HIVと「エイズ以外の病気」:治療しないままだと、動脈硬化、腎臓の病気、がんなどのリスクも上がる。早く診断され、きちんと治療を続けている人の見通しは、HIVのない人と大きく変わらない
HIVの治療は、エイズを防ぐためだけのものではありません。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、治療していないHIV感染者では、動脈硬化による病気、腎臓の病気、がんなど、エイズ指標疾患にふくまれない病気(非エイズ合併症)のリスクが上がります。HIVがふえることによる炎症が続いたり、血管が傷ついたりするためと考えられています。CD4数が500以上でも抗HIV療法がさまざまな合併症のリスクを下げることが示され、症状のない人もふくめ、すべての人に早く治療を始めることがすすめられています。早く診断され、きちんと治療を続けている人の見通しは、HIVのない人と大きく変わらないと考えられています。

プレ男CD4数がまだ高くて元気なら、HIVの治療はあわてなくてもいいんじゃないの?

メル美免疫が下がる前から治療を始める理由って、何かあるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと「エイズ以外の病気」(非エイズ合併症)の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「抗HIV療法(治療ガイドライン)」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。
治療していないと、エイズ以外の病気もふえる
ACCの手引きによると、
- 治療していないHIV感染者では、動脈硬化による病気、腎臓の病気、がんなど、エイズ指標疾患にふくまれない病気(非エイズ合併症)のリスクが上がります
- これは、HIVが血液中でふえることによる炎症が続くことや、血管の内側が傷つくことによると考えられています
- そのため、抗HIV療法の目的は、「傷ついた免疫を回復・維持すること」から、「HIVがふえるのをおさえて、非エイズ合併症を防ぐこと」へと変わりつつあるとしています
エイズ指標疾患については、「エイズ発症」とは?23のエイズ指標疾患を見てください。

CD4数が500以上でも、抗HIV療法がさまざまな合併症のリスクを下げることが示されています。早く診断して、早く治療を始めることが大切です。
CD4数が高くても、早く治療を
ACCの手引きによると、
- 2015年に報告された大きな臨床試験(START試験)で、CD4数が500以上であっても、抗HIV療法がさまざまな合併症のリスクを下げることが示されました
- 有効な抗HIV療法で、ほかの人への感染のリスクが下がる根拠も積み重なっています
- これらが、症状のない人もふくめ、すべてのHIV感染者に早く治療を始めることがすすめられる根拠になっているとしています
治療を始める時期については、HIVの治療はいつ始める?を見てください。

プレ男元気なうちから治療を始めることに、ちゃんと意味があるんだね。
見通しは、HIVのない人と大きく変わらない
ACCの手引きによると、抗HIV療法の進歩で、HIV感染者の見通しは劇的によくなりました。早く診断され、適切に管理されているHIV感染者の見通しは、ウイルス性肝炎などほかの病気の合併がなければ、HIVのない人と大きく変わらないと考えられています。
HIVの薬と体重増加については、HIVの薬で体重がふえることがあるを見てください。
まとめ
- 治療していないHIVでは、動脈硬化、腎臓の病気、がんなどの非エイズ合併症もふえる
- 原因は、炎症が続くことや血管が傷つくことと考えられている
- CD4数が500以上でも、治療で合併症のリスクが下がる
- すべての人に早く治療を始めることがすすめられている
- 早く診断され、きちんと治療していれば、見通しはHIVのない人と大きく変わらない
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:抗HIV療法(治療ガイドライン)(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec11.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
