企業分析2026年10月12日

出光興産の強みとは:石油製品(燃料油)がセグメント利益の約4分の3。化学品・潤滑油・電力・資源(石油・天然ガス・石炭)も。2026年3月期は売上高8兆1,059億円(−11.8%)・営業利益2,122億円(+30.8%)。原油価格の急騰でプラスのタイムラグ

出光興産を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高8兆1,059億円(−11.8%、原油価格の下落)、営業利益2,122億円(+30.8%、営業利益率2.6%、燃料油の原油価格急騰によるプラスのタイムラグ影響が資源の石炭市況の下落を上回る)、経常利益2,296億円(+6.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,719億円(+65.2%)、ROE9.4%、自己資本比率36.0%。セグメント損益(営業損益+持分法投資損益)は、燃料油1,777億円(+45.5%、在庫評価影響除き2,071億円)、資源331億円(−57.2%)、高機能材334億円(+18.5%)、基礎化学品−68億円、電力・再生可能エネルギー−18億円。2027年3月期からIFRSを任意適用し、在庫影響除きの当期利益900億円の予想。年36円の配当、在庫影響除き当期利益に対して総還元性向50%以上と累進配当の方針。ENEOSホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

目次
  1. 1. ひとことで言うと
  2. 2. 何で稼いでいるか
  3. 3. 強み
  4. 4. 弱み・リスク
  5. 5. ライバルとの比較
  6. 6. 投資プレイヤー的チェックポイント
  7. まとめ

メル美原油の値段が上がると、石油の会社はもうかるの?

プレ男出光興産の決算短信を見ると、原油価格が急に上がったことで、燃料油の利益が増えたって書いてあるよ

企業分析の連載、136社目は出光興産です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較には、この連載のENEOSホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。

この記事は会社のしくみと数字の解説で、出光興産株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

1. ひとことで言うと

原油を精製した石油製品(燃料油)の生産・販売を中心に、オレフィンなどの基礎化学品、潤滑油・電子材料などの高機能材、発電・電力販売、原油・天然ガス・石炭の開発と生産も手がける会社

項目(日本基準・連結) 2026年3月期 前期比
売上高 8兆1,059億円 −11.8%
営業利益 2,122億円 +30.8%
営業利益率 2.6% 前期 1.8%
経常利益 2,296億円 +6.9%
親会社株主に帰属する当期純利益 1,719億円 +65.2%
ROE(自己資本当期純利益率) 9.4% 前期 5.9%
自己資本比率 36.0% 前期 36.0%
配当 年36円(配当性向25.6%) 前期 36円

2. 何で稼いでいるか

セグメント損益は、セグメントの営業損益と持分法投資損益の合計です。

セグメント 中身(決算短信の記載) 売上高 セグメント損益
燃料油 石油精製製品の生産・販売・輸出入、トレーディング 6兆7,934億円(−11.7%) 1,777億円(+45.5%)
高機能材 潤滑油、機能化学品、電子材料、機能舗装材、アグリバイオなど 5,032億円(−0.0%) 334億円(+18.5%)
資源 原油・天然ガス・石炭などの探鉱・開発・生産・販売、地熱 2,035億円(−23.3%) 331億円(−57.2%)
基礎化学品 オレフィン・アロマ製品 4,914億円(−16.3%) −68億円
電力・再生可能エネルギー 火力・太陽光・風力などの発電、電力販売 982億円(−23.0%) −18億円

3. 強み

会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。

① 燃料油の規模

② 高機能材の伸び

③ 株主還元の方針

4. 弱み・リスク

① 原油価格と在庫評価

② 資源の市況

③ 赤字の事業

5. ライバルとの比較

石油元売り大手のENEOSホールディングスと比べます。会計基準(出光興産は日本基準、ENEOSはIFRS)と、在庫影響の扱いが違うので、おおまかな比較です。

出光興産 ENEOSホールディングス
売上高 8兆1,059億円(−11.8%) 11兆7,655億円(−4.5%)
営業利益 2,122億円(+30.8%) 4,666億円(+339.8%)
親会社に帰属する当期(純)利益 1,719億円(+65.2%) 2,587億円(+14.4%)
ROE 9.4% 8.0%
自己資本比率 36.0% 37.1%

6. 投資プレイヤー的チェックポイント

出光興産の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。

見ておく数字 2026年3月期 どこに書いてある
燃料油の在庫評価影響除きの損益 2,071億円 決算短信(セグメント別利益)
資源のセグメント損益 331億円 決算短信(セグメント別利益)
会社の業績予想(IFRS) 2027年3月期 在庫影響除きの当期利益900億円、当期利益750億円 決算短信(連結業績予想)
前提の原油価格・為替 ドバイ原油81.3ドル/バレル、151.3円/ドル 決算短信(連結業績予想)
配当 年36円、2027年3月期予想36円 決算短信

メル美原油の値段が動くと、利益も大きく動くのね。在庫の影響を除いた数字も見るようにしよう

まとめ


参考文献

  1. 出光興産. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.idemitsu.com/jp/news/2026/260512_1.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
  2. ENEOSホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/50200/140120260512526455.pdf (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。