旭化成の強みとは:化学・電子材料の「マテリアル」、注文住宅などの「住宅」、医薬・医療機器の「ヘルスケア」の3本柱。2026年3月期は売上高3兆745億円・営業利益2,312億円(+9.1%)。住宅とヘルスケアが増益、マテリアルは定期修理などで減益
旭化成を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日、東証の適時開示)で分析しました。売上高3兆745億円(+1.2%)、営業利益2,312億円(+9.1%、営業利益率7.5%)、経常利益2,304億円(+19.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,588億円(+17.6%)、ROE8.0%、自己資本比率50.5%。セグメントの営業利益は、住宅998億円(売上高1兆774億円、建築請負の平均単価の上昇、北米は減益)、ヘルスケア835億円(+194億円、医薬事業の主力製品の販売増とスウェーデンのCalliditas社の連結効果)、マテリアル683億円(−116億円、エッセンシャルケミカルの在庫受払差と水島製造所の大規模な定期修理。エレクトロニクスはAIサーバーなどの需要で増益)。年42円の配当、2027年3月期は営業利益2,480億円(+7.3%)・年44円の予想。東レとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男旭化成って、化学の会社だよね。住宅もやってるの?

メル美決算短信を見ると、いちばん営業利益が大きいのは「住宅」なんだって。医薬品や医療機器のヘルスケアもあるよ
企業分析の連載、106社目は旭化成です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の東レの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、旭化成株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の医薬品・医療機器・住宅をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
化学品・電子材料などの「マテリアル」、注文住宅・不動産などの「住宅」、医薬・医療機器などの「ヘルスケア」の3つの事業をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3兆745億円 | +1.2% |
| 営業利益 | 2,312億円 | +9.1% |
| 営業利益率 | 7.5% | 前期 7.0% |
| 経常利益 | 2,304億円 | +19.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,588億円 | +17.6% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 8.0% | 前期 7.4% |
| 自己資本比率 | 50.5% | 前期 46.3% |
| 配当 | 年42円(配当性向35.9%) | 前期 38円 |
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 住宅 | 建築請負、不動産開発、賃貸管理・不動産流通、建材、海外住宅 | 1兆774億円(+415億円) | 998億円(+39億円) |
| ヘルスケア | 医薬、ライフサイエンス、医療機器などのクリティカルケア | 6,641億円(+482億円) | 835億円(+194億円) |
| マテリアル | エレクトロニクス、エッセンシャルケミカル、カーインテリア、エナジー&インフラなど | 1兆3,062億円(−625億円) | 683億円(−116億円) |
| その他 | エンジニアリング、リサーチ、人材派遣など | 267億円 | 39億円 |
- 売上高はマテリアルがいちばん大きく、営業利益は住宅がいちばん大きい形です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 住宅事業
- 建築請負は、物件の大型化・高付加価値化による平均単価の上昇などで増益でした。賃貸管理・不動産流通も、管理戸数と仲介件数の増加で増益です
② ヘルスケアの成長
- 医薬事業は、主力製品の販売量の増加と、2024年10月に連結を始めたスウェーデンの製薬会社Calliditas Therapeutics ABの連結効果で増益でした
③ 電子材料
- マテリアルの中のエレクトロニクス事業は、AIサーバーやハイエンドスマホを中心とした半導体・電子機器関連の需要で増益でした
4. 弱み・リスク
① 化学品の市況と定期修理
- エッセンシャルケミカル事業は、在庫受払差の影響や水島製造所の大規模な定期修理で減益でした。市況が下がると在庫の評価で利益が動きます
② 北米の住宅
- 海外住宅事業は、北米の住宅需要の落ち込みによる数量減少や価格対応の影響で減益でした
③ 事業の入れ替えの費用
- 前期より事業構造改善費用が増えました。鉛蓄電池用セパレータ事業や血液浄化事業などの譲渡も進めています
5. ライバルとの比較
総合化学・素材の東レと比べます。会計基準(東レはIFRS)が違い、旭化成は住宅・ヘルスケアの比重が大きいので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| 旭化成 | 東レ | |
|---|---|---|
| 売上高(売上収益) | 3兆745億円(+1.2%) | 2兆5,851億円(+0.9%) |
| 営業利益 | 2,312億円(+9.1%) | 972億円(−23.7%) |
| 親会社株主(所有者)に帰属する当期純利益 | 1,588億円 | 795億円 |
| ROE | 8.0% | 4.5% |
- 2026年3月期は、住宅とヘルスケアが伸びた旭化成の利益が東レを大きく上回りました(→東レの強みとは)。素材メーカーはAGCの強みとは、住宅の会社は積水ハウスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
旭化成の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の営業利益 | 住宅998億円、ヘルスケア835億円、マテリアル683億円 | 決算短信(セグメント別概況) |
| マテリアルの動き(在庫受払差・定期修理) | 減益 | 決算短信(セグメント別概況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高3兆2,540億円、営業利益2,480億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年42円、2027年3月期予想44円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男化学の会社だと思っていたら、住宅と医薬・医療機器も大きな柱なんだね。化学品の市況で利益が動くところも見ておこう
住宅と化学品をもつ会社は積水化学工業の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 旭化成は、マテリアル・住宅・ヘルスケアの3本柱の会社
- 2026年3月期は営業利益2,312億円(+9.1%)、当期純利益1,588億円(+17.6%)
- 営業利益は住宅(998億円)がいちばん大きく、ヘルスケアは+194億円
- マテリアルは在庫受払差と定期修理で減益
- 2027年3月期は営業利益2,480億円の予想
参考文献
- 旭化成. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/34070/140120260511523883.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 東レ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www.toray.co.jp/ir/pdf/fin/fin_a133.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。