HIVと腎臓:日本のHIVのある人の慢性腎臓病は12.9〜15.4%で、一般の人より多い。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は腎臓に注意。一部の薬では、腎臓が悪くなくてもクレアチニンが少し上がる
HIVと腎臓について、研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)の「腎障害」の項をもとにまとめました。日本のHIVのある人の慢性腎臓病(CKD)の割合は12.9〜15.4%と、一般の人より高いと報告されています。年齢、糖尿病、高血圧に加えて、CD4数の低さ、ウイルス量の多さ、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の使用が関係するとされます。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は腎臓の尿細管に障害を起こすことがあり、テノホビル アラフェナミドへの切り替えで腎臓の検査値がよくなったことが、日本人でも報告されています。また、ドルテグラビルなど一部の薬では、腎臓の働きは変わらなくても、血液のクレアチニンが少し上がることがあります。

メル美HIVの治療を始めたら、血液検査で「クレアチニンが少し上がった」と言われた人がいるんだって。腎臓が悪くなったのかな?

プレ男HIVと腎臓って、関係があるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと腎臓の話です。研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)の「腎障害」の項をもとにまとめました。
日本のHIVのある人の慢性腎臓病は12.9〜15.4%
ガイドラインによると、
- 日本のHIVのある人の慢性腎臓病(CKD)の割合は12.9〜15.4%で、一般の人より高いと報告されています
- 一般的な年齢・糖尿病・高血圧に加えて、CD4数の低さ、ウイルス量の多さ、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の使用などが関係するとされています
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩と腎臓
ガイドラインによると、
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩では、腎臓の尿細管の障害が問題になります。血液のクレアチニンが高い、腎臓に負担のかかるほかの薬の使用、やせ、高齢、CD4数の低さ、糖尿病などがリスクとされます
- テノホビル アラフェナミドは、血液中のテノホビルの濃度を低くたもてるため、尿細管の障害を軽くできる可能性があり、切り替えで尿細管の検査値がよくなったことが試験で示されています。日本人でも、切り替えで腎臓の検査値がよくなったと報告されています
- 一方で、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を2年以上使った場合、やめたあとも尿細管の障害が続くことがあると報告されています
- 腎臓の働きが落ちている人や透析をしている人では、やめたり量を調整したりする必要がある抗HIV薬があるため、添付文書を確かめる必要があるとしています

日本のHIVのある人の慢性腎臓病の割合は12.9〜15.4%と、一般の人より高いと報告されています。抗HIV薬の種類によって、腎臓への影響はちがうとされています。
クレアチニンが少し上がっても、腎臓が悪いとはかぎらない
ガイドラインによると、
- コビシスタット、リトナビル、リルピビリン、ドルテグラビル、ビクテグラビルは、腎臓の尿細管からクレアチニンが出ていくのをおさえるため、飲みはじめてすぐに、血液のクレアチニンが上がることがあります
- コビシスタットとドルテグラビルでは、本当の腎臓の働き(糸球体ろ過量)は変わらないことが確かめられています
- こうした薬を使うときは、これらの影響を受けないシスタチンCという検査が、腎臓の働きを見るのに役立つとしています

プレ男検査の数字が変わっても、薬のしくみでそうなることがあるんだね。気になったら主治医に聞いてみよう。
HIVのある人のほかの病気はHIVと「エイズ以外の病気」、骨への影響はHIVと骨を見てください。
透析が必要になったときの受け入れの状況(東京都の調査)は、HIVのある人の透析の受け入れを見てください。
まとめ
- 日本のHIVのある人の慢性腎臓病は12.9〜15.4%で、一般の人より多い
- テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は尿細管の障害に注意。アラフェナミドへの切り替えで検査値がよくなった報告
- 2年以上使うと、やめたあとも障害が続くことがある
- ドルテグラビルなどでは、腎臓が悪くなくてもクレアチニンが少し上がることがある
参考文献
- HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班. 抗HIV治療ガイドライン(2026年3月) 腎障害. https://hiv-guidelines.jp/2026/part09-3.htm (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
