IHIの強みとは:民間航空エンジン・防衛・宇宙の「航空・宇宙・防衛」が報告セグメントの営業利益の約4分の3。原子力などの資源・エネルギー、車両過給機、橋梁も。2026年3月期は営業利益1,655億円(+15.3%)、ROE28.4%
IHIを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日、東証の適時開示)で分析しました。受注高1兆9,547億円(+11.6%)、売上収益1兆6,434億円(+1.0%)、営業利益1,655億円(+15.3%、営業利益率10.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,610億円(+42.8%)、ROE28.4%、親会社所有者帰属持分比率26.9%。セグメントの営業損益は、航空・宇宙・防衛1,124億円(民間航空エンジンのアフターマーケット拡大、PW1100G-JMエンジンの追加検査プログラムに対応)、産業システム・汎用機械307億円(車両過給機)、資源・エネルギー・環境59億円(受注高6,247億円、原子力)、社会基盤37億円。運搬機械事業などの譲渡、JMU(ジャパン マリンユナイテッド)の持分の一部を今治造船へ譲渡する事業ポートフォリオ改革。2025年10月1日に1株→7株の株式分割。2027年3月期は売上収益1兆8,300億円・営業利益2,400億円(+45.0%)・年23円の予想。三菱重工業・川崎重工業との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男IHIって、何をつくっている会社なの?

メル美決算短信を見ると、いまは航空エンジンや防衛・宇宙が利益の中心なんだって。JMUという会社の持分の一部を今治造船に譲渡したみたい
企業分析の連載、139社目はIHIです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の三菱重工業の強みとは・川崎重工業の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、IHI株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
航空エンジン・ロケット・防衛機器の「航空・宇宙・防衛」を主力に、原動機・原子力機器などの資源・エネルギー・環境、車両過給機などの産業システム、橋梁・水門などの社会基盤を手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 受注高 | 1兆9,547億円 | +11.6% |
| 売上収益 | 1兆6,434億円 | +1.0% |
| 営業利益 | 1,655億円 | +15.3% |
| 営業利益率 | 10.1% | 前期 8.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,610億円 | +42.8% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 28.4% | 前期 26.3% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 26.9% | 前期 21.5% |
| 配当 | 中間70円(分割前)+期末10円(分割後)、配当性向13.2% | ー |
- 営業利益は、民間向け航空エンジンの整備費用や研究開発費などの増加、一部海外事業の採算悪化があった一方、原子力の採算性向上、車両過給機、運搬機械事業と投資不動産の譲渡益などで増えました
- 2025年10月1日に1株→7株の株式分割をしています。分割の影響を除くと、2026年3月期の年間配当は140円です(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な事業(決算短信の記載) | 受注高 | 売上収益 | 営業損益 |
|---|---|---|---|---|
| 航空・宇宙・防衛 | 航空エンジン、ロケットシステム・宇宙利用、防衛機器システム | 7,031億円 | 6,517億円(+17.3%) | 1,124億円(−8.4%) |
| 産業システム・汎用機械 | 車両過給機、パーキング、回転機械、物流・産業システムなど | 4,607億円 | 4,505億円(−7.1%) | 307億円(+185.0%) |
| 資源・エネルギー・環境 | 原動機、カーボンソリューション、原子力機器など | 6,247億円(+68.7%) | 3,767億円(−8.4%) | 59億円(−63.1%) |
| 社会基盤 | 橋梁・水門、交通システム、シールドシステムなど | 1,332億円 | 1,319億円(−9.6%) | 37億円 |
- 報告セグメントの営業損益の合計1,528億円のうち、航空・宇宙・防衛が約74%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 民間航空エンジンのアフターマーケット
- 民間向け航空エンジンでは、運航時間の増加などを背景にアフターマーケット事業(整備など)が拡大しています。会社は、中核事業のライフサイクルビジネスは中長期的に安定的な成長が見込まれるとしています
② 防衛・宇宙
- 防衛力強化政策を背景に大型案件の受注を進めています。次期戦闘機(GCAP)用エンジンの国際共同開発にも取り組んでいます
③ 原子力と事業の入れ替え
- 資源・エネルギー・環境の受注高は+68.7%でした。会社は、原子力発電の再稼働や革新原子炉の製造への取り組みを進めるとしています。運搬機械事業などの譲渡や、JMUの持分の一部の今治造船への譲渡など、事業ポートフォリオ改革を進めました
4. 弱み・リスク
① PW1100G-JMエンジンの追加検査プログラム
- 出荷済みのPW1100G-JMエンジンの追加検査プログラムへの対応が続いています。航空・宇宙・防衛の営業損益には、このプログラムの為替変動の影響(−50億円)が含まれます
② 低い自己資本の比率
- 親会社所有者帰属持分比率は26.9%です
③ 地政学リスクとサプライチェーン
- 中東情勢の悪化や中国の輸出規制などで、サプライチェーンの混乱や物価高騰の影響が生じているとしています
5. ライバルとの比較
重工業の三菱重工業・川崎重工業と比べます。3社ともIFRS・2026年3月期ですが、利益の指標が違う(三菱重工業・川崎重工業は会社独自の事業利益、IHIは営業利益)ので、おおまかな比較です。
| IHI | 三菱重工業 | 川崎重工業 | |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆6,434億円(+1.0%) | 4兆9,741億円(+14.1%) | 2兆3,112億円(+8.5%) |
| 利益(営業/事業) | 1,655億円(営業) | 4,322億円(事業) | 1,451億円(事業) |
| 利益率 | 10.1% | 8.7% | 6.3% |
| ROE | 28.4% | 12.2% | 13.7% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 26.9% | 37.3% | 26.4% |
- 規模は三菱重工業が大きく、ROEはIHIが高い水準です(→三菱重工業の強みとは、川崎重工業の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
IHIの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 航空・宇宙・防衛の営業損益 | 1,124億円 | 決算短信(報告セグメント別の業績) |
| 資源・エネルギー・環境の受注高 | 6,247億円 | 決算短信(報告セグメント別の業績) |
| 譲渡益などの一度きりの利益 | 運搬機械事業・投資不動産の譲渡益 | 決算短信(経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆8,300億円、営業利益2,400億円、当期利益1,650億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 2027年3月期予想 年23円(分割後) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男いまは航空エンジンの整備や防衛が中心なんだね。エンジンの追加検査がどうなるかも見ておこう
まとめ
- IHIは、航空・宇宙・防衛が中心で、資源・エネルギー、産業システム、社会基盤も手がける会社
- 2026年3月期は営業利益1,655億円(+15.3%)、ROE28.4%
- 営業利益の約74%が航空・宇宙・防衛(報告セグメントの合計に対して)
- 民間航空エンジンのアフターマーケットが拡大、PW1100G-JMの追加検査への対応が続く
- 2027年3月期は営業利益2,400億円(+45.0%)の予想
参考文献
- IHI. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/70130/140120260507518926.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三菱重工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://www.mhi.com/jp/finance/library/result/pdf/fy20254q/kessan_tansin.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 川崎重工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/70120/140120260511523885.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。