千代田化工建設の強みとは:LNGプラントのEPCが完成工事高の約58%。米国Golden Pass LNGの契約改定などで2026年3月期は営業利益821億円(+236.2%)。A種優先株式の償還を優先して普通株は無配、2027年3月期は営業利益100億円の予想
千代田化工建設を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で分析しました。完成工事高4,939億円(+8.1%)、営業利益821億円(+236.2%、米国Golden Pass LNG(GPX)プロジェクトの採算見直しと国内外の主要案件の順調な進捗)、経常利益925億円(+187.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益847億円(+213.7%)、自己資本比率22.2%(前期5.1%)。完成工事高のうちLNGプラント関係が2,884億円(58.4%)。受注工事高2,980億円(+41.1%、中東の石油・石油化学、出光興産の全固体電池向け固体電解質の大型パイロット装置など)、受注残高6,131億円。GPXはTrain1で2026年3月にLNGの初期生産を達成。A種優先株式(払込額700億円)を2028年6月末までに全株償還することを目指し、それまでは普通株式を無配に。2027年3月期は完成工事高3,400億円・営業利益100億円(−87.8%)の予想。日揮ホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美千代田化工建設って、2026年3月期にすごく利益が増えたんだって?

プレ男決算短信を見ると、米国のLNGプラントの採算の見直しの影響が大きいみたい。でも来期は大きく減る予想で、普通株の配当もないんだって
企業分析の連載、209社目は千代田化工建設です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。比較には、この連載の日揮ホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、千代田化工建設株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
LNG・石油・石油化学などのプラントや、脱炭素・金属・先端素材・ライフサイエンス関連の設備の設計・調達・建設(EPC)をするエンジニアリングの会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 完成工事高(売上高) | 4,939億円 | +8.1% |
| 営業利益 | 821億円 | +236.2% |
| 営業利益率 | 16.6% | 前期 5.3% |
| 経常利益 | 925億円 | +187.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 847億円 | +213.7% |
| 自己資本比率 | 22.2% | 前期 5.1% |
| 受注工事高 | 2,980億円 | +41.1% |
| 受注残高 | 6,131億円 | −17.1% |
| 配当(普通株式) | 無配 | 前期も無配 |
- 営業利益は、米国のGolden Pass LNG(GPX)プロジェクトの採算見直しや、国内外の主要案件の順調な進捗で大きく増えました
- 自己資本が小さいため、ROE(決算短信では123.1%)は大きくぶれやすい数字です
2. 何で稼いでいるか
報告セグメントはエンジニアリング事業のみです。完成工事高の内訳(事業部門別)を見ます。
| 分野 | 完成工事高 | 構成比 |
|---|---|---|
| LNGプラント関係 | 2,884億円(+15.2%) | 58.4% |
| 石油・石油化学関係 | 658億円(+98.0%) | 13.3% |
| その他ガス関係 | 81億円(+69.5%) | 1.6% |
- 受注残高6,131億円のうち、海外が67.5%です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① LNGプラントのEPC
- 米国のGPXプロジェクトは、2025年11月にTrain2・Train3の改定EPC契約を結び、Train1〜3の全系列で工事を進める体制を確立しました。Train1は2026年3月に建設と試運転を完了し、LNGの初期の生産を達成しました。カタールでは、年産800万トンのLNGプラント4系列の増設工事を進めています
② 受注の回復
- 受注工事高は、中東の石油・石油化学関連設備や、出光興産から受注した全固体電池向けの固体電解質の大型パイロット装置などで+41.1%でした
③ 財務の改善
- 当期純利益で利益剰余金が増え、自己資本比率は5.1%→22.2%に改善しました
4. 弱み・リスク
① 来期の大幅な減益予想
- 2027年3月期は、完成工事高3,400億円(−31.2%)、営業利益100億円(−87.8%)の予想です
② 優先株式と無配
- A種優先株式(払込額700億円)があり、会社は2028年6月末までに全株式の償還を目指しています。償還が終わるまでは、分配可能額をすべて償還に充てるため、普通株式は無配です。全株償還のあと、スタンダード市場からプライム市場への変更や、普通株主への復配を目指すとしています
③ 大型案件と中東情勢
- カタールの案件では、中東情勢の緊迫化で工事の一時的な停止などの影響がありました(2026年3月中旬に工事を再開)。大型の海外案件は、資機材価格の変動や地政学リスクで採算が変わります
5. ライバルとの比較
同じくプラントエンジニアリングの日揮ホールディングスと並べます。どちらも日本基準・2026年3月期です。
| 千代田化工建設 | 日揮ホールディングス | |
|---|---|---|
| 売上高(完成工事高) | 4,939億円(+8.1%) | 7,453億円(−13.1%) |
| 営業利益 | 821億円(+236.2%) | 354億円 |
| 営業利益率 | 16.6% | 4.7% |
| 受注高 | 2,980億円 | 4,781億円 |
| 受注残高 | 6,131億円 | 1兆1,666億円 |
| 自己資本比率 | 22.2% | 51.2% |
| 配当 | 無配 | 年52円 |
- 当期の利益は千代田化工建設が大きく上回りましたが、財務の厚さ・受注残高・配当は日揮が上回ります(→日揮ホールディングスの強みとは)。LNGの開発会社はINPEXの強みとは、固体電解質のパイロット装置を発注した会社は出光興産の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
千代田化工建設の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| GPXプロジェクトの進み具合 | Train1でLNGの初期生産 | 決算短信(経営成績) |
| 受注工事高・受注残高 | 2,980億円・6,131億円 | 決算短信(受注実績) |
| A種優先株式の償還 | 2028年6月末までに全株償還を目指す | 決算短信(利益配分) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 完成工事高3,400億円、営業利益100億円、当期純利益120億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 無配、2027年3月期は未定 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美今期の大きな利益は採算の見直しの影響が大きいのね。優先株の償還と、来期の受注がどうなるかを見ておきたいな
まとめ
- 千代田化工建設は、LNGプラントが中心のエンジニアリングの会社
- 2026年3月期はGPXの採算見直しなどで営業利益821億円(+236.2%)
- 自己資本比率は5.1%→22.2%に改善
- A種優先株式の償還を優先し、普通株は無配
- 2027年3月期は営業利益100億円(−87.8%)の予想
参考文献
- 千代田化工建設. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www.chiyodacorp.com/jp/ir/assets/2025Q4_Tanshin_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日揮ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www.jgc.com/jp/ir/ir-library/assets/pdf/fy25_tanshin.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。