ルネサスエレクトロニクスの強みとは:自動車や産業機器を動かすマイコン・SoC・アナログ半導体の会社。2025年12月期はNon-GAAP営業利益率29.3%と高い一方、米国Wolfspeedの再建に伴う損失2,366億円で最終赤字518億円
ルネサスエレクトロニクスを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月5日)で分析しました。売上収益1兆3,212億円(−2.0%)、IFRS営業利益2,012億円(−9.8%、率15.2%)、親会社の所有者に帰属する当期損失518億円(前期は2,191億円の利益)。会社が重視するNon-GAAPでは、売上収益1兆3,185億円、営業利益3,869億円(率29.3%)、売上総利益率57.6%(+1.6ポイント)。セグメントのNon-GAAP営業利益は、自動車向け1,966億円(市場の軟化で売上収益6,397億円、−9.0%)、産業・インフラ・IoT向け1,694億円(インフラの需要増で売上収益6,718億円、+5.5%)。最終赤字は、預託金を持っていた米国Wolfspeedが米国連邦倒産法第11章の手続きに入り、再建支援契約に伴い為替影響を含め2,366億円の損失を金融費用に計上したため。年28円の配当(2026年12月期は未定)。アドバンテストとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男車には半導体がたくさん使われてるんだって。ルネサスはその半導体の会社?

メル美利益率は高いのに、最終的には赤字になったって聞いたよ。どうしてだろう
企業分析の連載、69社目はルネサスエレクトロニクスです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月5日)と、同じ日の決算概要で確認しました。比較には、この連載のアドバンテストの強みとはで確認したアドバンテストの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ルネサスエレクトロニクス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
自動車や産業機器・インフラ機器を制御する「マイコン(マイクロコントローラ)」「SoC」「アナログ半導体」「パワー半導体」をつくる会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆3,212億円 | −2.0% |
| 営業利益 | 2,012億円 | −9.8% |
| 営業利益率 | 15.2% | 前期 16.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | −518億円(損失) | 前期 2,191億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 58.5% | 前期 56.5% |
| 配当 | 年28円 | 前期 28円 |
会社が重視するNon-GAAPの数字
| 項目 | 2025年12月期 |
|---|---|
| 売上収益 | 1兆3,185億円(−2.2%) |
| 売上総利益率 | 57.6%(+1.6ポイント) |
| 営業利益 | 3,869億円(率29.3%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3,293億円 |
- Non-GAAPは、IFRSの数字から、無形資産の償却費、株式報酬費用、企業買収の費用や一過性の損益などを差し引き・調整したものです
- IFRSの営業利益とNon-GAAPの営業利益の差(約1,860億円)は、主に過去の買収で生まれた無形資産の償却などです
2. 何で稼いでいるか
セグメントのNon-GAAPの数字(2025年12月期)です。
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 自動車向け | 車載制御(エンジン・車体など)、車載情報(センサー、IVI、メーター) | 6,397億円(−9.0%) | 1,966億円(−11.6%) |
| 産業・インフラ・IoT向け | 産業、インフラストラクチャー、IoT | 6,718億円(+5.5%) | 1,694億円(−2.3%) |
- 売上は2つでほぼ半分ずつです。2025年は、インフラの需要が増え、自動車向けは市場の軟化で減りました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 高い粗利率
- Non-GAAPの売上総利益率は57.6%。自動車向けの売上が減って工場の稼働率が下がった一方、製造費用の減少などで前期より上がりました
② 自動車と産業の両輪
- 自動車向けが弱い年でも、インフラ向けの需要増で産業・インフラ・IoT向けが増収でした
③ 現金を生む力
- 営業活動によるキャッシュ・フローは4,529億円で、最終赤字の年でも大きな現金を生んでいます(Wolfspeedの損失は現金の出ていかない「非資金項目」です)
4. 弱み・リスク
① Wolfspeedの損失
- ルネサスは、米国の半導体会社Wolfspeedに預託金を出していました。Wolfspeedは2025年6月に米国連邦倒産法第11章(チャプター11)の手続きで再建計画を申請し、9月に効力が発生しました
- ルネサスは再建支援契約に基づき、預託金をWolfspeedの転換社債・普通株式などに変えることに合意し、為替影響を含めて2,366億円の損失を「金融費用」に計上しました。これが最終赤字の主な原因です
② 自動車市場の軟化
- 自動車向けの売上収益は9.0%減りました
③ 買収に伴う償却と見通し
- 過去の大型買収による無形資産の償却が続いています。2026年12月期の配当予想は未定です
5. ライバルとの比較
同じく半導体にかかわるアドバンテスト(半導体テスタ)と比べます。製品・決算期・利益の指標が違うので、ごくおおまかな比較です。
| ルネサス(2025年12月期) | アドバンテスト(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上 | 1兆3,212億円(−2.0%) | 1兆1,286億円(+44.7%) |
| 営業利益(IFRS) | 2,012億円(15.2%) | 4,991億円(44.2%) |
| 当期利益 | −518億円 | 3,754億円 |
- アドバンテストはAI向けの先端半導体の検査で大きく伸び、ルネサスは自動車・産業向けが中心で、2025年は伸び悩みました(→アドバンテストの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ルネサスの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| Non-GAAPの売上総利益率・営業利益率 | 57.6%・29.3% | 決算概要 |
| セグメント別の売上収益 | 自動車向け6,397億円、産業・インフラ・IoT向け6,718億円 | 決算短信(セグメント) |
| Wolfspeed関連の動き | 2,366億円の損失、2026年1月に株式などを受領 | 決算短信(追加情報・後発事象) |
| 配当 | 年28円、2026年12月期は未定 | 決算短信 |
- IFRSとNon-GAAPの数字の差と、一度きりの損失を分けて見るのがポイントです
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。半導体を使う自動車の会社はトヨタの強みとは

プレ男本業の利益率は高いのに、出資先の会社の再建で大きな損失が出たんだね。本業と一度きりの損失は分けて見なきゃ
パワー半導体の会社はロームの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- ルネサスは、自動車・産業・インフラ向けのマイコン・SoC・アナログ半導体の会社
- 2025年12月期はNon-GAAP営業利益率29.3%、売上総利益率57.6%
- 最終損益はWolfspeedの再建に伴う損失2,366億円で518億円の赤字
- 自動車向けは市場の軟化で減収、産業・インフラ・IoT向けはインフラで増収
- 2026年12月期の配当は未定
参考文献
- ルネサスエレクトロニクス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)・決算概要(2026年2月5日). https://www.renesas.com/en/document/rep/earnings-report-year-ended-december-31-2025?language=ja (閲覧日:2026年10月10日)
- アドバンテスト. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月27日). https://www.advantest.com/ja/news/2026/a81o6o0000000heh-att/J_FR_FY2025_FN.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。