NFTのしくみと注意点:ブロックチェーン上の「代替できないトークン」。持っていても法律上の「所有権」はなく、作品データの多くはブロックチェーンの外に保存。2021年に約75億円のデジタルアートが話題になったが、2022年後半から市場は失速。偽物のNFTにも注意
NFT(非代替性トークン)のしくみと注意点を、国民生活センター「国民生活」2023年10月号(ウェブ版No.134)の特集「NFTの基礎知識」(長瀨威志弁護士「NFTの基礎知識と今後の展望」、増田雅史弁護士「NFTの法的課題」)でまとめました。NFTはブロックチェーン上で発行される、固有の値や属性を持つ代替できないデジタルトークン。2021年3月にクリスティーズでデジタルアートのNFTが約75億円で落札されてブームになりましたが、2022年後半から大きく失速しました。ブロックチェーンに記録されるのはトークンIDや持ち主のアドレスなどで、作品データ自体はブロックチェーンの外に保存されるのが一般的。NFTに民法上の所有権は発生せず、「デジタル所有権」と呼ぶのは不適当とされます。NFTは誰でも発行でき、偽物も多く、通常は暗号資産のような金融規制の対象になりません。

プレ男SNSで「このNFTを今買えば、あとで何倍にもなる」って言われたんだけど、NFTって結局なんなの?

メル美デジタルの絵を「持てる」って聞いたけど、画像ならコピーできちゃうよね…?
今回は、NFTのしくみと注意点です。国民生活センター「国民生活」2023年10月号(ウェブ版No.134)の特集「NFTの基礎知識」(長瀨威志弁護士「NFTの基礎知識と今後の展望」、増田雅史弁護士「NFTの法的課題」)で確認しました。
この記事はしくみの説明です。特定のNFTやマーケットプレイスの利用、売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
NFTとは
- NFT(Non-Fungible Token)は、ブロックチェーン上で発行される、固有の値や属性を持つ、代替できない(ほかのものと交換がきかない)デジタルトークンです
- 一般的には、イーサリアムのERC-721やERC-1155などの規格で発行されます
- ビットコインのような暗号資産は1枚1枚に区別がない(代替できる)のに対し、NFTは1つ1つが別物として扱われます
ブームと失速
- 2021年3月、クリスティーズのオークションで、デジタルアート作品のNFTが約75億円で落札され、世界的に注目が集まりました
- 国民生活センターの特集は、海外の調査会社などの数字として、NFTの市場規模が2019年の約1億4,000万ドルから、2020年に約3億3,800万ドル、2021年は第2四半期までで約25億ドルに急拡大したと紹介しています
- しかし、2022年後半から大きく失速し、バブルのような状況はいったん落ち着いたとされています
知っておきたい5つのこと
① 作品データは、多くがブロックチェーンの「外」
- ブロックチェーンに記録されるのは、トークンIDや持ち主のアドレスなどが中心です
- 作品の名前やデータの保存場所(URL)、作品データそのものは、ブロックチェーンの外(オフチェーン)に保存されるのが一般的です。保存先によっては、管理者がデータを削除・改ざんできることもあります
② コピーを防ぐものではない
- NFTを発行しても、デジタルコンテンツが複製から守られるわけではありません。NFTの意義は、「特定の人が持っていることを第三者が確かめられる」ことにあります

メル美NFTは「この画像の持ち主は私」という証明書みたいなもので、画像そのものじゃないんだ
③ 「デジタル所有権」ではない
- 民法上の所有権は「物体(有体物)」に対して発生する権利で、デジタルデータには所有権は発生しないというのが支配的な見解です
- 増田弁護士は、NFTを「デジタル所有権」と呼ぶのは不適当だとしています。持ち主にどんな利用権が与えられるかは、発行者との約束(利用規約など)しだいです
④ 誰でも発行できる。偽物も多い
- NFTは誰でも発行できるため、権利を持っていない第三者が勝手に発行した偽物も多くあります
- 大手マーケットプレイスのOpenSeaは2022年1月、自社の機能で無償発行されたNFTの8割以上が不正なものだったと明らかにしました
⑤ ふつうは金融規制の対象外
- NFTは、ビットコインのような暗号資産(資金決済法2条14項)と違い、通常は金融規制の対象になりません。マーケットプレイスの運営者は、暗号資産交換業の登録なしでサービスを提供できる場合があります
- 暗号資産のルールは暗号資産のしくみと規制へ
「もうかるNFT」の勧誘に注意
- 「今買えば何倍にもなる」「紹介すれば報酬」などの勧誘は、NFTに限らず危ないサインです(→SNS型投資詐欺、ねずみ講・マルチ商法)
- 買う前に、発行者が本物か、どんな権利がついているか(利用規約)、売りたいときに買い手がいるかを確かめましょう
まとめ
- NFTは、ブロックチェーン上の代替できないデジタルトークン
- 作品データは多くがブロックチェーンの外。コピーを防ぐものではない
- 民法上の所有権はない。権利は発行者との約束しだい
- 誰でも発行でき、偽物も多い。通常は金融規制の対象外
- 2021年のブームのあと、2022年後半から失速
参考文献
- 長瀨威志. NFTの基礎知識と今後の展望. 国民生活 ウェブ版No.134(2023年10月号)特集「NFTの基礎知識」. 国民生活センター. https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-202310.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 増田雅史. NFTの法的課題. 国民生活 ウェブ版No.134(2023年10月号)特集「NFTの基礎知識」. 国民生活センター. https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-202310.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。