄色で、その光が赤いのだ」と説明しています

メル美顔も目もないのに、歌と舞を知ってるなんて、ふしぎ!
2. 顔のない中央の帝
『荘子』応帝王篇の、さいごの短い話です。
- 「南の海の帝を儵(しゅく)といい、北の海の帝を忽(こつ)といい、中央の帝を渾沌という」
- 「儵と忽は、ときどき渾沌の土地で会った。渾沌は、ふたりをとてもよくもてなした」
- 儵と忽は、渾沌の親切にむくいようと相談しました。「人にはみな7つの穴があって、それで見たり、聞いたり、食べたり、息をしたりしている。渾沌だけには、それがない。ためしに、あけてあげよう」
- 「1日に1つずつ穴をあけていったら、7日目に、渾沌は死んでしまった」

プレ男よかれと思ってやったのに…。相手のためって、自分の思いこみのこともあるんだね。
3. 帝江と渾沌は同じ?
- 『山海経』の郭璞の注は、帝江についてこう書いています。「荘子が言う、中央の帝・混沌が儵と忽に穴をあけられ、7つの穴ができて死んだというのは、おそらくこれ(帝江)をかりて、たとえを語ったのだろう」
- つまり、郭璞は、『山海経』の顔のない帝江と、『荘子』の顔のない渾沌を、むすびつけて考えていたのです

『荘子』では、顔のない中央の帝・渾沌に、儵と忽が1日に1つずつ穴をあけたところ、7日目に渾沌は死んでしまいました。
まとめ
- 『山海経』の帝江は、黄色いふくろのような体に、6本の足と4枚の翼。顔も目もないが、歌と舞を知っている
- 『荘子』の渾沌は、顔のない中央の帝
- 儵と忽が、恩返しに1日1つずつ穴をあけたら、7日目に渾沌は死んだ
- 郭璞は、帝江と渾沌をむすびつけて考えた
- 同じ『山海経』の、目をあけると昼になる神燭龍、同じく中国の古い本に出てくる饕餮、九尾の狐、中国神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『山海經』西山經(西次三經、天山)と郭璞注. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/西山經 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『莊子』應帝王. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/莊子/應帝王 (閲覧日:2026年10月10日)
- ウィキメディア・コモンズ. Imperial Encyclopaedia - Spirits and the Supernatural - pic19 - 帝江神圖(『古今圖書集成』神異典、陳夢雷ら編、1700〜1725年ごろ、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Imperial_Encyclopaedia_-_Spirits_and_the_Supernatural_-_pic19_-_帝江神圖.png (閲覧日:2026年10月10日)
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