日揮ホールディングスの強みとは:LNGなどのプラントを設計・調達・建設する「総合エンジニアリング」が売上の約9割、触媒・ファインセラミックスの「機能材製造」も。2026年3月期は営業利益354億円で黒字化、受注残高は1兆1,666億円
日揮ホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で分析しました。売上高7,453億円(−13.1%)、営業利益354億円(前期は115億円の損失、海外大型プロジェクトの完工などで採算が改善)、経常利益582億円(+414.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益418億円、ROE10.2%、自己資本比率51.2%。受注高4,781億円(海外57%)、受注残高1兆1,666億円。セグメントは、総合エンジニアリング(売上高6,796億円、営業利益336億円、LNG・石油精製などのプラントのEPC)、機能材製造(売上高570億円、営業利益77億円、FCC触媒、半導体・ハードディスク向けのシリカゾル、窒化ケイ素基板)。一部顧客で設備投資の最終決定を先送りする動き、中東のプロジェクトへの影響も。年52円の配当、2027年3月期は売上高6,700億円・営業利益400億円・受注高1兆7,400億円の予想。千代田化工建設との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日揮って、何をつくっている会社なの?

メル美決算短信を見ると、世界でLNG(液化天然ガス)などの大きなプラントを設計して、資材を調達して、建設する会社なんだって。触媒などの材料もつくっているみたい
企業分析の連載、208社目は日揮ホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。比較には、この連載の千代田化工建設の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日揮ホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
LNG・石油精製・石油化学・ガス処理などのプラントや、半導体・データセンターなどの施設の設計・調達・建設(EPC)をする「総合エンジニアリング」と、触媒・ファインケミカル・ファインセラミックスの「機能材製造」の会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,453億円 | −13.1% |
| 営業利益 | 354億円 | 前期は115億円の損失 |
| 営業利益率 | 4.7% | 前期 −1.3% |
| 経常利益 | 582億円 | +414.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 418億円 | 前期は4億円の損失 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 10.2% | 前期 −0.1% |
| 自己資本比率 | 51.2% | 前期 49.8% |
| 受注高 | 4,781億円(海外57%・国内43%) | |
| 受注残高 | 1兆1,666億円 | |
| 配当 | 年52円(配当性向30.1%) | 前期 40円 |
- 総合エンジニアリングで、海外の大型プロジェクトが複数完工するなど、国内外の大型プロジェクトの着実な遂行で採算が改善しました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 総合エンジニアリング | 海外のLNG・石油・ガス、一般産業(半導体・データセンターなど)、国内の化学・食品などのEPC | 6,796億円(−14.5%) | 336億円(前期は損失) |
| 機能材製造 | アジア向けのFCC触媒(石油精製触媒)、半導体・ハードディスク向けのシリカゾル、窒化ケイ素基板などのファインセラミックス | 570億円(+4.3%) | 77億円(−6.4%) |
| その他 | 87億円(+2.8%) | 21億円(−12.2%) |
- 売上高の約91%、営業利益の合計434億円のうち約77%が総合エンジニアリングです(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① LNGプラントの案件
- 天然ガス・LNGの需要が高く、産油・産ガス国でプラントの新設・増設の計画が進みました。当期は、モザンビーク向けの浮体式LNG設備の先行業務、インドネシア向けの陸上LNGプラントなどの基本設計などを受注し、パプアニューギニアの大型LNGプロジェクトでは優先契約交渉候補に選ばれました
② 大きな受注残高
- 受注残高は1兆1,666億円です。2027年3月期は受注高1兆7,400億円を見込んでいます
③ 機能材製造
- 触媒は、アジアを中心にFCC触媒の需要が伸びました。ファインセラミックスでは、生成AIを中心とした半導体・電子材料関連の需要が好調で、窒化ケイ素基板などを増産する新工場で生産を始めました
4. 弱み・リスク
① 大型プロジェクトの採算
- 前期は115億円の営業損失でした。大型プロジェクトは、資機材や建設費用の変動で採算が大きく変わります
② 投資判断の先送り
- 金利上昇や建設費用の増加で顧客の設備投資額が上がり、一部の顧客で最終決定を2026年度以降に先送りする動きがありました。水素・燃料アンモニア・SAFなどのサステナブル分野で特に目立ちました。受注目標6,500億円に対し、総合エンジニアリングの受注高は4,092億円でした
③ 中東情勢
- 中東で進めているプロジェクトでは、社員・関係者の安全確保を最優先に対応しています。会社は、翌期の前半に遂行に支障がなくなるという想定で、期末時点で見積もった影響額を業績に反映したとしています
5. ライバルとの比較
同じくプラントエンジニアリングの千代田化工建設と並べます。どちらも日本基準・2026年3月期です。
| 日揮ホールディングス | 千代田化工建設 | |
|---|---|---|
| 売上高(完成工事高) | 7,453億円(−13.1%) | 4,939億円(+8.1%) |
| 営業利益 | 354億円 | 821億円(+236.2%) |
| 営業利益率 | 4.7% | 16.6% |
| 受注高 | 4,781億円 | 2,980億円 |
| 受注残高 | 1兆1,666億円 | 6,131億円 |
| 自己資本比率 | 51.2% | 22.2% |
| 配当 | 年52円 | 無配 |
- 千代田化工建設は当期の利益率が高い一方、財務の厚さと受注残高は日揮が上回ります(→千代田化工建設の強みとは)。LNGの開発会社はINPEXの強みとは、重工業の会社はIHIの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日揮の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 受注高・受注残高 | 4,781億円・1兆1,666億円 | 決算短信(経営成績) |
| 総合エンジニアリングの営業利益 | 336億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 中東情勢の影響 | 影響額を業績に反映 | 決算短信(経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高6,700億円、営業利益400億円、当期純利益460億円、受注高1兆7,400億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年52円、2027年3月期予想52円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男大きなプラントの会社は、受注と採算がカギなんだね。来期の受注高の予想が大きいから、本当に受注できるかを見ておこう
まとめ
- 日揮HDは、LNGなどのプラントのEPCと触媒・ファインセラミックスの会社
- 2026年3月期は営業利益354億円で黒字に戻った
- 受注残高は1兆1,666億円、来期の受注高は1兆7,400億円の予想
- 顧客の投資判断の先送りと中東情勢がリスク
- 年52円の配当、2027年3月期は営業利益400億円の予想
参考文献
- 日揮ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www.jgc.com/jp/ir/ir-library/assets/pdf/fy25_tanshin.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 千代田化工建設. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www.chiyodacorp.com/jp/ir/assets/2025Q4_Tanshin_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。