松井証券の強みとは:個人投資家向けのネット証券。2026年3月期は株の売買代金が35%増え、純営業収益491億円(+32.2%)、当期純利益155億円(+47.4%)、ROE19.6%。稼ぎは委託手数料・金融収支・FX
松井証券を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(2026年4月27日、東証の適時開示)で分析しました。営業収益527億円(+34.3%)、純営業収益491億円(+32.2%)、営業利益235億円(+50.1%)、経常利益238億円(+55.7%)、当期純利益155億円(+47.4%)、ROE19.6%、自己資本比率6.1%。受入手数料260億円(+30.0%、うち委託手数料248億円)、金融収支173億円(+29.0%、金利上昇で預託金の収益分配金が増加)、トレーディング損益58億円(+55.1%、FX)。二市場の個人の株式等委託売買代金は+37%、同社は+35%。不正アクセスによる不正取引の顧客への補償も。年50円の配当(配当性向83.2%)、2027年3月期の配当予想は未定。大和証券グループ本社との比較と、見ておくべき数字も。売買や証券会社の選択をすすめるものではありません。

メル美ネット証券の会社って、どうやってもうけているの?

プレ男松井証券の決算短信だと、売買の手数料のほかに、信用取引の金利や、お客さんから預かったお金の運用の収益も大きいんだって
企業分析の連載、247社目は松井証券です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(2026年4月27日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の大和証券グループ本社の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、松井証券株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の証券会社をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
個人投資家向けに、株式などの売買の取次(委託売買)、信用取引、FXなどのサービスをオンラインで提供する証券会社
| 項目(日本基準・非連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 527億円 | +34.3% |
| 純営業収益 | 491億円 | +32.2% |
| 営業利益 | 235億円 | +50.1% |
| 経常利益 | 238億円 | +55.7% |
| 当期純利益 | 155億円 | +47.4% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 19.6% | 前期 13.8% |
| 自己資本比率 | 6.1% | 前期 6.8% |
| 配当 | 年50円(配当性向83.2%) | 前期 40円 |
- 純営業収益は、営業収益から金融費用を差し引いた、証券会社の売上にあたる数字です
- 決算短信によると、主な資産は顧客からの預り金などを信託銀行に預けた預託金と信用取引貸付金、主な負債は預り金・受入保証金・短期借入金です
2. 何で稼いでいるか
| 収益の項目 | 2026年3月期 | 主な動き(決算短信の記載) |
|---|---|---|
| 受入手数料 | 260億円(+30.0%) | うち委託手数料248億円。株式等委託売買代金の増加 |
| 金融収支 | 173億円(+29.0%) | 金利水準の上昇などで、預託金の収益分配金が増加 |
| トレーディング損益 | 58億円(+55.1%) | 主にFX取引のトレーディング益 |
- 二市場(東京・名古屋)の株式等売買代金は+32%、個人の株式等委託売買代金は+37%、松井証券の株式等委託売買代金は+35%でした
- 販売費・一般管理費は256億円(+19.2%)で、広告宣伝費や人件費が増えました
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 個人投資家の取引の伸びを取り込む
- 主な顧客は個人投資家で、株価が大きく動いた局面などで取引が増え、委託手数料が伸びました
② 金利上昇の追い風
- お客さまから預かったお金を信託銀行に預けた預託金の収益分配金が、金利の上昇などで増え、金融収支が+29.0%でした
③ 高いROE
- ROEは19.6%で、会社が目標とする株主資本コスト(8%)を上回りました
4. 弱み・リスク
① 相場しだいの業績
- 会社自身が、委託手数料と信用取引の金融収益の水準は、ともに株式市場の相場環境に大きく左右されるとしています
② 不正アクセスへの対応
- フィッシング詐欺やマルウェアによるとみられる顧客口座への不正アクセスの不正取引について、被害を受けた顧客への補償費用を特別損失に計上しました(→証券口座の乗っ取りに注意)
③ 配当予想は未定
- 2027年3月期の配当予想は未定です。配当性向は83.2%でした
5. ライバルとの比較
総合証券の大和証券グループ本社と並べます。事業の中身と、連結・非連結のちがいがあるので、おおまかな比較です。どちらも2026年3月期です。
| 松井証券(非連結) | 大和証券G本社(連結) | |
|---|---|---|
| 純営業収益 | 491億円(+32.2%) | 7,204億円(+11.5%) |
| 経常利益 | 238億円(+55.7%) | 2,345億円(+4.4%) |
| 当期純利益 | 155億円(+47.4%) | 1,753億円(+13.5%) |
| ROE | 19.6% | 10.3% |
| 自己資本比率 | 6.1% | 4.6% |
- 規模は大きくちがいますが、ROEは松井証券が高い結果です(→大和証券グループ本社の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
松井証券の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 株式等委託売買代金の伸び | +35% | 決算短信(経営成績の概況) |
| 委託手数料 | 248億円 | 決算短信(受入手数料) |
| 金融収支 | 173億円 | 決算短信(金融収支) |
| 信用取引貸付金 | 4,236億円(+27.1%) | 決算短信(財政状態) |
| 配当 | 年50円、2027年3月期予想は未定 | 決算短信 |
- 信用取引のしくみは信用取引のしくみとリスク、指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美相場がにぎわうと手数料が増えて、金利が上がると預かり金の収益も増えるのね。相場しだいなのも覚えておこう
まとめ
- 松井証券は、個人投資家向けのオンライン証券会社
- 2026年3月期は当期純利益155億円(+47.4%)、ROE19.6%
- 稼ぎは委託手数料(248億円)、金融収支(173億円)、FX
- 業績は株式市場の相場環境に大きく左右される
- 不正アクセスの被害の補償も計上
参考文献
- 松井証券. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(2026年4月27日). https://www2.jpx.co.jp/disc/86280/140120260424510220.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 大和証券グループ本社. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月27日). https://www2.jpx.co.jp/disc/86010/140120260427511323.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。