三井E&Sの強みとは:船の大型エンジン(舶用推進システム)と港のコンテナクレーン(物流システム)が営業利益の約4分の3。2026年3月期は営業利益376億円(+62.7%)、ROE19.3%。アンモニア焚きエンジンの開発、米国向けクレーンも
三井E&Sを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日、東証の適時開示)で分析しました。受注高3,158億円(−25.1%)、売上高3,532億円(+12.1%)、営業利益376億円(+62.7%、営業利益率10.7%)、経常利益449億円(+61.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益385億円(−1.6%、関係会社株式売却益の減少)、ROE19.3%、自己資本比率46.3%。セグメントの営業利益は、舶用推進システム145億円(+93.6%、大型エンジン・二元燃料エンジン、アフターサービス)、物流システム139億円(+134.1%、コンテナクレーン)、成長事業推進88億円(+28.4%、産業機械)、周辺サービス8億円。2025年12月にR&Iから発行体格付「A−」を取得。年57円の配当、2027年3月期は営業利益320億円(−15.0%)・年60円の予想。川崎重工業・IHIとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男三井E&Sって、何をつくっている会社なの?

メル美決算短信を見ると、船を動かす大きなエンジンと、港でコンテナを積み下ろしするクレーンが利益の中心なんだって
企業分析の連載、157社目は三井E&Sです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の川崎重工業の強みとは・IHIの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三井E&S株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
船の大型エンジン・二元燃料エンジン(舶用推進システム)、港湾のコンテナクレーン(物流システム)、送風機・圧縮機などの産業機械(成長事業推進)を手がける会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 受注高 | 3,158億円 | −25.1% |
| 売上高 | 3,532億円 | +12.1% |
| 営業利益 | 376億円 | +62.7% |
| 営業利益率 | 10.7% | 前期 7.3% |
| 経常利益 | 449億円 | +61.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 385億円 | −1.6% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 19.3% | 前期 25.1% |
| 自己資本比率 | 46.3% | 前期 37.8% |
| 配当 | 年57円(配当性向15.0%) | 前期 20円 |
- 営業利益は、売上高の増加に加え、舶用推進システムと物流システムの損益の改善で大きく増えました
- 当期純利益が少し減ったのは、関係会社株式売却益が減ったことなどによるものです
- 2025年12月に、格付投資情報センター(R&I)から発行体格付「A−」(方向性ポジティブ)を新たに取得しました
2. 何で稼いでいるか
当期から報告セグメントの区分を変更しています(前期も組み替えて比較)。
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 受注高 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|---|
| 舶用推進システム | 大型エンジン・二元燃料エンジンの増加、アフターサービスが好調 | 1,311億円(−38.5%) | 1,497億円(+10.5%) | 145億円(+93.6%) |
| 物流システム | コンテナクレーンの大型工事が順調、採算が改善 | 666億円(−12.6%) | 652億円(+3.9%) | 139億円(+134.1%) |
| 成長事業推進 | 産業機械製品の増加、アフターサービスが好調 | 433億円(−5.8%) | 438億円(+9.3%) | 88億円(+28.4%) |
| 周辺サービス | 国内のシステム関連・鋼構造物、海外子会社 | ー | 943億円(+25.5%) | 8億円(前期は損失) |
- 4つのセグメントの営業利益の合計380億円のうち、舶用推進システムが約38%、物流システムが約37%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 船のエンジンと環境対応
- 二元燃料エンジンの需要が広がり、グループ会社でのWinGDライセンスのエンジンなど、両ライセンスのエンジンを生産する体制を整えました。アンモニア焚きエンジンとアンモニア燃料供給装置の試験も完了しました
② コンテナクレーンの海外展開
- 東南アジア向けにヤード用コンテナクレーンを受注し、米国でもコンテナクレーン(ポーテーナ)を受注しました。会社は、米国では国家安全保障に基づくコンテナクレーンの需要が高まっているとしています
③ アフターサービス
- 舶用推進システムでは、ドック工事の増加や環境規制対応の需要を背景に、アフターサービスの受注・売上が高い水準で推移しています
4. 弱み・リスク
① 受注高の減少
- 受注高は、前期の大型エンジンの一括受注などの反動で25.1%減りました
② 2027年3月期は減益の予想
- 2027年3月期は、売上高3,700億円(+4.8%)に対し、営業利益320億円(−15.0%)の予想です
③ 脱炭素市場の立ち上がり
- 会社は、水素を含む脱炭素市場の立ち上がりの遅れで、高圧大流量水素圧縮機の新規受注には至らなかったとしています
5. ライバルとの比較
重工業の会社と並べます。会計基準(川崎重工・IHIはIFRS)と利益の指標が違い、規模もかなり違うので、おおまかな比較です。
| 三井E&S | 川崎重工業 | IHI | |
|---|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 3,532億円(+12.1%) | 2兆3,112億円(+8.5%) | 1兆6,434億円(+1.0%) |
| 利益(営業/事業) | 376億円(営業) | 1,451億円(事業) | 1,655億円(営業) |
| 利益率 | 10.7% | 6.3% | 10.1% |
| ROE | 19.3% | 13.7% | 28.4% |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 46.3% | 26.4% | 26.9% |
- 規模は小さいものの、利益率と自己資本比率は高い水準です(→川崎重工業の強みとは、IHIの強みとは)。大手は三菱重工業の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三井E&Sの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 受注高(セグメント別) | 3,158億円 | 決算短信(経営成績の概況) |
| 舶用推進システムの営業利益 | 145億円 | 決算短信(セグメント別の連結業績) |
| 物流システムの営業利益 | 139億円 | 決算短信(セグメント別の連結業績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高3,700億円、営業利益320億円、当期純利益300億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年57円、2027年3月期予想60円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男船のエンジンとクレーンで大きく増益だったけど、受注は減っているんだね。受注高がまた増えるかを見ておこう
まとめ
- 三井E&Sは、船のエンジンとコンテナクレーンが中心の会社
- 2026年3月期は営業利益376億円(+62.7%)、ROE19.3%
- 営業利益の約4分の3が舶用推進システムと物流システム
- 受注高は前期の大型受注の反動で25.1%減
- 2027年3月期は営業利益320億円(−15.0%)・年60円の予想
参考文献
- 三井E&S. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/70030/140120260514531838.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 川崎重工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/70120/140120260511523885.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- IHI. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/70130/140120260507518926.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。