大王製紙の強みとは:新聞用紙・段ボールなどの「紙・板紙」と、ティシュー・紙おむつなどの「ホーム&パーソナルケア」の2本柱。2026年3月期は営業利益240億円(+145.0%)、海外の構造改革で黒字に転換
大王製紙を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日、東証の適時開示)で分析しました。売上高6,668億円(−0.3%)、営業利益240億円(+145.0%、営業利益率3.6%)、経常利益213億円(+371.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益89億円(前期は112億円の損失)、ROE3.8%、自己資本比率26.6%。セグメント利益は、紙・板紙141億円(+56.7%、いわき大王製紙のボイラー再稼働によるエネルギーコストの改善、中国・東南アジア向け輸出)、ホーム&パーソナルケア81億円(前期は14億円の損失、ソフトパックティシュー・長尺トイレットペーパーなどの付加価値商品と価格改定、海外の構造改革でトルコ子会社を売却)。年14円の配当、2027年3月期は営業利益240億円・当期純利益120億円の予想。王子ホールディングス・日本製紙との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美大王製紙って、ティシューやトイレットペーパーの会社だよね

プレ男決算短信を見ると、新聞用紙や段ボールの「紙・板紙」もあって、売上はそっちのほうが大きいんだって
企業分析の連載、224社目は大王製紙です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の王子ホールディングスの強みとは・日本製紙の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、大王製紙株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
新聞用紙・印刷用紙・包装用紙・板紙・段ボールなどの「紙・板紙」と、衛生用紙(ティシュー・トイレットペーパー)・紙おむつ・ナプキン・ペット用品などの「ホーム&パーソナルケア」をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,668億円 | −0.3% |
| 営業利益 | 240億円 | +145.0% |
| 営業利益率 | 3.6% | 前期 1.5% |
| 経常利益 | 213億円 | +371.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 89億円 | 前期は112億円の損失 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 3.8% | 前期 −4.6% |
| 自己資本比率 | 26.6% | 前期 26.7% |
| 配当 | 年14円(配当性向26.1%) | 前期 14円 |
- 営業利益は、ホーム&パーソナルケアの海外事業の構造改革による固定費の削減、国内の付加価値商品の伸びと価格改定、紙・板紙のエネルギーコストの改善などで大きく増えました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 紙・板紙 | 新聞用紙は増販、洋紙はデジタル化で需要減、板紙・段ボールは中国・東南アジア向け輸出が増加、いわき大王製紙のボイラー再稼働 | 3,503億円 | 141億円(+56.7%) |
| ホーム&パーソナルケア | 国内はソフトパックティシュー・長尺トイレットペーパーなどの付加価値商品と価格改定、ペットケアも好調。海外は構造改革 | 2,989億円(+1.2%) | 81億円(前期は14億円の損失) |
| その他 | 木材・機械・物流など | 176億円(−9.8%) | 18億円(−15.0%) |
- セグメント利益の合計240億円のうち、紙・板紙が約59%、ホーム&パーソナルケアが約34%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 付加価値商品と価格改定
- 国内のホーム&パーソナルケアでは、ソフトパックティシューや長尺トイレットペーパーなどの付加価値商品が伸び、物流費・人件費の上昇を背景にした価格改定も浸透しました
② 海外事業の構造改革
- トルコの子会社を売却し、中国での不採算の取引を見直すなどの構造改革で、ホーム&パーソナルケアは黒字に転換しました
③ エネルギーコストの改善
- いわき大王製紙のボイラー再稼働で、紙・板紙のエネルギーコストが改善しました
4. 弱み・リスク
① 紙の需要の減少
- 新聞用紙は発行部数・頁数の減少で、洋紙はデジタル化で、需要の減退が続いています。会社も、紙・板紙は需要の減少を前提とした事業運営を行うとしています
② 少子化と原材料
- ベビーケア(紙おむつ)は少子化で販売数量・売上高が減りました。古紙や薬品などの原材料価格も高止まりしています
③ 財務と資本効率
- 自己資本比率は26.6%、ROEは3.8%です
5. ライバルとの比較
製紙の会社と並べます。3社とも日本基準・2026年3月期です。
| 大王製紙 | 王子ホールディングス | 日本製紙 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,668億円(−0.3%) | 1兆8,617億円(+0.7%) | 1兆1,926億円(+0.9%) |
| 営業利益 | 240億円(+145.0%) | 346億円(−48.9%) | 252億円(+27.9%) |
| 営業利益率 | 3.6% | 1.9% | 2.1% |
| ROE | 3.8% | 5.0% | 2.4% |
| 自己資本比率 | 26.6% | 41.0% | 29.2% |
- 大王製紙は、規模は小さいものの営業利益率は3社でいちばん高くなりました(→王子ホールディングスの強みとは、日本製紙の強みとは)。紙おむつなどの日用品の会社はユニ・チャームの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
大王製紙の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 紙・板紙のセグメント利益 | 141億円 | 決算短信(セグメントの状況) |
| ホーム&パーソナルケアのセグメント利益 | 81億円 | 決算短信(セグメントの状況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高6,800億円、営業利益240億円、当期純利益120億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年14円、2027年3月期予想14円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美紙の需要が減るなかで、ティシューなどの付加価値商品と海外の立て直しで利益を出したのね
まとめ
- 大王製紙は、紙・板紙とホーム&パーソナルケアの2本柱の会社
- 2026年3月期は営業利益240億円(+145.0%)
- 海外の構造改革でホーム&パーソナルケアが黒字に転換
- 紙・板紙はエネルギーコストの改善と輸出で増益、ただし紙の需要は減少
- 2027年3月期は営業利益240億円・当期純利益120億円の予想
参考文献
- 大王製紙. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/38800/140120260515536921.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 王子ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://pdf.irpocket.com/C3861/WUpy/rz8q/DvR4.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本製紙. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/38630/140120260514535670.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。