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プレ男先輩が奥さんとけんかして別居中なんだけど、「出ていったのは向こうだから、生活費なんて払わない」って言ってた。それって通るのかな。

メル美子どもを連れて実家に帰った側は、生活が苦しくなることもあるよね。別居中のお金って、法律ではどうなっているんだろう。
今回は、別居中の生活費(婚姻費用)です。民法の条文(e-Gov法令検索)と、裁判所の手続案内・Q&A、法務省の改正資料(2026年10月22日に閲覧)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。金額は夫婦ごとの事情で変わります。困ったときは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)に相談してください。
夫婦は、生活費を分担する
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法752条 | 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない |
| 民法760条 | 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する |
- この「婚姻から生ずる費用」が、いわゆる婚姻費用です
- 裁判所のQ&Aは、婚姻費用には衣食住の費用のほか、出産費、医療費、未成熟子の養育費、教育費、相当の交際費など、およそ夫婦が生活していくために必要な費用が含まれると考えられている、と説明しています
- 760条には「同居している場合に限る」といった言葉はありません。裁判所の「婚姻費用の分担請求調停」も、別居中の夫婦の間で生活費の分担がまとまらないときの手続として案内されています

プレ男別居していても夫婦は夫婦。生活費の分担の話は残るんだね。
話し合いがまとまらなければ「婚姻費用の分担請求調停」
裁判所の「婚姻費用の分担請求調停」のページ(2026年10月22日閲覧)による内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てる人 | 夫または妻 |
| 申立先 | 相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手 |
| 主な書類 | 申立書とその写し1通、夫婦の戸籍謄本(内縁関係の場合は不要)、申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書等の写し)、事情説明書など |
- 調停では、夫婦の資産、収入、支出など一切の事情について双方から話を聞き、解決案の提示や助言をして合意を目指します
- 話し合いがまとまらず不成立になると、審判の手続が始まり、裁判官が一切の事情を考慮して判断します
- 離婚の調停と一緒に進むこともあります。離婚調停の流れは離婚調停の記事で
- 事実婚(内縁)の解消については、同棲・事実婚(内縁)を解消したらで
金額の目安は「算定表」
裁判所のQ&Aによると:
- 調停・審判では、目安として「算定表」が参照されるのが一般的です。算定表の額を参照しつつ、個別事情も考慮して金額が検討されます
- いま使われている算定表は、裁判所が公表している「平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)」のもので、婚姻費用の表は表10〜19です。子の人数と年齢に応じた表を使います
- 横軸がもらう側(権利者)の年収、縦軸が支払う側(義務者)の年収です
- 給与所得者は、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を当てはめます。自営業者は、確定申告書の「課税される所得金額」に、実際には支出されていない費用(基礎控除、青色申告控除など)を加えた額を当てはめます

メル美「払わない」「いくらほしい」と言い合うより、裁判所が公表している目安を見て話すほうが、落ち着いて話せそう。
決めたのに払われないときは
- 裁判所の手続を使わず、夫婦で話し合って決めて払われているなら、裁判所の手続を使わなくても問題はありません(裁判所Q&A)
- 調停で合意した、または確定した審判で定められた婚姻費用は、法的な支払義務になります。払われないときは、家庭裁判所の履行勧告や、地方裁判所の強制執行の手続が使えます
- 2026年(令和8年)4月1日からは、婚姻費用のうち子の監護に要する費用として法務省令で定めた額(裁判所Q&Aでは月額8万円×子の人数)には「先取特権」という優先権がつきます(民法308条の2)。裁判所の手続や公正証書がなくても、当事者どうしの合意の書面があれば、差押え(担保権の実行)の手続をとることができます(裁判所Q&A)
2026年4月から:「夫婦間の契約はいつでも取り消せる」はなくなった
- 改正前の民法754条は、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と定めていました(法務省「新旧対照条文」)
- 2024年に成立した民法等の改正法(2026年4月1日施行)で、法務省の「改正の概要」は「夫婦間契約の取消権、裁判離婚の原因等の見直し」をあげています。現行の民法(e-Gov法令検索)では、754条は「削除」です
- 結婚とお金の決まり全体は、結婚は「お金の契約」でもある?で

民法760条は、夫婦はその資産や収入などを考慮して、婚姻から生ずる費用を分担すると定めています。別居中の生活費の分担がまとまらなければ、家庭裁判所の調停を申し立てられます。
相談先
- 法的なことは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
- 手続のことは、申立先の家庭裁判所へ
- 別居の理由が暴力のときは、DV相談ナビ #8008。危険を感じたら110番
まとめ
- 夫婦は資産・収入などに応じて生活費を分担する(民法760条)。別居中も、婚姻費用の分担を求める手続がある
- 婚姻費用には、衣食住、医療費、子どもの養育費・教育費なども含まれる
- まとまらなければ婚姻費用の分担請求調停(収入印紙1,200円分)。不成立なら審判
- 金額の目安は裁判所の算定表(婚姻費用は表10〜19)
- 2026年4月から、子の監護の費用分(月8万円×子の人数)に先取特権。754条(夫婦間契約の取消権)は削除
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第308条の2、第752条、第753条及び第754条(削除)、第760条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 婚姻費用の分担請求調停. https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_03/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 裁判手続 家事事件Q&A(第5 養育費/婚姻費用分担について). https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について. https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省民事局. 民法等の一部を改正する法律の概要(令和7年12月). https://www.moj.go.jp/content/001452583.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 民法等の一部を改正する法律 新旧対照条文. https://www.moj.go.jp/content/001419098.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕. https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府男女共同参画局. 配偶者暴力相談支援センター(「#8008」). https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。