UBEの強みとは:ナイロン・カプロラクタム・エラストマーなどの「樹脂・化成品」が売上の半分超、ポリイミドや電池のセパレータの「機能品」、成形機などの「機械」も。2026年3月期は営業利益189億円(+5.0%)、ドイツLANXESSのウレタン事業を取得
UBEを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上高4,623億円(−5.0%)、営業利益189億円(+5.0%、営業利益率4.1%、前期の減損による減価償却費の減少など)、経常利益375億円(+67.7%、持分法投資損益154億円)、親会社株主に帰属する当期純利益239億円(前期は48億円の損失)、ROE5.7%、自己資本比率46.2%。セグメントの営業利益は、機能品98億円(ポリイミド・分離膜・セラミックス・セパレータ)、樹脂・化成品82億円(前期は7億円の損失)、機械62億円、高機能ウレタンは5億円の損失(2025年4月にドイツLANXESSから取得)など。セメントは持分法適用会社のUBE三菱セメント。年110円の配当(2027年3月期はDOE方針見直しのため未定)、2027年3月期は営業利益235億円の予想。三井化学・東ソーとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美UBEって、何の会社なの?

プレ男決算短信を見ると、ナイロンなどの化学品が中心で、スマホに使われるポリイミドや電池のセパレータ、機械もあるんだって。セメントは別の会社(持分法)になっているみたい
企業分析の連載、211社目はUBEです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の三井化学の強みとは・東ソーの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、UBE株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
ナイロン・カプロラクタム・エラストマー・工業薬品などの「樹脂・化成品」、ポリイミド・分離膜・セラミックス・電池のセパレータの「機能品」、ウレタン、成形機・産業機械の「機械」などをもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,623億円 | −5.0% |
| 営業利益 | 189億円 | +5.0% |
| 営業利益率 | 4.1% | 前期 3.7% |
| 経常利益 | 375億円 | +67.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 239億円 | 前期は48億円の損失 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 5.7% | 前期 −1.2% |
| 自己資本比率 | 46.2% | 前期 45.6% |
| 配当 | 年110円(配当性向44.8%) | 前期 110円 |
- 営業利益は、前期にアンモニア・カプロラクタム・ナイロンポリマーの事業構造改革で減損損失を計上したことによる減価償却費の減少や、アンモニア工場の定期修理がなかったことなどで増えました
- 経常利益は、持分法投資損益(154億円)の改善や為替差益で大きく増えました
- 当期純利益は、前期の構造改革にともなう特別損失がなくなり、黒字になりました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 機能品 | ポリイミド(スマホ向けワニスは低調)、分離膜、セラミックス、電池のセパレータ(ハイブリッド車向けで増加) | 619億円(−6.4%) | 98億円(−16.4%) |
| 樹脂・化成品 | ナイロンポリマー・カプロラクタムは低迷、減価償却費の減少と定期修理なし | 2,512億円(−8.2%) | 82億円(前期は7億円の損失) |
| 機械 | 成形機・産業機械、前期に製鋼事業を譲渡 | 684億円(−21.3%) | 62億円(−20.8%) |
| 高機能ウレタン | 2025年4月にドイツLANXESSからウレタンシステムズ事業を取得、統合費用 | 465億円(+198.1%) | −5億円 |
| 医薬 | 受託品の販売数量の減少 | 210億円(−33.3%) | −13億円 |
| その他 | 電力など | 345億円(−12.0%) | 19億円 |
- 売上高の約54%が樹脂・化成品です(計算値)
- セメント関連事業は、持分法適用関連会社のUBE三菱セメントです。北米の生コンの販売減や、国内の生産体制の再構築にともなう減損で、持分法投資損益は減益でした
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 機能品
- 電池のセパレータは、ハイブリッド自動車向けの需要増加で販売数量が増えました。会社は、2027年3月期に機能品セグメントの新設備による増販で営業利益150億円(+52.1%)を見込んでいます。バイオメタン製造向けの分離膜は、中長期的な需要拡大の流れが続いているとしています
② 事業の入れ替え
- 前期に製鋼事業を譲渡し、アンモニア・カプロラクタム・ナイロンポリマーの事業構造改革を決めました。当期はドイツLANXESSのウレタンシステムズ事業を取得しました
③ 持分法の利益
- 持分法投資損益は154億円で、経常利益を支えています
4. 弱み・リスク
① 樹脂・化成品の市況
- ナイロンポリマーは海外の食品包装フィルム向けなどの需要低迷、カプロラクタムは競争激化で、販売数量と販売価格がともに下がりました
② 低い利益率
- 営業利益率は4.1%、ROEは5.7%です
③ 中東情勢と原料
- 2027年3月期の予想では、中東情勢の不安定な状況が一定期間続くと想定し、原材料価格の上昇と販売価格への転嫁を織り込んでいますが、生産停止や稼働率の低下は想定していません
5. ライバルとの比較
化学の会社と並べます。会計基準(三井化学はIFRS)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| UBE | 三井化学 | 東ソー | |
|---|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 4,623億円(−5.0%) | 1兆6,688億円(−7.8%) | 1兆199億円(−4.1%) |
| 利益 | 189億円(営業) | 1,000億円(コア営業) | 955億円(営業) |
| 利益率 | 4.1% | 6.0% | 9.4% |
| ROE | 5.7% | 4.0% | 5.0% |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 46.2% | 40.2% | 59.0% |
- UBEは規模が小さく利益率も低めですが、ROEは3社で近い水準です(→三井化学の強みとは、東ソーの強みとは)。セメントの持分をもつ会社は三菱マテリアルの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
UBEの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 機能品の営業利益 | 98億円 | 決算短信(セグメント別概況) |
| 樹脂・化成品の営業利益 | 82億円 | 決算短信(セグメント別概況) |
| 持分法投資損益 | 154億円 | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高4,850億円、営業利益235億円、当期純利益245億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年110円、2027年3月期は未定(DOE水準の方針を見直し中) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美化学品の構造改革と、セパレータなどの機能品の伸びがカギなのね。配当の方針がどう変わるかも見ておきたいな
まとめ
- UBEは、樹脂・化成品を中心に、機能品・機械・ウレタンをもつ化学の会社
- 2026年3月期は営業利益189億円(+5.0%)、当期純利益は黒字に
- 事業構造改革と、ドイツLANXESSのウレタン事業の取得
- 2027年3月期は機能品の新設備で営業利益235億円(+24.1%)の予想
- 配当はDOE方針の見直しで来期は未定
参考文献
- UBE. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/42080/140120260513528560.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三井化学. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/41830/140120260508519131.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 東ソー. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/40420/140120260512526548.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。