
メル美知り合いが、夫に「離婚したい」と言っても「絶対に別れない」の一点張りなんだって。そういうときって、すぐ裁判になるの?

プレ男裁判って聞くと、弁護士を雇って、お金もすごくかかりそうでこわいよね。
今回は、夫婦の話し合いで離婚がまとまらないときに使う離婚調停です。家事事件手続法・民法・戸籍法の条文(e-Gov法令検索)と、裁判所の手続案内・Q&A(2026年10月22日に閲覧)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。具体的な事情によって進め方は変わります。困ったときは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)に相談してください。
離婚の3つの道
民法763条では、夫婦は話し合い(協議)で離婚できます(協議離婚)。話し合いがまとまらないときに使うのが、家庭裁判所の手続です。
| 方法 | どこで | ポイント |
|---|---|---|
| 協議離婚 | 市区町村に離婚届 | 夫婦の話し合いで決める |
| 調停離婚 | 家庭裁判所の調停 | 調停委員会が間に入って話し合う |
| 裁判離婚 | 家庭裁判所の離婚訴訟 | 民法770条の理由があるときに、判決で離婚 |
- 裁判で離婚が認められる理由(民法770条1項)は、不貞な行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由です。くわしくは結婚・離婚・浮気の法律で
いきなり裁判はできない:「調停前置主義」
家事事件手続法257条1項は、調停を行うことができる事件について訴えを起こそうとする人は、「まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない」と定めています。
- 調停を申し立てずに訴えを起こすと、裁判所は原則として、事件を職権で調停に付さなければならない(257条2項)
- 裁判所のQ&Aは、離婚の裁判をするには原則として調停を経ることが必要で、相手方が行方不明のように調停ができない場合には、最初から裁判ができる場合もある、と説明しています

プレ男まずは裁判所で「話し合い」なんだ。いきなり法廷で戦うわけじゃないんだね。
調停って、どんなもの?
裁判所のQ&Aによると、調停は当事者双方の話し合いによって問題を解決するための手続です。
- 調停委員会(裁判官1名と、民間の良識のある人から選ばれた調停委員2名以上)が、双方から話を聞きます
- 解決案を示したり、助言をしたりして、合意を目指します。話しやすいように、双方から個別に話を聞くこともあります
- 弁護士に依頼していなくても、調停の手続はできます(裁判所Q&A)
- 離婚そのものだけでなく、子どもの親権者(父母の双方か一方か)、親子の交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料も一緒に話し合えます(裁判所「夫婦関係調整調停(離婚)」)
申し立てるには
裁判所の「夫婦関係調整調停(離婚)」のページ(2026年10月22日閲覧)による内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てる人 | 夫または妻 |
| 申立先 | 相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所(家事事件手続法245条1項も同じ) |
| 費用 | 収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手(額は裁判所ごとにちがう) |
| 主な書類 | 申立書とその写し1通、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書など。年金分割も求めるときは年金分割のための情報通知書 |
- 書式と記入例は、裁判所のウェブサイトにあります
相手と顔を合わせたくない、住所を知られたくないとき
裁判所のQ&Aは、DVの被害を受けていた場合について、次のように案内しています。
- 個別の事情に応じて、ウェブ会議を使うなど、当事者どうしが裁判所の中で顔を合わせないよう工夫して進める場合も少なくない。不安なことは申立先の家庭裁判所に相談を
- 現住所を相手に知られたくないときは、住所の非開示の申出ができる
- ウェブ会議は、相手と同じ空間にいると安心して話せない、遠方で出向くのが難しい、などの事情があり、家庭裁判所が相当と認めるときに使える(家事事件手続法258条1項、54条)

メル美同じ部屋で向き合わなくていい工夫があるんだね。こわい思いをしている人には大事なことだ。
- 住民票の写しなどを相手に取られないようにする制度については、DV・ストーカー被害者の住民票の写しの交付制限で説明しています
調停が成立したら
- 合意ができて調書に記載されると調停が成立し、その記載は確定判決と同一の効力をもちます(家事事件手続法268条1項)
- 2025年(令和7年)3月1日から、離婚の調停はウェブ会議の方法で成立させることができるようになりました。電話会議の方法では成立させることができません(268条3項、裁判所Q&A)
- 裁判所の説明書面「調停離婚が成立した方へ」(令和8年4月版)によると、調停離婚は調停成立の日が離婚の日です。ただし、そのままでは戸籍に載らないので、調停成立の日から10日以内(成立の日を1日目と数える)に、調停調書謄本を付けて離婚届を出します(戸籍法77条・63条)
- 届け出る義務は申立人にあります。期間内に出さないときは相手方からも届け出ることができ、離婚届に相手の署名押印や証人は不要です
- 正当な理由なく期間内に届け出ないと、過料を受けることがあります
- 年金分割の割合を決めた場合は、調停とは別に、年金事務所などで年金分割の請求手続が必要です(裁判所Q&A)
離婚後の名字と戸籍については、離婚したら名字はどうなる?で説明しています。
まとまらなかったら
- 相手方が出席しない、出席しても離婚に応じないときは、調停は不成立で終わります(裁判所Q&A)
- 離婚の調停が不成立になっても、審判の手続には移りません。離婚を求めるなら、離婚訴訟(人事訴訟)を起こす必要があります
- 家庭裁判所は、調停が成立しない場合に相当と認めるときは、職権で「調停に代わる審判」をすることもあります(284条)。当事者が2週間以内に異議を申し立てると、その審判は効力を失います(286条、279条2項)
- 別居中の生活費(婚姻費用)の調停は、不成立になると審判に移ります。くわしくは別居中の生活費「婚姻費用」で

離婚の裁判は、原則としてまず家庭裁判所の調停を経る必要があります。調停は弁護士に依頼していなくても利用できます。
相談先
- 法的なことは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
- 手続の進め方の不安は、申立先の家庭裁判所へ
- 配偶者からの暴力があるときは、DV相談ナビ #8008(近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる)。危険を感じたら110番
まとめ
- 離婚の訴えの前に、原則として家庭裁判所の調停が必要(家事事件手続法257条、調停前置主義)
- 申立先は相手方の住所地か合意で定めた家庭裁判所。費用は収入印紙1,200円分と郵便切手
- 調停委員会(裁判官1名+調停委員2名以上)が間に入る。弁護士なしでもできる
- DVなどの事情があれば、ウェブ会議や住所の非開示の申出も。2025年3月からウェブ会議で調停離婚を成立させられる
- 成立したら10日以内に離婚届。不成立なら離婚訴訟へ
- 子どものことは共同親権の記事もどうぞ
参考文献
- 家事事件手続法(平成23年法律第52号)第54条、第244条、第245条、第257条、第258条、第268条、第279条、第284条、第286条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052 (閲覧日:2026年10月22日)
- 民法(明治29年法律第89号)第763条、第770条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 戸籍法(昭和22年法律第224号)第63条、第77条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224 (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 夫婦関係調整調停(離婚). https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_01/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 調停離婚が成立した方へ(R8.4). https://www.courts.go.jp/assets/kazi_tetsuzukisetsumei_rikon_2026.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 裁判手続 家事事件Q&A. https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府男女共同参画局. 配偶者暴力相談支援センター(「#8008」). https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。