オムロンの強みとは:工場の自動化を支える制御機器(IAB)が売上・利益の半分強。血圧計のヘルスケア、駅務システム・蓄電システム、医療データのJMDCも。2026年3月期は売上高7,674億円(+7.3%)・営業利益599億円(+12.1%)。電子部品事業はカーライルが設立する会社へ譲渡予定
オムロンを、2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。電子部品事業(DMB)を非継続事業に分けた継続事業で、売上高7,674億円(+7.3%)、営業利益599億円(+12.1%、営業利益率7.8%)、当社株主に帰属する当期純利益285億円(+75.1%)、ROE3.5%、株主資本比率55.1%。セグメントは制御機器(IAB、売上高4,095億円・営業利益428億円、生成AI関連の設備投資を取り込み増収増益)、ヘルスケア(HCB、血圧計など、1,453億円・154億円で−11.8%、米国関税と価格競争)、社会システム(SSB、蓄電システム・駅務システム、1,443億円・197億円)、データソリューション(DSB、JMDC、512億円・36億円)。構造改革「NEXT2025」で固定費を約350億円削減した一方、ROICやROEは資本コストを下回り「道半ば」と会社自身が評価。電子部品事業は承継会社の株式をカーライルが設立する会社に譲渡する予定(2026年10月1日)。年104円の配当、2027年3月期からIFRS。キーエンス・ファナックとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美うちの血圧計、オムロンだよ。健康機器の会社なのかな

プレ男決算を見ると、いちばん大きいのは工場で使う機械の部品みたいだよ
企業分析の連載、85社目はオムロンです。2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のキーエンスの強みとは・ファナックの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、オムロン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の健康機器をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
工場の自動化に使う制御機器を柱に、血圧計などのヘルスケア、駅務・エネルギーの社会システム、医療データの事業をもつ会社
| 項目(米国基準・連結、継続事業) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,674億円 | +7.3% |
| 営業利益 | 599億円 | +12.1% |
| 営業利益率 | 7.8% | 前期 7.5% |
| 当社株主に帰属する当期純利益(非継続事業を含む) | 285億円 | +75.1% |
| ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率) | 3.5% | 前期 2.1% |
| 株主資本比率 | 55.1% | 前期 56.7% |
| 配当 | 年104円(配当性向72.1%) | 前期 104円 |
- 電子部品事業(DMB)を手放す予定のため、今回から非継続事業に分け、売上高・営業利益は電子部品事業を除いた数字です
- 前期は、人員数・能力の最適化(人員削減など)に伴う一時的な費用を計上していたため、純利益は大きく増えました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 外部顧客への売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 制御機器(IAB) | 工場の自動化のための制御機器 | 4,095億円(+12.3%) | 428億円(+18.0%) |
| 社会システム(SSB) | 蓄電システムなどのエネルギー、駅務システム | 1,443億円(+0.5%) | 197億円(+28.6%) |
| ヘルスケア(HCB) | 血圧計など | 1,453億円(−0.4%) | 154億円(−11.8%) |
| データソリューション(DSB) | JMDC社の健康情報プラットフォーム「Pep Up」、医療データ | 512億円(+19.7%) | 36億円(+27.6%) |
- 売上高・営業利益とも、半分強が制御機器です。制御機器は、EV関連の設備投資が停滞した一方、生成AI関連の投資需要を取り込み、売上高が大きく増えました
- ヘルスケアは、米国関税や、血圧計の主な価格帯での競争の激化で減益でした
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 生成AI関連の設備投資
- 制御機器は、生成AI関連の設備投資と、各地域の顧客ニーズに合わせた新商品の投入で、売上高が+12.3%になりました
② 固定費の削減
- 構造改革プログラム「NEXT2025」(2024年4月〜2025年9月)で、2024年度と2025年度の2年間で固定費を2023年度比で約350億円削減し、2年連続の増収増益になったとしています
③ 事業の入れ替え
- 電子部品事業を手放し、制御機器を最も力を入れる分野として投資する方針です
4. 弱み・リスク
① 低い資本効率
- 会社自身が、売上高・営業利益ともに過去最高の水準に届いていないこと、ROICやROEが資本コストを下回ることから、収益・成長基盤の立て直しは「道半ば」としています。ROEは3.5%です(→東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請とは)
② コストと関税
- 原材料価格の高騰、物流コストの上昇、米国関税で、売上総利益率が下がりました
③ 会計基準の変更と事業の譲渡
- 2027年3月期からIFRSに変わるため、2026年3月期との増減率は示されていません。電子部品事業の譲渡が予定どおり進むかも見ておく点です
5. ライバルとの比較
工場の自動化にかかわるキーエンス(センサなど)・ファナック(工作機械のNC装置・ロボット)と比べます。決算期(キーエンスは3月20日)や会計基準が違い、事業の中身も違うので、おおまかな比較です。
| オムロン(2026年3月期) | キーエンス(第57期) | ファナック(2026年3月期) | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,674億円(+7.3%) | 1兆1,692億円(+10.4%) | 8,578億円(+7.6%) |
| 営業利益 | 599億円(+12.1%) | 5,957億円(+8.4%) | 1,838億円(+15.7%) |
| 営業利益率 | 7.8% | 51.0% | 21.4% |
- 売上の大きさは近いものの、利益率には大きな差があります。オムロンの数字はヘルスケア・社会システムなどを含む会社全体です(→キーエンスの強みとは、ファナックの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
オムロンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 制御機器の売上高・営業利益 | 4,095億円・428億円 | 決算短信(セグメント別の状況) |
| ROE・ROIC | ROE3.5% | 決算短信 |
| 電子部品事業の譲渡 | 2026年10月1日実行予定 | 決算短信(非継続事業) |
| 会社の業績予想・財務目標(IFRS) | 2027年3月期 売上高8,200億円、営業利益620億円、ROE5.5%程度 | 決算短信 |
| 配当 | 年104円、2027年3月期予想110円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美血圧計の会社だと思っていたけど、いちばん大きいのは工場の制御機器なのね。会社自身が「道半ば」と書いているROEがどこまで上がるか、見ておきたいな
まとめ
- オムロンは、制御機器を柱に、ヘルスケア・社会システム・データソリューションをもつ会社
- 2026年3月期は(電子部品事業を除いて)売上高7,674億円、営業利益599億円(+12.1%)
- 制御機器は生成AI関連の需要で増収増益、ヘルスケアは関税と価格競争で減益
- 「NEXT2025」で固定費を約350億円削減、ただしROEは3.5%で会社も「道半ば」と評価
- 電子部品事業は、カーライルが設立する会社へ譲渡する予定
参考文献
- オムロン. 2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/66450/140120260513529706.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- キーエンス. 有価証券報告書 第57期(2025年3月21日〜2026年3月20日). https://www.keyence.co.jp/pdf/AnnualSecuritiesReport_202606_ja.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- ファナック. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月24日). https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/announce/pdf/2026/financialresult202603.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。