【テクノロジー解説】GPSの誤差は10mから「数cm」へ:日本の「みちびき」が補正情報を宇宙から送り、除雪車をオペレーター1人で、水田の除草ロボットを自動で走らせる。2026年8月には7号機も軌道へ【内閣府】
スマホのGPSは、ふつう10mくらいずれます。日本の衛星測位システム「みちびき」は、国土地理院の電子基準点のデータから計算した補正情報を宇宙から送り、誤差を約1m(サブメータ級)、さらに数cm(センチメータ級)まで小さくします。内閣府によると、この精度で、ガードレールの位置を熟知したベテランでなくても雪を正確に飛ばせるロータリ除雪車や、人が置いて回収するだけの水田の除草ロボット、視覚障害のある人を足の振動で案内する歩行ナビなどが生まれています。2026年8月には、日本上空に常に4機以上をめざす7機体制のための7号機が運用位置に入りました。

プレ男地図アプリで、自分の位置が道の反対側に出たりするよね。GPSって、もっと正確にならないの?

メル美いまは「センチメートル」までわかる技術があるって聞いたよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はGPS(衛星測位)の精度の向上と、それでできるようになったことです。内閣府の「みちびき(準天頂衛星システム)」公式サイトをもとにまとめました。衛星測位のしくみそのものはスマホの地図はなぜ現在地がわかる?へ。
ふつうのGPSは「10mくらい」ずれる
- 内閣府によると、GPS などの1周波(1種類の電波)の衛星測位では、誤差は10m程度になると言われています
- 誤差の大きな原因は、(1)見える衛星の数が少ないこと、(2)電波が地球の上空の電離圏を通るときのおくれです
- ビルの谷間などで見える衛星が少なくなると、精度が出ないことがあります
精度を上げる3つの「補強サービス」
日本の「みちびき」は、位置を計算するための電波を出すだけでなく、誤差を小さくするための補正情報を宇宙から送っています。
| サービス | 精度の目安 | しくみ・おもな使い道 |
|---|---|---|
| サブメータ級(SLAS) | 誤差約1m | 電離圏のおくれなどの誤差を減らす情報を、ふつうの受信機に近い形式の電波で送る。歩行者・自転車・船など |
| センチメータ級(CLAS) | 誤差数cm | 国土地理院が全国につくった電子基準点のデータから補正情報を計算して送る。測量の技術を使う。測量・建設機械・農業機械など |
| MADOCA-PPP | 高精度 | 国内外の観測局のデータから衛星側の誤差を計算。アジア・オセアニアの海の上でも使える。2024年4月に本運用 |
- センチメータ級は、補正情報をつくってから届くまでに十数秒のおくれがあるため、電離圏が急にみだれると、測位が乱れることがあります。車で使う場合は、工事現場や農場のような限られた場所などでの利用が想定されています
- MADOCA-PPP の補正データは、大気中の水蒸気の量の推定に使って天気予報の精度向上に役立てることや、精密な時刻合わせへの活用も期待されています

プレ男10mから数cm!日本中の「電子基準点」が、ものさしになってるのか。
できるようになったこと
みちびきの公式サイトで紹介されている利用例から。
ベテランの技を、雪国の除雪車に
- 国土交通省北海道開発局は、除雪オペレーターの高齢化と人手不足に対応するため、センチメータ級の位置情報を使うロータリ除雪車を開発しました
- 雪が積もる前に計測しておいた高精度の3次元地図と、センチメータ級の位置情報を組みあわせて、除雪車の精密な案内と、雪を飛ばす向きの自動制御を行います
- これまで、ガードレールの位置や沿道の状況を熟知したオペレーターがになってきた作業の負担を減らせます。2022年には、運転手1人で操作できる除雪車として配備されました
水田の除草を、ロボットにまかせる
- 農薬を使わない米づくりでは、水田の水をにごらせて光合成をさまたげ、雑草をおさえる方法があります
- センチメータ級の位置情報で自動で走る水田の除草ロボットは、10アール(1,000m²)を約15分で作業し、人がかかわるのは機械を置くときと回収するときの約5分ほどです
足の振動で、行きたい場所へ
- 視覚障害のある人向けに、靴に取りつけた装置が足に振動を伝えて道案内する歩行ナビの実証実験で、サブメータ級の位置情報が使われました
ほかにも
- 橋の点検ロボット、クレーンの衝突防止、ドローンの正確な飛行や肥料の散布、建設機械の自動化、海の観測ブイなど、さまざまな分野で実証が進んでいます

ふつうのGPSの誤差は10m程度ですが、みちびきの補強サービスを使うと約1m、さらに数cmまで小さくなります。その精度で、除雪車の作業の自動化や、水田の除草ロボットなどが生まれています。
7機体制へ:2026年8月、7号機が軌道に
- 衛星測位には4機以上の衛星が必要です。みちびきの7機体制ができると、日本の上空に常に4機以上のみちびきがいるようになり、みちびきだけで測位を続けられるようになります
- 2026年8月11日、みちびき7号機が H3 ロケット9号機で打ち上げられ、8月22日に運用位置(東経約184.5度、高度約3万6,000km)に入りました。今後、サービスのための機器の機能確認を順に行う予定です
精度が上がると変わるもの
- 自動で飛ぶ:ドローンってなに?
- 自動で走る:自動運転の「レベル」ってなに?
- 宇宙から地球を見る衛星の仲間:気象衛星「ひまわり」ってなに?

プレ男位置が数cmでわかると、人の技や手間を機械が助けられるんだね。

メル美雪国や農家の人手不足を助けてるのがいいな。
人の脳の中の「GPS」は、脳の中にも「GPS」があるへ。
まとめ
- ふつうのGPS(1周波)の誤差は10m程度
- みちびきの補強で、サブメータ級(約1m)、センチメータ級(数cm)、海外・海上でも使える MADOCA-PPP
- センチメータ級は、全国の電子基準点のデータから補正情報をつくる
- 除雪車の自動制御(運転手1人)、水田の除草ロボット、視覚障害のある人の歩行ナビなどが実現
- 2026年8月、7機体制に向けた7号機が運用位置へ
参考文献
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. みちびき「サブメータ級測位補強サービス」. https://qzss.go.jp/overview/services/sv05_slas.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. みちびき「センチメータ級測位補強サービス」. https://qzss.go.jp/overview/services/sv06_clas.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. みちびき「高精度測位補強サービス『MADOCA-PPP』」. https://qzss.go.jp/overview/services/sv13_madoca.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. みちびき「7機体制」. https://qzss.go.jp/overview/services/seven-satellite.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. みちびき7号機が準静止軌道に入りました(2026年8月22日). https://qzss.go.jp/info/information/qzs7_260822.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. 北海道開発局がCLAS活用により運転手1人で操作可能なロータリ除雪車を配備. https://qzss.go.jp/usage/userreport/mlit_221222.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. CLASを活用した水田雑草対策ロボット. https://qzss.go.jp/usage/userreport/hatake_250616.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局. SLASを活用した視覚障害者向け歩行ナビの実証実験. https://qzss.go.jp/usage/userreport/ashirase_220228.html (閲覧日:2026年10月6日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。