DOWAホールディングスの強みとは:廃棄物処理・リサイクルの「環境・リサイクル」が営業利益の約半分。金・銀・PGM・亜鉛の製錬、電子材料、伸銅品の金属加工、熱処理も。2026年3月期は営業利益342億円(+6.1%)、株式売却益で当期純利益625億円
DOWAホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日、東証の適時開示)で分析しました。売上高7,454億円(+9.8%、金・銀・PGMなど貴金属価格の上昇)、営業利益342億円(+6.1%、営業利益率4.6%)、経常利益543億円(+24.6%、海外亜鉛鉱山の持分法利益の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益625億円(+130.2%、藤田観光株式の一部譲渡などの投資有価証券売却益250億円)、ROE14.6%、自己資本比率57.3%。部門の営業利益は、環境・リサイクル160億円(+15.2%、廃棄物処理・土壌浄化・家電リサイクル)、金属加工93億円(+75.9%、AIサーバー向けなどの伸銅品)、製錬70億円(−34.1%、ヘッジ取引評価損失と原料の購入条件の悪化)、熱処理20億円、電子材料は27億円の損失。年368円の配当(特別配当100円を含む)、2027年3月期は営業利益530億円・年338円の予想。三菱マテリアル・住友金属鉱山との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男DOWAって、金属の会社?

メル美決算短信を見ると、金や亜鉛の製錬もしているけど、営業利益の約半分は廃棄物処理やリサイクルの「環境・リサイクル」なんだって
企業分析の連載、204社目はDOWAホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の三菱マテリアルの強みとは・住友金属鉱山の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、DOWAホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
廃棄物処理・土壌浄化・リサイクルの「環境・リサイクル」、金・銀・PGM(白金族金属)・亜鉛などの「製錬」、半導体・銀粉などの「電子材料」、伸銅品・めっき・回路基板の「金属加工」、「熱処理」の5部門をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,454億円 | +9.8% |
| 営業利益 | 342億円 | +6.1% |
| 営業利益率 | 4.6% | 前期 4.7% |
| 経常利益 | 543億円 | +24.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 625億円 | +130.2% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 14.6% | 前期 7.0% |
| 自己資本比率 | 57.3% | 前期 59.2% |
| 配当 | 年368円(特別配当100円を含む、配当性向35.1%) | 前期 150円 |
- 売上高は、金・銀・PGMなどの貴金属価格の上昇で増えました
- 経常利益は、海外亜鉛鉱山の運営会社などの持分法による投資利益(153億円)が増えて大きく増えました
- 当期純利益には、投資有価証券売却益250億円が含まれます。特別配当100円は、藤田観光株式の一部譲渡にともなう特別利益(約230億円)から税相当額を引いた額の35%にあたります
2. 何で稼いでいるか
| 部門 | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 環境・リサイクル | 廃棄物の溶融・再資源化、家電リサイクルの処理量が増加、インドネシアの廃棄物処理 | 2,272億円(+26.1%) | 160億円(+15.2%) |
| 金属加工 | 伸銅品は自動車関連とAIサーバー向けなどの情報通信関連が増加 | 1,473億円(+14.4%) | 93億円(+75.9%) |
| 製錬 | 貴金属価格の上昇で増収、ヘッジ取引評価損失、亜鉛の原料の購入条件が悪化 | 3,648億円(+37.0%) | 70億円(−34.1%) |
| 熱処理 | 国内の自動車生産の回復で受託加工が増加 | 340億円(+0.7%) | 20億円(−5.9%) |
| 電子材料 | ウェアラブル機器向けの近赤外LEDが量産開始、銀粉は競争激化と原料調達費用の増加 | 1,046億円(−36.6%) | −27億円 |
- 5部門の営業利益の合計316億円のうち、環境・リサイクルが約51%です(計算値)
- 製錬部門の経常利益は197億円(+14.8%)で、海外亜鉛鉱山の持分法による投資利益が金属価格の上昇で増えました
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 環境・リサイクル
- 廃棄物処理・土壌浄化・家電リサイクルなどで、処理単価は堅調、溶融・再資源化の処理量も増えました。会社は「中期計画2027」で「循環のクオリティを追求する。」をテーマに、循環型のビジネスモデルを強化するとしています
② 貴金属などのリサイクル製錬
- 製錬部門では、金・銀などの貴金属銅事業や、使用済みの自動車排ガス浄化触媒からPGMを回収する事業をしています。PGM事業では、触媒の集荷量が増えました
③ 株主還元の方針
- 配当は「配当性向35%または1株当たり150円のいずれか高いほう」とする方針です
4. 弱み・リスク
① 金属価格・為替とヘッジ
- 製錬部門は、円安と貴金属価格の上昇にともなうヘッジ取引評価損失(デリバティブ評価損失)を計上しました。金属価格や為替の動きで利益が大きく変わります(→金積立と金価格)
② 製錬原料の購入条件
- 亜鉛の製錬原料の購入条件が悪化し、収益に影響しました
③ 電子材料の赤字
- 電子材料部門は、銀粉の競争激化や銀価格の高騰にともなう原料調達の費用増加で、27億円の営業損失でした
5. ライバルとの比較
非鉄金属の会社と並べます。会計基準(住友金属鉱山はIFRS)と事業の中身が違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| DOWAホールディングス | 三菱マテリアル | 住友金属鉱山 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,454億円(+9.8%) | 1兆8,441億円(−6.0%) | 1兆7,416億円(+9.3%) |
| 当期純利益(当期利益) | 625億円(+130.2%) | 406億円(+19.1%) | 1,763億円(+969.3%) |
| ROE | 14.6% | 5.7% | 9.0% |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 57.3% | 24.5% | 58.3% |
- DOWAは、株式の売却益もありROEが3社でいちばん高くなりました(→三菱マテリアルの強みとは、住友金属鉱山の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
DOWAの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 環境・リサイクルの営業利益 | 160億円 | 決算短信(主要セグメント) |
| 製錬の営業利益・経常利益 | 70億円・197億円 | 決算短信(主要セグメント) |
| 持分法による投資利益 | 153億円 | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高9,410億円、営業利益530億円、当期純利益570億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年368円、2027年3月期予想338円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男金属の会社だと思ってたけど、リサイクルや廃棄物処理が利益の柱なんだね。金属価格やヘッジの影響も見ておこう
まとめ
- DOWAは、環境・リサイクル・製錬・電子材料・金属加工・熱処理の会社
- 2026年3月期は営業利益342億円(+6.1%)
- 営業利益の約半分が環境・リサイクル
- 藤田観光株式の売却などで当期純利益625億円、特別配当100円
- 2027年3月期は営業利益530億円・年338円の予想
参考文献
- DOWAホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/57140/140120260512527418.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三菱マテリアル. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://data.swcms.net/file/corp-mmc/dam/jcr:6c9aa7c2-c0b3-4478-abad-87650cebbfba/140120260420507076.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 住友金属鉱山. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日). https://www.smm.co.jp/news/release/uploaded_files/20260511_1_JP.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。