企業分析2026年10月12日

日本製紙の強みとは:洋紙・板紙の「紙・板紙」と、家庭紙・液体用紙容器・機能性フィルムの「生活関連」が2本柱、木材・建材、電力も。2026年3月期は営業利益252億円(+27.9%)だが紙・板紙はほぼ利益ゼロ、ROE2.4%

日本製紙を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日、東証の適時開示)で分析しました。売上高1兆1,926億円(+0.9%)、営業利益252億円(+27.9%、営業利益率2.1%、海外事業のNDP社の通常操業への復帰とOpal社メアリーベール工場のコストダウン)、経常利益231億円(+49.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益117億円(+158.7%)、ROE2.4%、自己資本比率29.2%。セグメントの営業利益は、木材・建材・土木建設関連100億円(+4.7%)、生活関連72億円(前期は61億円の損失、クレシア宮城工場の寄与)、エネルギー33億円、紙・板紙6億円(−93.2%、洋紙の輸出の減少)。中期経営計画2030はROE8%以上・営業利益600億円以上が目標。年15円の配当、2027年3月期は中東情勢の影響70億円を織り込み営業利益250億円の予想。王子ホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

目次
  1. 1. ひとことで言うと
  2. 2. 何で稼いでいるか
  3. 3. 強み
  4. 4. 弱み・リスク
  5. 5. ライバルとの比較
  6. 6. 投資プレイヤー的チェックポイント
  7. まとめ

プレ男日本製紙って、紙の会社だよね。紙で稼いでいるの?

メル美決算短信を見ると、紙・板紙は売上がいちばん大きいのに、利益はほとんど出ていないんだって。木材・建材や、家庭紙などの生活関連が利益を出しているみたい

企業分析の連載、212社目は日本製紙です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の王子ホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。

この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本製紙株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

1. ひとことで言うと

洋紙・板紙・パルプの「紙・板紙」、家庭紙・紙加工品(液体用紙容器など)・化成品の「生活関連」、電力の「エネルギー」、木材・建材・土木建設の4つの事業をもつ会社

項目(日本基準・連結) 2026年3月期 前期比
売上高 1兆1,926億円 +0.9%
営業利益 252億円 +27.9%
営業利益率 2.1% 前期 1.7%
経常利益 231億円 +49.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 117億円 +158.7%
ROE(自己資本当期純利益率) 2.4% 前期 1.0%
自己資本比率 29.2% 前期 28.3%
配当 年15円(配当性向14.8%) 前期 10円

2. 何で稼いでいるか

セグメント 主な動き(決算短信の記載) 売上高 営業利益
木材・建材・土木建設関連 バイオマス燃料の需要は増加、新設住宅着工戸数の減少 765億円(−2.8%) 100億円(+4.7%)
生活関連 家庭紙はクレシア宮城工場が通期で寄与、機能性フィルムはモバイル端末向けが堅調 4,820億円(+5.3%) 72億円(前期は61億円の損失)
エネルギー 石炭価格の下落で販売電力価格が低下 432億円(−10.6%) 33億円(−6.4%)
紙・板紙 洋紙の国内販売数量は前期を上回ったが、輸出は市況悪化で減少 5,579億円(−1.4%) 6億円(−93.2%)

3. 強み

会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。

① 生活関連の回復

② 木材・建材

③ 海外事業の立て直し

4. 弱み・リスク

① 紙・板紙の需要減少

② 低い資本効率と財務

③ 中東情勢と原燃料価格

5. ライバルとの比較

同じく製紙大手の王子ホールディングスと並べます。どちらも日本基準・2026年3月期です。

日本製紙 王子ホールディングス
売上高 1兆1,926億円(+0.9%) 1兆8,617億円(+0.7%)
営業利益 252億円(+27.9%) 346億円(−48.9%)
営業利益率 2.1% 1.9%
ROE 2.4% 5.0%
自己資本比率 29.2% 41.0%

6. 投資プレイヤー的チェックポイント

日本製紙の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。

見ておく数字 2026年3月期 どこに書いてある
紙・板紙の営業利益 6億円 決算短信(セグメントの状況)
生活関連の営業利益 72億円 決算短信(セグメントの状況)
ROE(中期経営計画の目標8%以上) 2.4% 決算短信のサマリー
会社の業績予想 2027年3月期 売上高1兆2,200億円、営業利益250億円、当期純利益100億円 決算短信
配当 年15円、2027年3月期予想15円 決算短信

プレ男紙の会社なのに、紙ではほとんど利益が出ていないんだね。中期経営計画の目標にどこまで近づけるかを見ておこう

ティシューや紙おむつも手がける製紙の会社は大王製紙の強みとはも参考にしてください。

まとめ


参考文献

  1. 日本製紙. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/38630/140120260514535670.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
  2. 王子ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://pdf.irpocket.com/C3861/WUpy/rz8q/DvR4.pdf (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。