日本製紙の強みとは:洋紙・板紙の「紙・板紙」と、家庭紙・液体用紙容器・機能性フィルムの「生活関連」が2本柱、木材・建材、電力も。2026年3月期は営業利益252億円(+27.9%)だが紙・板紙はほぼ利益ゼロ、ROE2.4%
日本製紙を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日、東証の適時開示)で分析しました。売上高1兆1,926億円(+0.9%)、営業利益252億円(+27.9%、営業利益率2.1%、海外事業のNDP社の通常操業への復帰とOpal社メアリーベール工場のコストダウン)、経常利益231億円(+49.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益117億円(+158.7%)、ROE2.4%、自己資本比率29.2%。セグメントの営業利益は、木材・建材・土木建設関連100億円(+4.7%)、生活関連72億円(前期は61億円の損失、クレシア宮城工場の寄与)、エネルギー33億円、紙・板紙6億円(−93.2%、洋紙の輸出の減少)。中期経営計画2030はROE8%以上・営業利益600億円以上が目標。年15円の配当、2027年3月期は中東情勢の影響70億円を織り込み営業利益250億円の予想。王子ホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日本製紙って、紙の会社だよね。紙で稼いでいるの?

メル美決算短信を見ると、紙・板紙は売上がいちばん大きいのに、利益はほとんど出ていないんだって。木材・建材や、家庭紙などの生活関連が利益を出しているみたい
企業分析の連載、212社目は日本製紙です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の王子ホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本製紙株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
洋紙・板紙・パルプの「紙・板紙」、家庭紙・紙加工品(液体用紙容器など)・化成品の「生活関連」、電力の「エネルギー」、木材・建材・土木建設の4つの事業をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆1,926億円 | +0.9% |
| 営業利益 | 252億円 | +27.9% |
| 営業利益率 | 2.1% | 前期 1.7% |
| 経常利益 | 231億円 | +49.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 117億円 | +158.7% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 2.4% | 前期 1.0% |
| 自己資本比率 | 29.2% | 前期 28.3% |
| 配当 | 年15円(配当性向14.8%) | 前期 10円 |
- 営業利益は、海外事業で、NDP社(日本ダイナウェーブパッケージング)が前期の大規模なメンテナンス休転から通常操業に戻ったことや、Opal社メアリーベール工場の操業効率の改善などで増えました
- 国内事業では、人件費や物流費の上昇が続き、原価改善や価格修正に取り組みました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 木材・建材・土木建設関連 | バイオマス燃料の需要は増加、新設住宅着工戸数の減少 | 765億円(−2.8%) | 100億円(+4.7%) |
| 生活関連 | 家庭紙はクレシア宮城工場が通期で寄与、機能性フィルムはモバイル端末向けが堅調 | 4,820億円(+5.3%) | 72億円(前期は61億円の損失) |
| エネルギー | 石炭価格の下落で販売電力価格が低下 | 432億円(−10.6%) | 33億円(−6.4%) |
| 紙・板紙 | 洋紙の国内販売数量は前期を上回ったが、輸出は市況悪化で減少 | 5,579億円(−1.4%) | 6億円(−93.2%) |
- 売上高の約47%が紙・板紙ですが、営業利益は6億円にとどまりました(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 生活関連の回復
- 家庭紙は、2024年度に稼働したクレシア宮城工場が通期で寄与しました。生活関連は、前期の61億円の損失から72億円の利益に戻りました
② 木材・建材
- 木材・建材・土木建設関連は営業利益100億円で、4つのセグメントの中でいちばん大きな利益です。バイオマス燃料の需要が増えました
③ 海外事業の立て直し
- NDP社が通常操業に戻り、Opal社メアリーベール工場では操業効率の改善によるコストダウンと増産が寄与しました
4. 弱み・リスク
① 紙・板紙の需要減少
- 洋紙の需要の減少が続いています。紙・板紙の営業利益は93.2%減りました
② 低い資本効率と財務
- ROEは2.4%、自己資本比率は29.2%です。会社は、中期経営計画2030でROE8%以上、ROIC4%以上、営業利益600億円以上を目標にしています(→東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請とは)
③ 中東情勢と原燃料価格
- 2027年3月期は、原燃料価格が全期間で高止まりする前提で、価格修正の浸透に時間がかかることを見込み、中東情勢の影響として70億円の減益を織り込んでいます
5. ライバルとの比較
同じく製紙大手の王子ホールディングスと並べます。どちらも日本基準・2026年3月期です。
| 日本製紙 | 王子ホールディングス | |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆1,926億円(+0.9%) | 1兆8,617億円(+0.7%) |
| 営業利益 | 252億円(+27.9%) | 346億円(−48.9%) |
| 営業利益率 | 2.1% | 1.9% |
| ROE | 2.4% | 5.0% |
| 自己資本比率 | 29.2% | 41.0% |
- 2社とも営業利益率は2%前後です。財務の厚さとROEは王子HDが上回ります(→王子ホールディングスの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日本製紙の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 紙・板紙の営業利益 | 6億円 | 決算短信(セグメントの状況) |
| 生活関連の営業利益 | 72億円 | 決算短信(セグメントの状況) |
| ROE(中期経営計画の目標8%以上) | 2.4% | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆2,200億円、営業利益250億円、当期純利益100億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年15円、2027年3月期予想15円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男紙の会社なのに、紙ではほとんど利益が出ていないんだね。中期経営計画の目標にどこまで近づけるかを見ておこう
ティシューや紙おむつも手がける製紙の会社は大王製紙の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 日本製紙は、紙・板紙、生活関連、エネルギー、木材・建材の会社
- 2026年3月期は営業利益252億円(+27.9%)
- 紙・板紙は営業利益6億円、利益の柱は木材・建材と生活関連
- ROEは2.4%、中期経営計画の目標はROE8%以上・営業利益600億円以上
- 2027年3月期は中東情勢の影響を織り込み営業利益250億円の予想
参考文献
- 日本製紙. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/38630/140120260514535670.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 王子ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://pdf.irpocket.com/C3861/WUpy/rz8q/DvR4.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。