「相続対策にアパート経営」のしくみと注意点:土地にアパートを建てると、相続税の評価で土地は「貸家建付地」として下がり、貸付事業用の土地は200㎡まで評価を50%減らせる特例も。ただし空室が多いと評価減は小さくなり、借入れと空室・修繕のリスクは残る
「相続対策のアパート経営」のしくみを、国税庁タックスアンサー No.4602(土地家屋の評価)、No.4614(貸家建付地の評価)、No.4124(小規模宅地等の特例)(いずれも令和8年4月1日現在)でまとめました。相続税の土地の評価は路線価方式か倍率方式で、家屋は固定資産税評価額。アパートなどを貸している土地は貸家建付地として「自用地の価額−自用地の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で評価され、空室があると賃貸割合が下がって評価減が小さくなります。小規模宅地等の特例では、貸付事業用宅地等は200㎡まで評価額を50%減らせますが、相続開始前3年以内に新たに貸付けを始めた宅地等は原則として対象外。節税だけを目的にすると、空室・家賃下落・借入れのリスクが残ります。個別の判断は税理士・税務署へ。

プレ男実家の畑に「アパートを建てると相続税が安くなります」って営業が来たらしい。本当に得なの?

メル美評価が下がるしくみはあるみたい。でも、空室とかローンのことも考えないと…
今回は、「相続対策のアパート経営」のしくみと注意点です。国税庁タックスアンサーの No.4602(土地家屋の評価)、No.4614(貸家建付地の評価)、No.4124(小規模宅地等の特例)(いずれも令和8年4月1日現在法令等)で確認しました。
この記事はしくみの説明です。アパートの建築や特定の業者・物件をすすめるものではありません。相続税の計算は個別の事情で大きく変わるので、実際の判断は税理士・税務署に相談してください。相続税そのものの基本は、税金の話の相続税と贈与税へ。
相続税の土地・建物の評価(No.4602)
- 土地は、路線価が決まっている地域では路線価方式、決まっていない地域では倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で評価します
- 家屋は、固定資産税評価額(×1.0)で評価します
- 賃貸されている土地や家屋は、権利関係に応じて評価額が調整されます
アパートを建てると土地の評価が下がる:貸家建付地(No.4614)
- 自分の土地にアパートやビルを建てて人に貸しているとき、その敷地を「貸家建付地」といいます
- 貸家建付地の価額は、次の式で評価します
貸家建付地の価額 = 自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合
- 借地権割合と借家権割合は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確かめられます
- 賃貸割合は、アパートの各部屋(独立部分)のうち、実際に貸している部分の割合です
計算例
あくまで仮の計算です。自用地としての価額1億円、借地権割合60%、借家権割合30%とします。
| 賃貸割合 | 評価額 | 下がる額 |
|---|---|---|
| 100%(満室) | 1億円 − 1億円×0.6×0.3×1.0 = 8,200万円 | 1,800万円 |
| 50%(半分が空室) | 1億円 − 1億円×0.6×0.3×0.5 = 9,100万円 | 900万円 |
- 空室が多いと、評価の下がり方も小さくなります
- ただし、継続して貸していた部屋で、退去後すぐに次の入居者を募集し、空室が一時的(課税時期の前後1か月程度など)なら、貸しているものとして扱える場合があります
小規模宅地等の特例(No.4124)
- 相続した宅地等のうち、亡くなった人などが事業や居住に使っていたものは、一定の面積まで評価額を減らせる特例があります
- アパートなどの貸付事業用宅地等は、200㎡まで、評価額を50%減額できます(ほかに特定事業用・特定居住用などの区分があり、面積や割合が違います)
- ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業を始めた宅地等(3年以内貸付宅地等)は、原則として対象外です(相続開始の日まで3年を超えて事業的規模で貸付けを続けていた人などは例外)

プレ男亡くなる直前に建てても、貸付の特例は使えないことがあるんだ
注意したいこと
- 相続税が減ることと、アパート経営で利益が出ることは別の話です。借入れでアパートを建てた場合、空室・家賃の下落・修繕費・金利の上昇のリスクは、建てた人(相続した人)が負います(→不動産の利回りの計算とローンのリスク)
- 「家賃保証」(サブリース)でも、家賃の減額や業者からの解約がありえます。2020年12月から、契約前にこのリスクを書面で説明することが義務になっています(→区分マンションと一棟もの)
- 空室が増えれば、上の計算例のように評価の下がり方も小さくなります
- 相続税がかからない、またはかかっても少ない人にとっては、評価を下げる効果は意味がありません
「家賃保証」の一括借り上げ契約はサブリース契約の注意点へ。
まとめ
- 土地にアパートを建てて貸すと、相続税の評価で土地は貸家建付地になり、借地権割合×借家権割合×賃貸割合の分だけ下がる
- 空室が多いと評価の下がり方は小さい
- 貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額の特例。ただし相続開始前3年以内に貸付けを始めた土地は原則対象外
- 節税と経営の採算は別。空室・家賃下落・修繕・金利・サブリースのリスクを確かめる
- 個別の判断は税理士・税務署へ
参考文献
- 国税庁. No.4602 土地家屋の評価(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4602.htm (閲覧日:2026年10月10日)
- 国税庁. No.4614 貸家建付地の評価(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm (閲覧日:2026年10月10日)
- 国税庁. No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。