神戸製鋼所の強みとは:鉄鋼・アルミの素材に、機械・エンジニアリング・建設機械(コベルコ)・電力(発電所)まで持つ会社。2026年3月期は売上高2兆4,366億円・経常利益1,213億円(−22.8%)。素材は不振で、利益の柱は機械(467億円)と電力(347億円)
神戸製鋼所を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で分析しました。売上高2兆4,366億円(−4.6%)、営業利益1,299億円(−18.2%)、経常利益1,213億円(−22.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益937億円(−22.0%)、ROE7.7%、自己資本比率44.0%。セグメントの経常利益は、機械467億円(+141億円、等方圧加圧装置の需要とサービス案件)、電力347億円(−175億円、神戸発電所3号機の定期点検の延長、燃料費調整の時期ずれなどの増益影響の縮小)、エンジニアリング126億円、建設機械123億円(前期の補償金収入の剥落)、素形材87億円、溶接58億円、鉄鋼アルミ28億円(−207億円、建設需要の停滞と在庫評価の悪化)。年80円の配当(前期100円)、2027年3月期は数量の回復とコスト改善で営業利益1,500億円・年80円の予想。日本製鉄との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男神戸製鋼って鉄の会社だよね。鉄が売れないと大変なんじゃない?

メル美決算短信を見ると、いま利益がいちばん大きいのは「機械」と「電力」なんだって。発電所も持っているのね
企業分析の連載、121社目は神戸製鋼所です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。比較には、この連載の日本製鉄の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、神戸製鋼所株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄鋼・アルミ板、鋳鍛鋼などの素材に、溶接材料、産業機械、エンジニアリング、建設機械、発電所による電力の事業を組み合わせた会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆4,366億円 | −4.6% |
| 営業利益 | 1,299億円 | −18.2% |
| 経常利益 | 1,213億円 | −22.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 937億円 | −22.0% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 7.7% | 前期 10.8% |
| 自己資本比率 | 44.0% | 前期 40.2% |
| 配当 | 年80円(配当性向33.6%) | 前期 100円 |
- 機械の既受注案件の進み具合で売上が増えた一方、固定費などのコスト増や、電力の燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小、神戸発電所3号機の定期点検の延長などで減益でした
- 経常利益は、前期に建設機械で計上した欧州でのエンジン認証に関する補償金収入がなくなったことなどでも減りました
2. 何で稼いでいるか
セグメント利益は経常利益で示されています。
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | 経常利益 |
|---|---|---|---|
| 機械 | 等方圧加圧装置(IP装置)など | 2,827億円(+6.6%) | 467億円(+141億円) |
| 電力 | 神戸発電所などの売電 | 2,032億円(−21.5%) | 347億円(−175億円) |
| エンジニアリング | 廃棄物処理関連など | 1,938億円(+10.9%) | 126億円(−34億円) |
| 建設機械 | 油圧ショベル、クローラクレーン | 3,895億円(前期並み) | 123億円(−64億円) |
| 素形材 | 鋳鍛鋼、アルミ押出、サスペンションなど | 3,328億円(+5.0%) | 87億円(−20億円) |
| 溶接 | 溶接材料 | 964億円(+2.7%) | 58億円(+6億円) |
| 鉄鋼アルミ | 鋼材、アルミ板 | 9,969億円(−10.7%) | 28億円(−207億円) |
- 売上高がいちばん大きいのは鉄鋼アルミですが、経常利益は28億円にとどまり、機械と電力が利益の柱です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 機械の好調
- 等方圧加圧装置(IP装置)の需要が好調で、受注高は2,701億円(+2.9%)、経常利益は前期より141億円増えました
② 電力の安定収益
- 発電所による電力事業は、2026年3月期は減益だったものの、経常利益347億円と大きな柱です
③ 事業の多さ
- 素材・機械・建設機械・電力と、利益の源が分かれています
4. 弱み・リスク
① 鉄鋼の不振
- 鋼材は、人手不足や建設費の上昇を背景とした建設需要の停滞で販売数量が減り、メタルスプレッドの悪化や在庫評価の悪化も重なりました。鉄鋼アルミの経常利益は207億円減りました
② 電力の一過性要因
- 電力は、燃料費調整の時期ずれや売電価格に関する一過性の増益影響が縮小し、神戸発電所3号機の定期点検の延長もあって減益でした
③ 減損
- アルミ板で固定資産の減損損失を計上しました
5. ライバルとの比較
鉄鋼大手の日本製鉄と比べます。会計基準(日本製鉄はIFRS)と事業の中身(神戸製鋼は機械・電力の比重が大きい)が違うので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| 神戸製鋼所 | 日本製鉄 | |
|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 2兆4,366億円(−4.6%) | 10兆632億円(+15.7%) |
| 本業の利益 | 経常利益 1,213億円 | 事業利益 5,141億円 |
| 親会社株主(所有者)に帰属する当期純利益 | 937億円 | 171億円 |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 44.0% | 37.7% |
- 規模は日本製鉄がはるかに大きい一方、2026年3月期の当期純利益は神戸製鋼所が上回りました(→日本製鉄の強みとは)。建設機械の会社はコマツ(小松製作所)の強みとは、電力会社は関西電力の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
神戸製鋼所の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の経常利益 | 機械467億円、電力347億円、鉄鋼アルミ28億円など | 決算短信(セグメント毎の状況) |
| 機械の受注高・受注残高 | 2,701億円・2,412億円 | 決算短信(機械) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高2兆5,600億円程度、営業利益1,500億円程度 | 決算短信 |
| 配当 | 年80円、2027年3月期予想80円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男鉄の会社だと思っていたけど、機械と発電所が利益を支えているんだね。鉄鋼の回復も見ておこう
まとめ
- 神戸製鋼所は、素材・機械・建設機械・電力を持つ会社
- 2026年3月期は経常利益1,213億円(−22.8%)
- 利益の柱は機械(467億円)と電力(347億円)
- 鉄鋼アルミは建設需要の停滞などで経常利益28億円
- 2027年3月期は数量の回復とコスト改善で営業利益1,500億円程度の予想
参考文献
- 神戸製鋼所. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www.kobelco.co.jp/ir/results/pdf/260511_kessan.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本製鉄. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www.nipponsteel.com/ir/library/settlement/pdf/20260513_100.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。