日本酸素ホールディングスの強みとは:酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガスを日本・米国・欧州・アジア・オセアニアで売り、利益の約7割を海外で稼ぐ会社。ステンレス製魔法瓶などのサーモスも。2026年3月期はコア営業利益2,031億円(+7.4%)、価格マネジメントで増益
日本酸素ホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日)で分析しました。売上収益1兆3,596億円(+3.9%)、コア営業利益2,031億円(+7.4%、コア営業利益率14.9%)、営業利益1,979億円(+19.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,239億円(+25.4%)、ROE11.3%、親会社所有者帰属持分比率44.0%。製商品の出荷数量は減少したものの、コスト上昇の販売価格への転嫁などの価格マネジメントと生産性向上で増益。セグメント利益(コア営業利益)は、欧州704億円(+12.8%)、日本542億円(+15.1%)、米国529億円(−11.5%)、アジア・オセアニア197億円(+31.2%)、サーモス65億円(+3.6%)。年62円の配当、2027年3月期はコア営業利益2,080億円・当期利益1,310億円・年66円の予想。信越化学工業・東ソーとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日本酸素って、酸素を売っている会社?

メル美決算短信を見ると、酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガスを世界で売っていて、利益の約7割は海外なんだって。ステンレス製魔法瓶などのサーモスもグループなのよ
企業分析の連載、178社目は日本酸素ホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。比較には、この連載の信越化学工業の強みとは・東ソーの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本酸素ホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
酸素・窒素・アルゴン・炭酸ガス・水素などの産業ガス、電子材料ガス、ガス関連機器・工事を日本・米国・欧州・アジア・オセアニアで手がけ、家庭用品のサーモスももつ会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆3,596億円 | +3.9% |
| コア営業利益(会社の指標) | 2,031億円 | +7.4% |
| コア営業利益率 | 14.9% | 前期 14.5% |
| 営業利益 | 1,979億円 | +19.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,239億円 | +25.4% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 11.3% | 前期 10.4% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 44.0% | 前期 40.5% |
| 配当 | 年62円(配当性向21.7%) | 前期 51円 |
- コア営業利益は、営業利益から事業撤退などの非経常的な損益を除いた、会社の指標です
- 製商品の出荷数量は減ったものの、コスト上昇の販売価格への転嫁などの価格マネジメントと、地域ごとの生産性向上で増益でした
- 為替の影響(主にユーロの円安)で、売上収益は約229億円、コア営業利益は約44億円多く表示されています
2. 何で稼いでいるか
セグメント利益はコア営業利益です。
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上収益 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 欧州 | ガスの出荷数量は減少、為替と価格マネジメント、イタリアのプラントエンジニアリング会社を取得 | 3,510億円(+6.8%) | 704億円(+12.8%) |
| 日本 | 価格マネジメント、エレクトロニクス関連の機器・工事 | 4,063億円(−0.9%) | 542億円(+15.1%) |
| 米国 | 価格マネジメントの一方、コスト上昇と出荷数量の減少 | 3,606億円(+0.1%) | 529億円(−11.5%) |
| アジア・オセアニア | オーストラリアのLPガス販売事業、オセアニアの産業ガス事業の取得 | 2,085億円(+18.1%) | 197億円(+31.2%) |
| サーモス | 猛暑でスポーツボトルが好調 | 333億円(+2.1%) | 65億円(+3.6%) |
- セグメント利益の合計2,038億円のうち、欧州・米国・アジア・オセアニアの海外で約70%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 価格マネジメント
- 出荷数量が減る中でも、コスト上昇を販売価格に転嫁する価格マネジメントで、日本・欧州は増益でした
② 世界に広がる事業
- 日本・米国・欧州・アジア・オセアニアの4地域で産業ガスを展開し、海外で利益の約7割を稼いでいます。オーストラリアやオセアニア、イタリアで事業の取得も進めています
③ エレクトロニクス関連
- 電子材料ガスや、エレクトロニクス関連の機器・工事も手がけ、日本では中大型案件の工事の進捗で増収でした
4. 弱み・リスク
① 出荷数量の減少
- グループ全体の製商品の出荷数量は減少しました。米国は、コスト上昇と出荷数量の減少で11.5%の減益でした
② 為替
- 海外の比重が大きいため、為替で売上と利益の見え方が変わります(→外国株と為替)
③ 2027年3月期の伸びは小さい見通し
- 2027年3月期は、コア営業利益2,080億円(+2.4%)の予想です
5. ライバルとの比較
素材・化学の会社と並べます。会計基準(信越化学・東ソーは日本基準)と利益の指標が違い、事業の中身も違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| 日本酸素HD | 信越化学工業 | 東ソー | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 1兆3,596億円(+3.9%) | 2兆5,739億円(+0.5%) | 1兆199億円(−4.1%) |
| 利益(コア営業/営業) | 2,031億円(+7.4%) | 6,352億円(−14.4%) | 955億円(−3.4%) |
| 利益率 | 14.9% | 24.7% | 9.4% |
| ROE | 11.3% | 10.4% | 5.0% |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 44.0% | 78.7% | 59.0% |
- 日本酸素HDは、ROEが3社でいちばん高い水準です(→信越化学工業の強みとは、東ソーの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日本酸素HDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 地域別のセグメント利益 | 欧州704億円、日本542億円、米国529億円 | 決算短信(事業別の概況) |
| 為替の影響 | コア営業利益で約44億円 | 決算短信(経営成績の概況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆3,800億円、コア営業利益2,080億円、当期利益1,310億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年62円、2027年3月期予想66円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男ガスの量は減っても、値上げと生産性で利益を伸ばしたんだね。米国の利益が戻るかを見ておこう
まとめ
- 日本酸素HDは、産業ガスを世界で売り、サーモスももつ会社
- 2026年3月期はコア営業利益2,031億円(+7.4%)
- 利益の約70%が海外、欧州がいちばん大きい
- 増益の主因は価格マネジメントと生産性向上
- 2027年3月期はコア営業利益2,080億円・年66円の予想
参考文献
- 日本酸素ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日). https://jp.nipponsanso.com/LinkClick.aspx?fileticket=a4zP95X2Obs%3D&tabid=133&mid=797 (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 東ソー. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/40420/140120260512526548.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。