アスクルの強みとは:「ASKUL」と「LOHACO」のネット通販。2026年5月期はランサムウェア攻撃で注文を一時停止し、売上高4,002億円(−16.8%)、営業損失174億円。2027年5月期は営業利益70億円の予想
アスクルを、2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年7月3日、東証の適時開示)で分析しました。2025年10月19日のランサムウェア攻撃で物流システム等が被害を受け、WEBサイトの注文受付を一時停止。売上高4,002億円(−16.8%)、営業損失174億円(前期は営業利益140億円)、経常損失191億円、親会社株主に帰属する当期純損失222億円。システム障害対応費用51億円、AP67ののれん等の減損48億円を特別損失に計上。ASKUL事業2,829億円(−21.1%)、LOHACO事業281億円(−23.8%)。11月度のASKUL事業は前年同月度比94.5%減、第4四半期は−11.4%まで回復。自己資本比率は34.2%から20.8%に低下。配当は年10円(前期38円)。2027年5月期は売上高4,900億円・営業利益70億円・年20円の予想。MonotaROとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美アスクルって、サイバー攻撃で注文が止まったよね。決算にはどれくらい影響したの?

プレ男決算短信だと、売上が2割近く減って、営業赤字になったんだって。そのあと少しずつ戻ってきているみたい
企業分析の連載、281社目はアスクルです。2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年7月3日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のMonotaROの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、アスクル株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定のサービスをすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
「ASKUL」「LOHACO」などのネット通販(eコマース)と、物流の受託を行う会社。2026年5月期は、ランサムウェア攻撃によるシステム障害で大きな赤字になった
| 項目(日本基準・連結) | 2026年5月期 | 前期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,002億円(−16.8%) | 4,811億円 |
| 営業利益 | −174億円(営業損失) | 140億円 |
| 経常利益 | −191億円(経常損失) | 138億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | −222億円(純損失) | 91億円 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | −35.3% | 11.6% |
| 自己資本比率 | 20.8% | 34.2% |
| 配当 | 年10円 | 年38円 |
2. 何で稼いでいるか
| セグメント・事業 | 売上高 | 前期比 |
|---|---|---|
| eコマース事業 | 3,931億円 | −16.8% |
| うちASKUL事業 | 2,829億円 | −21.1% |
| うちLOHACO事業 | 281億円 | −23.8% |
| うちグループ会社・内部取引消去(アルファパーチェス、フィードなど) | 821億円 | +6.7% |
| ロジスティクス事業(グループ外の物流の受託) | 63億円 | −23.6% |
| その他(飲料水の販売など) | 20億円 | −2.4% |
- eコマース事業の営業損益は、−163億円(前期は143億円の利益)でした
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 売上の回復
- ASKUL事業の売上は、システム障害直後の11月度に前年同月度比94.5%減まで落ちましたが、第4四半期(2026年2月21日〜5月20日)には−11.4%まで回復しました
- LOHACOは2026年1月20日にサービスを再開し、第4四半期は前年同期比+2.5%でした
② 手作業での出荷
- 復旧までの間も、物流システムを通さず手作業で商品を届ける流れをつくりました
③ グループ会社の売上
- アルファパーチェス、フィードなどのグループ会社の売上は+6.7%でした
4. 弱み・リスク
① サイバー攻撃の影響
- 2025年10月19日のランサムウェア攻撃で、物流システム等が被害を受け、注文の受付を一時停止しました
- システム障害対応費用51億円などを特別損失に計上しました
② 利益率の低下
- 売上総利益率は22.9%(−1.9ポイント)、売上高販管費比率は27.0%(+5.2ポイント)でした。会社は、利益率の低い商品の出荷の優先や、価格施策を含む大規模な販売促進、手作業による物流効率の低下などを理由に挙げています
③ 財務の悪化
- 自己資本比率は34.2%から20.8%に下がりました。AP67に係るのれん等の減損48億円も計上しています
5. ライバルとの比較
工場用の間接資材などをネットで売るMonotaROと並べます。決算期と会社の状況が大きく違うので、おおまかな比較です。
| アスクル(2026年5月期) | MonotaRO(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,002億円(−16.8%) | 3,339億円(+15.9%) |
| 営業利益 | −174億円 | 462億円 |
| ROE | −35.3% | 28.7% |
| 自己資本比率 | 20.8% | 63.4% |
- MonotaROのくわしい中身はMonotaROの強みとはへ。工場向けの部品はミスミグループ本社の強みとはも
- アスクルは、LINEヤフーの強みとはのコマースの事業にも名前が出てきます
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
アスクルの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年5月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| ASKUL事業の売上高の回復 | 第4四半期 前年同期比−11.4% | 決算短信(セグメント別) |
| 売上総利益率・販管費比率 | 22.9%・27.0% | 決算短信(セグメント別) |
| 自己資本比率 | 20.8% | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年5月期 売上高4,900億円、営業利益70億円、当期純利益40億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年10円、2027年5月期予想20円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男サイバー攻撃は、会社の売上や利益に大きく響くんだね。2027年の回復の予想が実際にどうなるか見ておこう
まとめ
- アスクルは、ASKUL・LOHACOのネット通販の会社
- 2025年10月のランサムウェア攻撃で注文を一時停止
- 2026年5月期は売上高4,002億円(−16.8%)、営業損失174億円
- 第4四半期にはASKUL事業が−11.4%まで回復
- 2027年5月期は営業利益70億円・年20円の予想
参考文献
- アスクル. 2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年7月3日). https://www2.jpx.co.jp/disc/26780/140120260703587650.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- MonotaRO. 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月3日). https://corp.monotaro.com/ir/upload_file/tdnrelease/3064_20260203545388_P01_.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。