東ソーの強みとは:ゼオライト・ジルコニアなどの機能商品と、半導体向け水処理のエンジニアリング(オルガノ)が営業利益の8割超。塩ビ・苛性ソーダのクロル・アルカリと石油化学も。2026年3月期は営業利益955億円(−3.4%)、2027年3月期の予想は中東情勢で未定
東ソーを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上高1兆199億円(−4.1%、ナフサ価格や海外市況の下落)、営業利益955億円(−3.4%、営業利益率9.4%)、経常利益1,068億円(+3.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益416億円(−28.3%、米国のスパッタリングターゲット子会社の減損)、ROE5.0%、自己資本比率59.0%。セグメントの営業利益は、エンジニアリング404億円(+20.1%、日本・台湾・米国の半導体関連の水処理プラント)、機能商品399億円(+3.4%、ハイシリカゼオライト・ジルコニア)、石油化学97億円(−32.0%)、クロル・アルカリ19億円(−79.8%、中国の需要低迷がアジアに波及)。年100円の配当(配当性向75.5%)。2027年3月期の業績予想は、中東情勢の悪化で合理的な算出が困難として未定。信越化学工業・三井化学との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美東ソーって、化学の会社だよね。何で稼いでいるの?

プレ男決算短信を見ると、塩ビや苛性ソーダより、ゼオライトみたいな機能商品と、半導体工場の水処理の事業がよく稼いでいるんだって
企業分析の連載、151社目は東ソーです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の信越化学工業の強みとは・三井化学の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、東ソー株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
エチレン・ポリエチレンなどの石油化学、苛性ソーダ・塩ビ・ウレタン原料などのクロル・アルカリ、ゼオライト・ジルコニア・石英ガラスなどの機能商品、水処理などのエンジニアリングを手がける化学の会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆199億円 | −4.1% |
| 営業利益 | 955億円 | −3.4% |
| 営業利益率 | 9.4% | 前期 9.3% |
| 経常利益 | 1,068億円 | +3.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 416億円 | −28.3% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 5.0% | 前期 7.2% |
| 自己資本比率 | 59.0% | 前期 62.3% |
| 配当 | 年100円(配当性向75.5%) | 前期 100円 |
- 売上高は、ナフサ価格や主要製品の海外市況の下落で販売価格が下がり、減りました
- 当期純利益が減ったのは、米国でスパッタリングターゲットの製造・販売をする連結子会社の固定資産の減損損失を計上したためです(減損損失は合計196億円)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| エンジニアリング | 日本・台湾・米国で半導体関連の水処理プラントが順調、メンテナンスなども好調 | 1,864億円(+10.1%) | 404億円(+20.1%) |
| 機能商品 | ハイシリカゼオライト・ジルコニアの出荷増、臭素の市況上昇 | 2,729億円(+0.9%) | 399億円(+3.4%) |
| 石油化学 | エチレン・プロピレン・キュメンの出荷減 | 1,697億円(−17.1%) | 97億円(−32.0%) |
| クロル・アルカリ | 苛性ソーダ・塩化ビニルモノマーの出荷減、海外市況の下落 | 3,460億円(−7.4%) | 19億円(−79.8%) |
| その他 | 運送・倉庫、検査・分析など | 449億円(−1.0%) | 36億円(+24.1%) |
- セグメントの営業利益の合計955億円のうち、エンジニアリングと機能商品で約84%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 半導体関連の水処理
- エンジニアリング事業の中核のオルガノは、日本・台湾・米国で半導体関連のプラント案件が順調に進みました。営業利益は+20.1%です
② 機能商品
- ハイシリカゼオライトは北米向けの石油化学用途や中国・インド向けの自動車用途、ジルコニアは装飾用途などの出荷が増えました
③ 厚い財務
- 自己資本比率は59.0%、現金及び現金同等物は1,766億円です
4. 弱み・リスク
① 汎用品の市況
- クロル・アルカリは、中国の需要低迷がアジア全域に波及して市場が停滞し、営業利益が79.8%減りました。石油化学も32.0%減でした
② 中東情勢と業績予想
- 会社は、中東情勢の悪化による原油・天然ガスの供給制約やエネルギー価格の上昇で不確定要素が多いとして、2027年3月期の業績予想を未定としています(配当予想は年100円)
③ 減損
- 米国のスパッタリングターゲット子会社で減損損失を計上し、当期純利益は28.3%減りました
5. ライバルとの比較
化学の大手と比べます。会計基準(信越化学は日本基準、三井化学はIFRS)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。
| 東ソー | 信越化学工業 | 三井化学 | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 1兆199億円(−4.1%) | 2兆5,739億円(+0.5%) | 1兆6,688億円(−7.8%) |
| 営業利益(三井化学はコア営業利益) | 955億円(−3.4%) | 6,352億円(−14.4%) | 1,000億円(−0.9%) |
| 利益率 | 9.4% | 24.7% | 6.0% |
| ROE | 5.0% | 10.4% | 4.0% |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 59.0% | 78.7% | 40.2% |
- 東ソーは規模・利益率とも信越化学と三井化学の間です(→信越化学工業の強みとは、三井化学の強みとは)。総合化学は三菱ケミカルグループの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
東ソーの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| エンジニアリングの営業利益 | 404億円 | 決算短信(セグメント別の業績概況) |
| クロル・アルカリの営業利益 | 19億円 | 決算短信(セグメント別の業績概況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期は未定(中東情勢) | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年100円、2027年3月期予想100円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美塩ビや苛性ソーダは市況で大きく動くのね。業績予想が出たら、中東情勢の影響を確かめたいな
半導体パッケージ材料などの化学の会社は三菱ガス化学の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 東ソーは、石油化学・クロル・アルカリ・機能商品・エンジニアリングの化学の会社
- 2026年3月期は営業利益955億円(−3.4%)
- 営業利益の約84%がエンジニアリングと機能商品
- クロル・アルカリは中国の需要低迷で79.8%減
- 2027年3月期の業績予想は中東情勢で未定
参考文献
- 東ソー. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/40420/140120260512526548.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三井化学. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/41830/140120260508519131.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。