三井化学の強みとは:メガネレンズ用材料・農業化学品のライフ&ヘルスケア、自動車向けのモビリティ、半導体材料などのICTが利益の柱。2026年3月期はコア営業利益1,000億円(−0.9%)。石化のベーシック&グリーン・マテリアルズは184億円の赤字
三井化学を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益1兆6,688億円(−7.8%、ナフサ等の原料価格の下落による販売価格の下落)、会社が重視するコア営業利益1,000億円(−0.9%、コア営業利益率6.0%)、営業利益738億円(−5.8%、中国のフェノール事業の持分法適用会社への投資の減損など)、親会社の所有者に帰属する当期利益344億円(+6.6%)、ROE4.0%、親会社所有者帰属持分比率40.2%。セグメントのコア営業利益は、モビリティ510億円(−41億円、米国関税・半導体供給不足などによる自動車の減産)、ICT369億円(+102億円、半導体市場の需要回復)、ライフ&ヘルスケア342億円(ビジョンケア・農業化学品が堅調)、ベーシック&グリーン・マテリアルズは184億円の損失。2026年1月に1株→2株の株式分割。2027年3月期はコア営業利益1,050億円の予想。三菱ケミカルグループとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男三井化学って、石油化学の会社だよね。原油やナフサの値段で利益が動くの?

メル美決算短信を見ると、石油化学の部門は赤字で、利益の柱はメガネレンズの材料や自動車向け、半導体向けの素材なんだって
企業分析の連載、125社目は三井化学です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の三菱ケミカルグループの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三井化学株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
メガネレンズ用材料・オーラルケア・農業化学品、自動車向けのエラストマー・PPコンパウンド、半導体・光学材料やICTフィルム、石油化学の基礎素材を手がける化学会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆6,688億円 | −7.8% |
| コア営業利益(会社が重視する指標) | 1,000億円 | −0.9% |
| コア営業利益率 | 6.0% | 前期 5.6% |
| 営業利益 | 738億円 | −5.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 344億円 | +6.6% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 4.0% | 前期 3.8% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 40.2% | 前期 39.4% |
- コア営業利益は、営業利益から事業撤退や縮小から生じる損失などの非経常的な損益を除いた、会社独自の利益です
- 売上収益の減少は、ナフサ等の原料価格の下落による販売価格の下落などによるものです
- 2026年1月1日に1株→2株の株式分割をしています。2027年3月期の配当予想は分割後で年75円です(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上収益 | コア営業利益 |
|---|---|---|---|
| モビリティソリューション | エラストマー、PPコンパウンド、ソリューション事業 | 5,154億円(−397億円) | 510億円(−41億円) |
| ICTソリューション | 半導体・光学材料、コーティング・機能材、ICTフィルム・シート、不織布 | 2,795億円(+19億円) | 369億円(+102億円) |
| ライフ&ヘルスケア・ソリューション | ビジョンケア(メガネレンズ用材料)、オーラルケア、農業化学品 | 2,591億円(+74億円) | 342億円(+1億円) |
| ベーシック&グリーン・マテリアルズ | フェノール類、ポリオレフィン、ナフサクラッカーなど | 5,999億円(−1,101億円) | −184億円 |
- 売上収益がいちばん大きいのはベーシック&グリーン・マテリアルズ(36%)ですが、コア営業損失です。利益はモビリティ・ICT・ライフ&ヘルスケアの3つが支えています
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 半導体向けの素材
- ICTは、半導体市場の需要回復で半導体・光学材料とICTフィルム・シートの販売が堅調で、コア営業利益が102億円増えました
② ライフ&ヘルスケアの安定
- メガネレンズ用材料と農業化学品の販売が堅調でした。大牟田工場の製造設備の稼働停止の影響があったものの、増益でした
③ 自動車向け素材
- モビリティは減益だったものの、コア営業利益510億円と最大の柱です
4. 弱み・リスク
① 石油化学の赤字
- ベーシック&グリーン・マテリアルズは、原料価格の下落による在庫評価損益の悪化や市況の悪化で、コア営業損失が184億円に広がりました。ナフサクラッカーの稼働率は、川下製品の需要減少と大規模な定期修理で低調でした
② 自動車の減産
- モビリティは、米国関税や半導体の供給不足、米国のアルミ工場の火災に起因した自動車メーカーの減産で、PPコンパウンドの販売が減りました
③ 減損
- 中国でフェノール事業を展開する持分法適用会社への投資の減損損失などで、営業利益はコア営業利益を下回りました
5. ライバルとの比較
化学大手の三菱ケミカルグループと比べます。どちらもIFRS・2026年3月期で、どちらも「コア営業利益」を重視していますが、定義は各社で決めているので、おおまかな比較です。
| 三井化学 | 三菱ケミカルG | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆6,688億円(−7.8%) | 3兆7,040億円(−6.2%) |
| コア営業利益 | 1,000億円(−0.9%) | 2,250億円(−1.7%) |
| コア営業利益率 | 6.0% | 6.1% |
| 営業利益 | 738億円 | 301億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 344億円 | 118億円 |
- 規模は三菱ケミカルGが大きく、コア営業利益率はほぼ同じです(→三菱ケミカルグループの強みとは)。化学の会社は旭化成の強みとは、信越化学工業の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三井化学の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別のコア営業利益 | モビリティ510億円、ICT369億円など | 決算短信(セグメント別の状況) |
| ベーシック&グリーン・マテリアルズの損益 | −184億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆9,000億円、コア営業利益1,050億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 2027年3月期予想 年75円(分割後) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男石油化学は赤字でも、メガネレンズや半導体の素材で稼いでいるんだね。石化の立て直しがどう進むか見ておこう
塩ビや機能商品の化学の会社は東ソーの強みとはも参考にしてください。
ほかの化学の会社はUBEの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 三井化学は、ライフ&ヘルスケア・モビリティ・ICT・ベーシック&グリーンの4つのセグメントの化学会社
- 2026年3月期はコア営業利益1,000億円(−0.9%)
- 利益の柱はモビリティ(510億円)、ICT(369億円)、ライフ&ヘルスケア(342億円)
- 石油化学のベーシック&グリーン・マテリアルズは184億円の赤字
- 2027年3月期はコア営業利益1,050億円の予想
参考文献
- 三井化学. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/41830/140120260508519131.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三菱ケミカルグループ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/41880/140120260513528387.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。