予防2026年10月12日

ヨーロッパのドキシPEPの考え方(ECDC、2026年1月):みんなに広くすすめる予防法ではない。使うなら、いちばんリスクの高い人で、おもに梅毒の予防に。淋菌はすでに58%が薬に耐性で効きにくい。耐性菌がふえる心配も

性行為のあとに抗菌薬のドキシサイクリンを飲んで性感染症を防ぐ「ドキシPEP」について、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が2026年1月19日に考え方を示しました。ECDCによると、ドキシPEPは、性感染症の経験がある男性同士で性行為をする人やトランスジェンダー女性で、クラミジアと梅毒を減らす効果が臨床試験で示されています。一方、ヨーロッパで流行している淋菌は2023年に58.4%がこの系統の薬に耐性で、淋菌を減らす効果はあまり期待できません。耐性菌がふえるおそれもあるため、ECDCは、集団全体にすすめる予防法とはせず、医師がリスクを評価して一人ひとり判断するべきとしています。

目次
  1. 背景:ヨーロッパの性感染症の増加
  2. ドキシPEPの効果
  3. いちばんの心配は、薬剤耐性
  4. ECDCの考え方
  5. まとめ

プレ男性行為のあとに抗菌薬を飲めば性感染症を防げるって聞いたけど、みんな使えばいいんじゃないの?

メル美抗菌薬をたくさん使うと、薬が効かない菌がふえるって聞いたことがあるよ。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、ヨーロッパのドキシPEPの考え方の話です。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の発表「ECDC issues guidance on doxycycline for STI prevention」(2026年1月19日)をもとにまとめました。ドキシPEPの基本と日本の手引きについては、Doxy-PEP(ドキシペップ)とは?を見てください。

背景:ヨーロッパの性感染症の増加

ECDCによると、ヨーロッパでは10年以上、細菌の性感染症がふえつづけていて、2023年の報告率は2019年にくらべて、クラミジアが16%、淋菌が138%、梅毒が53%ふえました。とくに男性同士で性行為をする人が大きな影響を受けています。最新の数字はヨーロッパでも性感染症が過去最多(2024年、ECDC)を見てください。

ドキシPEPの効果

ECDCによると、

いちばんの心配は、薬剤耐性

ECDCによると、ドキシPEPを広く使うと、性感染症の菌だけでなく、黄色ブドウ球菌や、体にもともといる菌にも耐性がふえるおそれがあり、使う本人にもまわりの人にもリスクになるとしています。

ヨーロッパのECDCは、ドキシPEPを、みんなに広くすすめる予防法とはしていません。使うかどうかは、医師がリスクを評価して一人ひとり判断するべきとしています。

ECDCの考え方

ECDCは、

としています。

プレ男手軽に見えても、耐性菌の心配があるから、医師と相談して決めるものなんだね。

淋菌の薬剤耐性については、薬が効きにくい淋菌(薬剤耐性)を見てください。

WHOは2026年5月にドキシPEPの推奨を出しました。WHOがドキシPEPを初めて推奨(2026年5月)を見てください。

まとめ


参考文献

  1. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). ECDC issues guidance on doxycycline for STI prevention(News, 19 January 2026). https://www.ecdc.europa.eu/en/news-events/ecdc-issues-guidance-doxycycline-sti-prevention (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。