日本取引所グループ(JPX)の強みとは:取引所と清算機関(日本証券クリアリング機構)を持つ「取引所の会社」。株の売買が増えるほどもうかるしくみで、2026年3月期は営業収益1,987億円(+22.5%)、営業利益率58.5%。配当性向60%以上が目標
日本取引所グループ(JPX)を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日)で分析しました。営業収益1,987億円(+22.5%)、営業利益1,162億円(+29.0%、営業利益率58.5%)、親会社の所有者に帰属する当期利益791億円(+29.5%)、ROE23.1%。営業収益の内訳は、取引関連収益773億円(現物の売買代金が増え取引料が増加、+20.0%)、清算関連収益542億円(+57.5%)、情報関連収益336億円(相場情報料・指数ビジネス)、上場関連収益186億円、システム関連収益138億円。日本証券クリアリング機構の清算業務の資産・負債を両建てで計上するため、資産合計は71兆円、持分比率は0.5%。配当は年61円(配当性向79.4%)、配当性向60%以上が目標。2027年3月期は1日平均売買代金(株券等)7兆5,000億円を前提に営業収益2,050億円・営業利益1,150億円の予想。香港取引所との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美この連載でよく出てくる「日本取引所グループ」って、それ自体も上場している会社なの?

プレ男え、取引所の株も買えるの? みんなが株を売り買いするほどもうかるのかな
企業分析の連載、48社目は日本取引所グループ(JPX)です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日)で確認しました。比較には、香港取引所(HKEX)の2025年の決算発表(2026年2月26日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本取引所グループ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。この連載では、JPXのルールや資料を出典としてよく使っていますが、JPXの株をすすめる意図はありません。
1. ひとことで言うと
東京証券取引所・大阪取引所や、売買の決済を引き受ける日本証券クリアリング機構などを持つ「取引所の会社」
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1,987億円 | +22.5% |
| 営業費用 | 835億円 | +11.4% |
| 営業利益 | 1,162億円 | +29.0% |
| 営業利益率 | 58.5% | 前期 55.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 791億円 | +29.5% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 23.1% | 前期 18.3% |
| 配当 | 年61円(配当性向79.4%) |
- 資産合計は71兆5,995億円、親会社所有者帰属持分比率は0.5%です。これは、子会社の日本証券クリアリング機構の清算業務に係る大きな「清算引受資産・負債」や「清算参加者預託金」を、資産と負債の両方に計上しているためです
2. 何で稼いでいるか
営業収益の内訳(2026年3月期)です。2026年3月期から6つの区分に変わり、前期の数字も組みかえられています。
| 区分 | 中身(決算短信の記載から) | 金額 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 取引関連収益 | 現物の売買代金やデリバティブの取引高に応じた取引料、アクセス料など | 773億円 | +20.0% |
| 清算関連収益 | 日本証券クリアリング機構の清算手数料など | 542億円 | +57.5% |
| 情報関連収益 | 相場情報料、指数ビジネス | 336億円 | +5.5% |
| 上場関連収益 | 新規・追加上場料、年間上場料 | 186億円 | +7.9% |
| システム関連収益 | arrownet、コロケーションサービスの利用料 | 138億円 | +4.3% |
- 取引関連収益の中の現物の取引料は552億円(+28.2%)で、株の売買代金が増えたことがいちばん大きな増収の理由です
- 一方、日経平均株価先物の取引料は−10.9%でした(日経225先物などのしくみは日経225先物・オプションのしくみへ)
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 日本の株式市場の中心
- 現物株の売買代金が増えると、取引料が増えるしくみです
② 売買以外の稼ぎ
- 清算、相場情報・指数、上場料、システムの利用料など、売買代金以外の収益も全体の約6割あります
③ 高い利益率
- 営業利益率は58.5%、ROEは23.1%です
4. 弱み・リスク
① 相場しだいの収益
- 2027年3月期の会社予想は、1日平均の売買代金(株券等)7兆5,000億円などを前提にしています。相場が冷えて売買が減ると、取引料が減ります
② 費用の増加
- 営業費用は11.4%増え、その他の営業費用は63.7%増でした
③ 清算機関としてのリスク
- 会社は、配当の方針の中で「清算機関としてのリスクへの備え」を挙げています。取引の決済を引き受けるため、大きな市場の混乱のときのリスクがあります
5. ライバルとの比較
アジアの大きな取引所の香港取引所(HKEX)と比べます。決算期(HKEXは12月期)・会計基準・通貨が違うので、おおまかな比較です(金額は香港ドル)。
| JPX(2026年3月期) | HKEX(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 収益 | 営業収益1,987億円(+22.5%) | 収益・その他収益291億6,100万香港ドル(+30%) |
| 利益 | 当期利益791億円(+29.5%) | 株主に帰属する利益177億5,400万香港ドル(+36%) |
| 利益率の指標 | 営業利益率58.5% | EBITDAマージン79% |
- どちらも売買が増えた年に大きく増益しました。HKEXも、増収は現物・デリバティブ・商品の各市場の過去最高の取引量によるものだとしています
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
JPXの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 現物の取引料 | 552億円 | 決算短信(取引関連収益の内訳) |
| 清算関連収益 | 542億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想の前提(1日平均売買代金) | 2027年3月期 株券等7兆5,000億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 営業収益2,050億円、営業利益1,150億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年61円、2027年3月期予想61円(配当性向80.9%) | 決算短信 |
- 配当は「配当性向60%以上」が目標です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。株の売買のしくみは株式投資の基本へ

メル美みんなが株を売り買いするほど取引所はもうかるのね。でも、相場が冷えたら逆になるから、売買代金の前提を見ておくといいんだ
証券会社は野村ホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- JPXは、取引所と清算機関を持つ会社
- 2026年3月期は営業収益1,987億円(+22.5%)、営業利益率58.5%、ROE23.1%
- 増収は株の売買代金の増加(現物の取引料+28.2%)と清算関連収益(+57.5%)
- 収益は相場(売買代金)しだい
- 配当は配当性向60%以上が目標
参考文献
- 日本取引所グループ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日). https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0063/t13vrt0000013rwv-att/J_ER_JPX_Q4FY2025.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- Hong Kong Exchanges and Clearing Limited. 2025 Final Results(2026年2月26日). https://www.hkexgroup.com/-/media/HKEX-Group-Site/ssd/Investor-Relations/annouce/documents/2026/260226_final_e.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。