
プレ男健康診断で「脂肪肝」って書かれてた!お酒はたまにしか飲まないのに、なんで?

メル美脂肪肝って、お酒を飲む人だけがなるものじゃないみたいだよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、脂肪肝の話です。日本消化器病学会・日本肝臓学会の「患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023」をもとにまとめました。
お酒を飲まなくても、脂肪肝になる
- 肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝です
- お酒の飲みすぎによる脂肪肝のほかに、お酒をあまり飲まないのに肝臓に脂肪がたまる脂肪肝があります
- お酒をあまり飲まない人の脂肪肝の多くは、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧をともなっていて、メタボリックシンドロームの肝臓病と考えられています
名前が変わりました
- お酒をあまり飲まない人の脂肪肝は、以前はNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていました
- 2023年に欧米の学会が病名と分類を変更し、日本の学会も賛同。2024年8月に、日本語の病名が「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」、進行するタイプは「代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)」と決まりました
- 新しい分類(MASLD)は、脂肪肝に加えて肥満・高血糖・高血圧などのリスクが1つ以上あることを条件にしていて、旧い分類とまったく同じではありません
- この記事では、わかりやすく「脂肪肝」と書きます。数字は、旧い分類(NAFLD)で調べられたものです
どれくらいいるの?
- 日本では、お酒をあまり飲まない人の脂肪肝は9〜30%と報告されていて、全国で1,000万人以上と考えられています
- 男性は中年、女性は高齢に多い傾向です。とくに肥満の男性の増加とともに、脂肪肝の男性も増えていることが心配されています
多くはそのままだけど、1〜2割は進む
- 80〜90%は、長く経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進みません
- しかし、残りの10〜20%は少しずつ悪化して、肝硬変に進んだり、肝がんになったりすることもあります(これが脂肪肝炎です)
- 脂肪肝炎の人は、肝臓だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの心血管の病気や、肝臓以外のがんになる頻度も増えるとされています。全身の病気の一部と考えて、経過をみることが大切です

メル美「ただの脂肪肝」と思ってたけど、肝臓だけの問題じゃないんだ。
肝臓は「沈黙の臓器」
- 脂肪肝では、自覚症状は何もない人がほとんどです。だるさを感じる人もいますが、肝臓に特有の症状ではありません
- かなり進むまで症状がないので、症状だけでは進み具合はわかりません
- 肝硬変まで進むと、黄疸、足のむくみ、お腹に水がたまってはるなどが出ることがあります
健康診断で指摘されたら
- 健康診断で肝機能の異常(ALT)や、超音波で「脂肪肝(の疑い)」と言われたら、学会のガイドは、いちばん大事な「肝臓の硬さ(線維化)」を評価してもらうことを勧めています
- 肝臓の硬さは、血小板の数、血液の線維化マーカー、年齢や血液検査の値を組み合わせた計算式(FIB-4 indexなど)で、かんたんに見当をつけられます
- 硬くなっている可能性があれば、専門の医療機関で、エラストグラフィ(超音波やMRIで肝臓の硬さを測る検査)などの詳しい検査を受けましょう
- 診断には、これまでの飲酒量、体重の変化、持病、サプリメントを含めた飲んでいる薬などの情報がとても大切です
- 同じガイドでは、「奈良宣言2023」が、ALTが30を超えたら、かかりつけ医を受診するよう勧めていることも紹介されています

プレ男ぼくのALT、たしか40くらいだった…。一度かかりつけの先生に相談してみる。
治療の基本は「減量」
- 治療の原則は、食事と運動で生活を見直し、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧を改善することです
- 肥満がある場合は、まず体重の7%を目標に減らしましょう(例:体重90kgなら、まずマイナス6kg)。7〜10%の減量で改善が期待できるとされています
- お酒は、多すぎれば明らかに肝硬変への進行が速くなります。少量の飲酒の影響には諸説ありますが、ガイドは、基本的には控えるほうが望ましいとしています(お酒で傷むのは肝臓だけではありません:飲みすぎとすい炎)
- 持病がある場合は、それぞれの病気の治療を適切に行うことで、進行をおさえられます。お薬による治療は専門医と相談しましょう

脂肪肝は、お酒をあまり飲まない人にも多い病気です。症状はほとんどありませんが、一部は肝硬変や肝がんに進みます。健康診断で指摘されたら、肝臓の硬さを調べてもらい、まずは体重の7%減を目標にしましょう。
予防のためにできること
学会のガイドは、次のような生活のポイントをあげています。
- BMIが25以上になっていないか、おなか周り(男性85cm以上、女性90cm以上)が増えていないかチェック(BMIと肥満)。逆にやせている人は、無理なダイエットは控える
- 1日3食、バランスよく。食べすぎと、果糖の多い清涼飲料水のとりすぎに注意
- バターやラードなど動物性の油、マーガリンやショートニングを使った菓子パン・洋菓子は控えめに。青魚や緑黄色野菜を積極的に
- 夜遅く・寝る前の食事は控える
- ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を週3〜4回、30分以上。関節に負担をかけない程度の筋トレを加えるとさらに効果的
- ダイエットをうたう健康食品・サプリメントを安易に長く使うのは危険。使うなら事前に医師に相談

メル美甘いジュースを水かお茶に替えて、一緒にウォーキングしよう。
まとめ
- お酒をあまり飲まなくても脂肪肝になる。現在の名前はMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)
- 日本では9〜30%、1,000万人以上。中年男性に多い
- 8〜9割は脂肪肝のまま、1〜2割は肝硬変・肝がんへ進むことも。心臓や血管の病気にも注意
- 症状はほとんどない。指摘されたら肝臓の硬さを評価してもらう
- 治療・予防の基本は減量(まず7%)、食事・運動、お酒を控える
参考文献
- 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編. 患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023. https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/nafld_2023.pdf (閲覧日:2026年9月29日)
- 日本消化器病学会. 脂肪性肝疾患の日本語病名に関して(2024年8月22日). https://www.jsge.or.jp/news/20240820-3/ (閲覧日:2026年9月29日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。