三菱ケミカルグループの強みとは:利益の柱は産業ガス(コア営業利益2,007億円)。半導体関連などの機能材料、MMA、石化・炭素も。2026年3月期は売上収益3兆7,040億円・コア営業利益2,250億円、減損などで営業利益は301億円。田辺三菱製薬(現・田辺ファーマ)は譲渡
三菱ケミカルグループを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益3兆7,040億円(−6.2%)、会社が重視するコア営業利益2,250億円(−1.7%、コア営業利益率6.1%)、営業利益301億円(−78.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益118億円(−73.7%)、親会社所有者帰属持分比率30.0%。田辺三菱製薬(現・田辺ファーマ)を譲渡し、非継続事業に分類。セグメントのコア営業利益は、産業ガス2,007億円(+146億円、価格マネジメントとコスト削減、欧州・豪州などの買収)、スペシャリティマテリアルズ323億円(+84億円、半導体関連などの販売価格の向上)、MMA&デリバティブズ−15億円(−372億円、MMAモノマーの市況下落)、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ−42億円。年32円の配当(配当性向370.8%)、2027年3月期はコア営業利益3,050億円(+35.6%)の予想で、ホルムズ海峡の情勢が9月末まで続くと約180億円の下振れ。信越化学工業との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男三菱ケミカルって化学の会社だよね。でも利益がすごく減ってる…

メル美決算短信を見ると、会社が重視する「コア営業利益」はほぼ前年並みなんだって。いちばん稼いでいるのは「産業ガス」よ
企業分析の連載、112社目は三菱ケミカルグループです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の信越化学工業の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三菱ケミカルグループ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
産業ガス、半導体関連などの機能材料(スペシャリティマテリアルズ)、MMA、石油化学・炭素を手がける化学グループ
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆7,040億円 | −6.2% |
| コア営業利益(会社が重視する指標) | 2,250億円 | −1.7% |
| コア営業利益率 | 6.1% | 前期 5.8% |
| 営業利益 | 301億円 | −78.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 118億円 | −73.7% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 30.0% | 前期 29.5% |
| 配当 | 年32円(配当性向370.8%) | 前期 32円 |
- コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因の損益(減損など)を除いた、会社独自の利益です。営業利益が大きく減ったのは、非経常的な損失によるものです
- 医薬の田辺三菱製薬(2025年12月1日から田辺ファーマ)の全株式と関連資産を譲渡する契約にもとづき、医薬の事業を非継続事業に分けました。売上収益などは、医薬を除いた数字です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上収益 | コア営業利益 |
|---|---|---|---|
| 産業ガス | 産業ガス | 1兆3,525億円(+514億円) | 2,007億円(+146億円) |
| スペシャリティマテリアルズ | フィルム・ポリマー、半導体関連、エンジニアリングプラスチック、炭素繊維など | 1兆596億円(−117億円) | 323億円(+84億円) |
| MMA&デリバティブズ | MMAモノマー、塗料・接着剤向けなど | 3,519億円(−657億円) | −15億円(−372億円) |
| ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ | ポリオレフィンなどの石化、コークスなどの炭素 | 7,907億円(−1,959億円) | −42億円(+104億円) |
| その他 | 1,493億円 | 135億円 |
- コア営業利益のほとんどが産業ガスです
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 産業ガスの安定
- 国内外の需要が軟調な中でも、価格マネジメントとコスト削減でコア営業利益を増やしました。欧州のプラントエンジニアリング会社や、豪州・ニュージーランドの産業ガス事業などの買収も売上を押し上げました
② 半導体関連の素材
- スペシャリティマテリアルズでは、半導体関連事業などで販売価格が上がり、高機能エンジニアリングプラスチックは半導体製造装置向けを中心に需要が増えました
③ 事業の入れ替え
- 医薬の田辺三菱製薬を譲渡し、子会社の売却による収入は5,175億円でした。ほかにも一部の事業・子会社の株式を譲渡しています
4. 弱み・リスク
① 市況に左右される事業
- MMAは、MMAモノマー等の市況の下落で、コア営業利益が372億円減って赤字になりました
② 減損などの非経常損失
- 英国の設備や、酸化エチレン・エチレングリコール類の製造設備などで減損損失を出し、営業利益は301億円にとどまりました。配当性向は370.8%です
③ 原燃料と地政学
- 会社は、2027年3月期の予想(コア営業利益3,050億円)にホルムズ海峡の事実上の封鎖などの影響は織り込んでおらず、足元の情勢が9月末まで続くと約180億円の下振れを見込むとしています
5. ライバルとの比較
化学大手の信越化学工業と比べます。会計基準(信越化学は日本基準)と利益の物差しが違うので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| 三菱ケミカルG | 信越化学工業 | |
|---|---|---|
| 売上 | 3兆7,040億円(−6.2%) | 2兆5,739億円(+0.5%) |
| 営業利益 | 301億円(コア営業利益は2,250億円) | 6,352億円 |
| 親会社の所有者(株主)に帰属する当期利益 | 118億円 | 4,744億円 |
- 売上は三菱ケミカルGが大きく、利益は信越化学が大きく上回ります(→信越化学工業の強みとは)。化学・素材の会社は旭化成の強みとは、AGCの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三菱ケミカルGの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| コア営業利益と営業利益の差(非経常項目) | 2,250億円と301億円 | 決算短信のサマリー |
| 産業ガスのコア営業利益 | 2,007億円 | 決算短信(セグメント別の概況) |
| MMAのコア営業利益 | −15億円 | 決算短信(セグメント別の概況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益3兆8,000億円、コア営業利益3,050億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年32円、2027年3月期予想32円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男化学の会社なのに、いちばん稼いでいるのは産業ガスなんだね。コア営業利益と、減損を含んだ営業利益の差もちゃんと見ないと
メガネレンズ用材料や半導体材料も手がける化学会社は三井化学の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 三菱ケミカルGは、産業ガス・機能材料・MMA・石化の化学グループ
- 2026年3月期はコア営業利益2,250億円、減損などで営業利益は301億円
- コア営業利益のほとんどが産業ガス(2,007億円)
- 医薬の田辺三菱製薬(現・田辺ファーマ)を譲渡
- 2027年3月期はコア営業利益3,050億円の予想(ホルムズ海峡の情勢で約180億円の下振れの可能性)
参考文献
- 三菱ケミカルグループ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/41880/140120260513528387.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。