三菱ガス化学の強みとは:半導体パッケージ用BT材料・半導体向け薬液などの機能化学品が営業利益の大半、メタノールなどのグリーン・エネルギー&ケミカルも。2026年3月期は営業利益453億円(−10.9%)、減損784億円で当期純損失403億円
三菱ガス化学を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で分析しました。売上高7,382億円(−4.6%、エンジニアリングプラスチックスとメタノールの市況下落、オルソキシレンチェーンからの撤退)、営業利益453億円(−10.9%、営業利益率6.1%)、経常利益519億円(−13.9%)、親会社株主に帰属する当期純損失403億円(オランダのメタキシレンジアミン製造子会社、半導体向け薬液製造子会社など複数事業の固定資産の減損損失784億円)、ROE−6.1%、自己資本比率58.1%。セグメントの営業利益は、機能化学品438億円(+5.9%、BT材料などの電子材料がAIサーバー向けなどで増収増益)、グリーン・エネルギー&ケミカル56億円(−55.6%)。年100円の配当、2027年3月期は売上高8,400億円・営業利益590億円(+30.3%)・当期純利益460億円・年110円の予想。東ソー・三井化学との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男三菱ガス化学って、ガスの会社なの?

メル美決算短信を見ると、メタノールなどの化学品と、半導体のパッケージに使う材料や薬液が中心の化学の会社なんだって
企業分析の連載、169社目は三菱ガス化学(決算短信の上場会社名は三菱瓦斯化学株式会社)です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。比較には、この連載の東ソーの強みとは・三井化学の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三菱ガス化学株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
メタノール・メタノールアンモニア系化学品・芳香族化学品・電力などの「グリーン・エネルギー&ケミカル」と、半導体向け薬液などの無機化学品・エンジニアリングプラスチックス・光学材料・電子材料(BT材料)・脱酸素剤の「機能化学品」を手がける化学の会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,382億円 | −4.6% |
| 営業利益 | 453億円 | −10.9% |
| 営業利益率 | 6.1% | 前期 6.6% |
| 経常利益 | 519億円 | −13.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純損益 | −403億円 | 前期 455億円 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | −6.1% | 前期 6.9% |
| 自己資本比率 | 58.1% | 前期 59.7% |
| 配当 | 年100円 | 前期 95円 |
- 売上高は、電子材料が好調だった一方、エンジニアリングプラスチックスとメタノールの市況の下落、オルソキシレンチェーンからの事業撤退などで減りました
- 当期純損失は、オランダのメタキシレンジアミン製造子会社や半導体向け薬液製造子会社など、複数の事業での固定資産の減損損失(合計784億円)によるものです
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 |
|---|---|---|---|---|
| 機能化学品 | 電子材料(BT材料)が増収増益、無機化学品は増収・減益、エンジニアリングプラスチックスと光学材料は減益 | 4,483億円(+0.9%) | 438億円(+5.9%) | 491億円(+11.8%) |
| グリーン・エネルギー&ケミカル | メタノールの市況下落、メタキシレンジアミンの競争激化 | 2,869億円(−11.2%) | 56億円(−55.6%) | 38億円(−81.2%) |
- セグメントの営業利益の大半(約86%)が機能化学品です(計算値、その他を含む合計に対して)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 半導体パッケージ用のBT材料
- 電子材料は、半導体パッケージ用BT材料で品質対応強化のコストが増えたものの、幅広い需要の拡大やAIサーバー向けの販売数量の増加で、増収増益でした
② 半導体向け薬液
- 無機化学品は、半導体向け薬液の販売数量の増加で増収でした(台湾拠点の能力増強で固定費が増え、減益)
③ 2027年3月期の回復の見通し
- 会社は、2027年3月期にメタノールなどの増収と、当期の減損による償却費の減少などで、営業利益590億円(+30.3%)、当期純利益460億円を見込んでいます
4. 弱み・リスク
① 減損と最終赤字
- 複数の事業で減損損失を計上し、当期純損失403億円となりました
② 汎用品の市況
- 会社は、基礎化学品とエンジニアリングプラスチックスについて、中国経済の低迷の長期化を背景に厳しい状況が続き、一部事業では中東情勢の影響も生じたとしています
③ メタノールの海外拠点
- メタノールは市況が下落し、トリニダード・トバゴのメタノール生産会社でも減損損失を計上しました(持分法投資損益の悪化)
5. ライバルとの比較
化学の会社と比べます。会計基準(三井化学はIFRS)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| 三菱ガス化学 | 東ソー | 三井化学 | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 7,382億円(−4.6%) | 1兆199億円(−4.1%) | 1兆6,688億円(−7.8%) |
| 営業利益(三井化学はコア営業利益) | 453億円(−10.9%) | 955億円(−3.4%) | 1,000億円(−0.9%) |
| 利益率 | 6.1% | 9.4% | 6.0% |
| ROE | −6.1% | 5.0% | 4.0% |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 58.1% | 59.0% | 40.2% |
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三菱ガス化学の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 機能化学品の営業利益 | 438億円 | 決算短信(セグメント別の業績) |
| グリーン・エネルギー&ケミカルの経常利益 | 38億円 | 決算短信(セグメント別の業績) |
| 減損損失 | 784億円 | 決算短信(損益計算書) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高8,400億円、営業利益590億円、当期純利益460億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年100円、2027年3月期予想110円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男半導体向けの材料は伸びているけど、汎用品の減損で赤字になったんだね。来年の回復の予想どおりになるか見ておこう
まとめ
- 三菱ガス化学は、機能化学品(BT材料・半導体向け薬液など)とメタノールなどの化学品の会社
- 2026年3月期は営業利益453億円(−10.9%)
- 営業利益の大半が機能化学品、BT材料はAIサーバー向けで増収増益
- 減損損失784億円で当期純損失403億円
- 2027年3月期は営業利益590億円・当期純利益460億円・年110円の予想
参考文献
- 三菱ガス化学. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.mgc.co.jp/ir/files/260513-3.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 東ソー. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/40420/140120260512526548.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三井化学. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/41830/140120260508519131.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。