三菱重工業の強みとは:発電用ガスタービン・原子力などの「エナジー」と、防衛航空機・艦艇・宇宙の「航空・防衛・宇宙」が2本柱。2026年3月期は受注高7兆6,536億円(+19.5%)、売上収益4兆9,741億円、事業利益4,322億円(+21.8%)
三菱重工業を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。受注高7兆6,536億円(+19.5%)、売上収益4兆9,741億円(+14.1%)、事業利益4,322億円(+21.8%、事業利益率8.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益3,321億円(+35.3%)、ROE12.2%。セグメント利益はエナジー2,672億円(火力・原子力・風力発電システム、航空機用エンジンなど)、航空・防衛・宇宙1,515億円(防衛航空機、飛しょう体、艦艇、宇宙機器など)、プラント・インフラ841億円、物流・冷熱・ドライブシステム330億円。三菱ロジスネクスト(現ロジスネクスト)の事業を非継続事業に分類。2027年3月期は売上収益5兆4,000億円・事業利益5,400億円・年29円の見通し。IHIとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男三菱重工って、ロケットや戦闘機をつくってる会社だよね? 一番稼いでるのはそこなの?

メル美発電所の機械もつくってるって聞いたよ。AIのデータセンターで電気がたくさんいるって話と関係あるのかな
企業分析の連載、32社目は三菱重工業です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較にはIHIの2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三菱重工株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
発電システム(ガスタービン・原子力など)と、防衛・宇宙の機器を2本柱に、プラントや冷熱製品もつくる重工業の会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 受注高 | 7兆6,536億円 | +19.5% |
| 売上収益 | 4兆9,741億円 | +14.1% |
| 事業利益(会社の指標) | 4,322億円 | +21.8% |
| 事業利益率 | 8.7% | 前期 8.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3,321億円 | +35.3% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 12.2% | 前期 10.7% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 37.3% | 前期 35.2% |
| 配当 | 年25円(配当性向25.3%) | 前期 23円 |
- 三菱ロジスネクスト(現 ロジスネクスト)の事業を非継続事業に分類したため、受注高・売上収益・事業利益は、それを除いた数字です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な製品(決算短信の記載から) | 売上収益 | セグメント利益 | 前期 |
|---|---|---|---|---|
| エナジー | 火力発電システム(GTCC、スチームパワー)、原子力、風力、航空機用エンジン、コンプレッサ、舶用機械 | 2兆626億円 | 2,672億円 | 2,053億円 |
| 航空・防衛・宇宙 | 民間航空機、防衛航空機、飛しょう体、艦艇、特殊機械(魚雷)、特殊車両、宇宙機器 | 1兆3,938億円 | 1,515億円 | 999億円 |
| プラント・インフラ | 製鉄機械、商船、交通システム、化学プラント、環境設備など | 8,808億円 | 841億円 | 596億円 |
| 物流・冷熱・ドライブシステム | 冷熱製品、エンジン、ターボチャージャ、カーエアコン | 6,308億円 | 330億円 | 204億円 |
- エナジーと航空・防衛・宇宙で、4セグメントの利益の約78%です
- 受注高はエナジーなどで、売上収益は航空・防衛・宇宙とエナジーなどで増えたとしています
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 発電システムの受注
- 受注高は1兆2,484億円増の7兆6,536億円で、エナジーなどで増えました。受注は、数年先の売上のもとになります
- 会社は、世界経済についてAI関連分野の生産や投資の拡大による成長を挙げています
② 防衛・宇宙
- 航空・防衛・宇宙のセグメント利益は999億円→1,515億円。防衛航空機、飛しょう体、艦艇、宇宙機器などを手がけます
③ キャッシュ・フロー
- 営業キャッシュ・フローは9,426億円(前期5,304億円)
4. 弱み・リスク
① 通商政策・地政学・為替
- 会社は、米国の通商政策の不確実性、中東情勢などの地政学リスクを挙げています。2027年3月期の見通しは1ドル150円、1ユーロ180円が前提です
5. ライバルとの比較
重工大手のIHIと比べます(どちらもIFRS・2026年3月期)。利益の指標が違う(三菱重工は事業利益、IHIは営業利益)ので、おおまかな比較です。
| 三菱重工業 | IHI | |
|---|---|---|
| 受注高 | 7兆6,536億円(+19.5%) | 1兆9,547億円 |
| 売上収益 | 4兆9,741億円(+14.1%) | 1兆6,434億円(+1.0%) |
| 利益 | 事業利益4,322億円(8.7%) | 営業利益1,655億円(約10.1%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3,321億円 | 1,609億円 |
- 規模は三菱重工が大きく上回ります。IHIは2025年10月1日に1株を7株に分割しています
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三菱重工の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 受注高(とくにエナジー) | 7兆6,536億円 | 決算短信 |
| エナジーのセグメント利益 | 2,672億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 航空・防衛・宇宙のセグメント利益 | 1,515億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 会社の業績見通し | 2027年3月期 売上収益5兆4,000億円、事業利益5,400億円、当期利益3,800億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年25円、2027年3月期予想29円 | 決算短信 |
- 受注高は将来の売上の先行きを示す数字です。売上より先に受注の動きを見ます
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。重電・インフラの会社は日立製作所の強みとは

メル美ロケットや防衛のイメージが強いけど、一番稼いでいるのは発電の機械なんだ。受注が増えているかも大事なんだね
建設機械・鉱山機械の会社はコマツの強みとはへ。
ほかの重工業の会社は川崎重工業の強みとはとIHIの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 三菱重工は、エナジー(発電システム)と航空・防衛・宇宙が2本柱
- 2026年3月期は受注高7兆6,536億円(+19.5%)、事業利益4,322億円(+21.8%)
- 稼ぎ頭はエナジー(2,672億円)、防衛・宇宙も大きく増益
- リスクは通商政策・地政学・為替
- 2027年3月期は事業利益5,400億円の見通し
参考文献
- 三菱重工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://www.mhi.com/jp/finance/library/result/pdf/fy20254q/kessan_tansin.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- IHI. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日). https://www.ihi.co.jp/all_news/2026/ir/__icsFiles/afieldfile/2026/05/08/FY2025_kt_1.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。