HIVの薬で体重がふえることがある:インテグラーゼ阻害薬やテノホビル アラフェナミドをふくむ治療で報告。でも、体重をふやさないために薬を選ぶことはすすめられていない。定期的な体重・腹囲の確認と生活習慣で
HIVの治療(抗HIV療法)を始めたあと、体重がふえることがあります。研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)によると、インテグラーゼ阻害薬をふくむ初回治療では、ほかの種類の薬をふくむ治療より体重増加が大きいと報告されていて、テノホビル アラフェナミドをふくむ治療でもテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩より体重増加が大きいとされています。治療開始時のCD4数が低い、ウイルス量が多い、女性などで体重がふえやすいとされます。ただし、米国や欧州のガイドラインは、体重増加を防ぐ目的で特定の薬を選ぶべきではないとしていて、定期的な体重・BMI・腹囲の確認と、食事・運動・睡眠などの生活習慣の見直しがすすめられています。

プレ男HIVの治療を始めてから、体重がふえてきた気がするって話を聞いたんだ。

メル美薬のせいなのかな。薬を変えたほうがいいの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVの薬と体重増加の話です。研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)の「体重増加」の項をもとにまとめました。HIVの治療を始めるときのことは、HIVの治療はいつ始める?を見てください。
どの薬で体重がふえやすい?
ガイドラインによると、
- インテグラーゼ阻害薬をふくむ初回治療では、非核酸系逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬をふくむ治療より、体重増加が大きいと報告されています
- 核酸系逆転写酵素阻害薬では、テノホビル アラフェナミドをふくむ治療で、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩をふくむ治療より体重増加が大きいとされています。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩には体重増加をおさえる働きがみられる一方、テノホビル アラフェナミドでは一般の人の体重の変化に近い、という論文もあります
- 非核酸系逆転写酵素阻害薬では、リルピビリンのほうがエファビレンツより体重増加が大きいとされています
どんな人でふえやすい?
ガイドラインによると、
- 治療を始めたときのCD4数が低い、ウイルス量が多い、女性、人種(黒人とヒスパニック系)などで、体重増加が大きいとされています
- 治療によって体の状態がもとにもどる(「return to health」)ことをふくめ、いろいろなしくみが考えられています

HIVの薬で体重がふえることがありますが、米国や欧州のガイドラインは、体重をふやさないために薬を選ぶべきではないとしています。体重や腹囲を定期的に確かめ、生活習慣を見直すことがすすめられています。
体重がふえると、どんな影響が?
ガイドラインによると、
- ある試験の試算では、体重増加がもっとも大きかった治療で、10年後の糖尿病のリスクが上がると予測された一方、心臓や血管の病気のリスクは上がらないと予測されました
- 別の研究では、BMIが上がると糖尿病はふえましたが、心臓や血管の病気はふえませんでした
- 体重増加が長い目で見てどう影響するかは、まだ観察を続ける必要があるとしています
どうすればいい?
ガイドラインによると、
- 米国や欧州のガイドラインは、薬の選択はウイルスをしっかりおさえることを最優先にすべきで、体重増加を防ぐ目的で特定の薬を選ぶべきではないとしています
- そのうえで、定期的な体重・BMI・腹囲の確認、栄養指導・体を動かすこと・睡眠の質の改善などの生活習慣の見直し、甲状腺・糖の代謝・脂質・脂肪肝・閉経に関連する変化などの検査がすすめられています

プレ男体重や腹囲を記録して、気になることは主治医といっしょに考えるのが大事なんだね。
HIVのある人のほかの病気の予防はHIVと「エイズ以外の病気」、薬の飲み合わせはHIVの薬と、市販薬・サプリの飲み合わせを見てください。骨への影響はHIVと骨を見てください。眠りや気分への影響はHIVの薬で、眠れない・夢が変わる・気分が落ちこむことがあるを見てください。
まとめ
- インテグラーゼ阻害薬やテノホビル アラフェナミドをふくむ治療で、体重増加が大きいと報告されている
- CD4数が低い・ウイルス量が多い・女性などでふえやすい
- 体重増加で糖尿病のリスクが上がる可能性
- 体重をふやさないために薬を選ぶことはすすめられていない
- 体重・BMI・腹囲の確認と食事・運動・睡眠の見直しを。気になるときは主治医に相談
参考文献
- HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班. 抗HIV治療ガイドライン(2026年3月) 体重増加. https://hiv-guidelines.jp/2026/part09-8.htm (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
