世界の神話Mythos

Bestiary

『山海経』南山経のふしぎな生きもの食べると足が速くなる狌狌(せいせい)、人の歌声で鳴く鹿蜀(ろくしょく)、木を割る音で鳴く旋亀(せんき)、背中に目がある猼訑(はくい)、頭が3つの鳥…。身につけたり食べたりすると、ふしぎな力があるという

2026年10月12日

しま模様のある馬のような獣が、横を向いて立っている白黒の版画
「鹿蜀図」(『古今図書集成』禽虫典より)陳夢雷ら編、18世紀前半、中国・清。版画(ベクター化した画像をもとに作成)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
目次
  1. プロフィール
  2. 1. 招揺の山:迷わない木と、速く走れる獣
  3. 2. 杻陽の山:歌う獣と、木を割る音の亀
  4. 3. 柢山:冬に死に、夏に生きる魚
  5. 4. 基山:背中に目がある獣と、頭が3つの鳥
  6. 5. 青丘の山:人の顔の魚
  7. 6. この山々の神
  8. まとめ

プレ男食べると足が速くなる動物!? ほしい!

メル美中国の古い地理書『山海経』には、山ごとに、そんなふしぎな生きものがならんでいるんだって。

こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回は中国の『山海経(せんがいきょう)』南山経のふしぎな生きものです。『山海経』の最初の篇「南山経」のはじめの部分(䧿山の連なり)を、郭璞(かくはく)の注とあわせて、原文(ウィキソース)で読みました。同じ南山経に出てくる九尾の狐もどうぞ。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

しま模様のある馬のような獣が、横を向いて立っている白黒の版画

「鹿蜀図」(『古今図書集成』禽虫典より)陳夢雷ら編、18世紀前半、中国・清。版画(ベクター化した画像をもとに作成)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)

プロフィール

名前 すむ山 すがた ふしぎな力
祝余(草) 招揺の山 ニラのようで、青い花 食べると飢えない
迷穀(木) 招揺の山 穀(こうぞ)のようで黒い木目。花が四方を照らす 身につけると迷わない
狌狌(獣) 招揺の山 禺(サルのなかま)のようで、耳が白い 食べると足が速くなる
鹿蜀(獣) 杻陽の山 馬のようで頭が白く、トラのようなもようで尾が赤い 身につけると子孫にめぐまれる
旋亀(亀) 杻陽の山の川 亀のようで、鳥の頭とまむしの尾 身につけると耳が聞こえなくならない
鯥(魚) 柢山 牛のようで丘にすみ、ヘビの尾に翼 食べるとはれものができない
猼訑(獣) 基山 羊のようで、尾が9本、耳が4つ、目が背中に 身につけるとこわいものがなくなる
𪁺𩿧(鳥) 基山 ニワトリのようで、頭が3つ、目が6つ、足が6本、翼が3枚 食べるとねむらなくなる
灌灌(鳥) 青丘の山 ハトのようで、人が大声でよびあうような声 身につけるとまどわない
赤鱬(魚) 青丘の山の川 魚のようで、人の顔。声はオシドリのよう 食べると疥(かい)にならない

1. 招揺の山:迷わない木と、速く走れる獣

南山経は、西の海にのぞむ招揺(しょうよう)の山からはじまります。

メル美迷わない木に、飢えない草…。旅をする人には、夢のような山だね。

2. 杻陽の山:歌う獣と、木を割る音の亀

3. 柢山:冬に死に、夏に生きる魚

プレ男牛みたいな魚が、丘にすんでるの!? しかも翼つき!

4. 基山:背中に目がある獣と、頭が3つの鳥

5. 青丘の山:人の顔の魚

6. この山々の神

『山海経』南山経では、狌狌を食べるとよく走れ、迷穀を身につけると迷わず、祝余を食べると飢えない、と書かれています。

まとめ


参考文献

  1. 『山海經』南山經(南山經之首)と郭璞注. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/南山經 (閲覧日:2026年10月12日)
  2. ウィキメディア・コモンズ. Imperial Encyclopaedia - Animal Kingdom - pic234 - 鹿蜀圖(『古今圖書集成』禽蟲典、陳夢雷ら編、1700〜1725年ごろ、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Imperial_Encyclopaedia_-_Animal_Kingdom_-_pic234_-_鹿蜀圖.png (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

Next Stars次に読む

  1. IX世界の幻獣九尾の狐『山海経』では、青丘の山にすむ、赤ちゃんのような声で鳴き、人を食べる獣。でもその肉を食べると、「蠱(こ)」にあたらない。のちの『呉越春秋』では、白い九尾の狐が、洪水をおさめた禹のもとにあらわれ、「王になるしるし」とされた
  2. IX世界の幻獣畢方(ひっぽう)ツルのような一本足の鳥。赤いもようで、青い体に白いくちばし。「ひっぽう」と自分の名前を鳴き、この鳥があらわれた町には、ふしぎな火事がおこる。黄帝が泰山に鬼神をあつめたときには、車のそばにつきしたがった
  3. VII中国神話成り立ちと大まかなあらすじまとまった神話の本はなく、話は古い本のあちこちに。たまごのような混沌から生まれた盤古は1日に1丈ずつのび、死んで体が山や川に。女媧は5色の石で天の穴をふさぎ、羿は10の太陽を射た