ロームの強みとは:LSIと半導体素子(SiCパワーデバイスなど)の半導体メーカー。2026年3月期は営業利益109億円で黒字転換の一方、BEV市場の成長見通しの下方修正でSiC事業の固定資産を中心に減損し、当期純損失1,584億円
ロームを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高4,811億円(+7.3%、自動車・民生機器・産業機器市場で増収)、営業利益109億円(前期は401億円の損失、構造改革による固定費削減)、経常利益192億円、親会社株主に帰属する当期純損失1,584億円(バッテリー式電気自動車(BEV)市場の成長見通しが想定を下回り、SiC事業の固定資産を中心に減損損失1,936億円)、ROE−19.2%、自己資本比率59.1%、EBITDA679億円。セグメント損益は、LSI245億円の利益(前期は損失)、半導体素子227億円の損失(前期459億円の損失)、モジュール35億円、その他41億円。年50円の配当、2027年3月期は売上高5,100億円・営業利益300億円・当期純利益290億円・年50円の予想。ルネサスエレクトロニクスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ロームって、営業利益は黒字なのに、最終的には大赤字なの?

メル美決算短信を見ると、電気自動車の市場が思ったほど伸びないとして、SiCという半導体の工場などの価値を大きく減らした(減損した)んだって
企業分析の連載、163社目はロームです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、同じ決算短信のPDF(IR資料の配信サービスに掲載)を使っています。比較には、この連載のルネサスエレクトロニクスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ローム株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
LSI(集積回路)、SiC・Siのパワーデバイスや発光ダイオードなどの半導体素子、プリントヘッドなどのモジュール、抵抗器をつくる会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,811億円 | +7.3% |
| 営業利益 | 109億円 | 前期 −401億円 |
| 営業利益率 | 2.3% | 前期 −8.9% |
| 経常利益 | 192億円 | 前期 −297億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純損益 | −1,584億円 | 前期 −501億円 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | −19.2% | 前期 −5.4% |
| 自己資本比率 | 59.1% | 前期 61.7% |
| 配当 | 年50円 | 前期 50円 |
- 売上高は、自動車・民生機器・産業機器の各市場で増えました。営業利益は、増収と前期の構造改革による固定費削減の効果で黒字に転換しました
- 一方、バッテリー式電気自動車(BEV)市場の成長見通しが従来の想定を下回ったため、SiC事業の固定資産を中心に多額の減損損失(減損損失の合計1,936億円)を計上し、当期純損失になりました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | セグメント損益 |
|---|---|---|---|
| LSI | 自動車のボディ向け・xEV向け、アミューズメント向け、サーバー向け | 2,184億円(+7.1%) | 245億円(前期は損失) |
| 半導体素子 | SiCパワーデバイスはxEV向けが堅調、Siパワーデバイス、半導体レーザー | 2,053億円(+9.7%) | −227億円(前期−459億円) |
| モジュール | プリントヘッド、車載向けLEDモジュール | 316億円(−3.0%) | 35億円(+30.9%) |
| その他 | 抵抗器(シャント抵抗など) | 259億円(+3.5%) | 41億円(+62.6%) |
- 売上高(外部顧客向け)は、LSIと半導体素子でそれぞれ4割強です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 構造改革の効果
- 生産拠点の再編、事業ポートフォリオの適正化、価格の適正化などの構造改革を進め、固定費の削減で営業黒字に戻りました。EBITDAは679億円(+56.6%)です
② LSIの回復
- LSIは、自動車のボディ向けやxEV向けの高付加価値商品、サーバー向けなどが伸び、245億円の黒字に転換しました
③ 厚い財務
- 自己資本比率は59.1%、現金及び現金同等物は4,287億円です
4. 弱み・リスク
① SiC事業とBEV市場
- 会社は、米国のEV優遇措置の縮小や、欧州の2035年以降の内燃機関搭載車の販売規制の見直しなどで、BEV市場の中期的な成長率は従来予測を下回る見込みとしています。半導体素子は227億円の損失が続いています
② 2年続けての最終赤字
- 当期純損失は前期の501億円から1,584億円に広がりました
③ 低い利益率
- 営業利益率は2.3%です
5. ライバルとの比較
車載半導体のルネサスエレクトロニクスと並べます。会計基準(ルネサスはIFRS)と決算期(ルネサスは12月期)が違うので、おおまかな比較です。
| ローム(2026年3月期) | ルネサス(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 4,811億円(+7.3%) | 1兆3,212億円(−2.0%) |
| 営業利益 | 109億円 | 2,012億円(−9.8%) |
| 営業利益率 | 2.3% | 15.2% |
| 当期純損益 | −1,584億円 | −518億円 |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 59.1% | 58.5% |
- どちらも減損などで最終赤字でしたが、本業の利益率はルネサスが大きく上回ります(→ルネサスエレクトロニクスの強みとは)。電子部品の会社は村田製作所の強みとは、自動車部品はデンソーの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ロームの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 半導体素子のセグメント損益(SiCを含む) | −227億円 | 決算短信(セグメント別概況) |
| LSIのセグメント利益 | 245億円 | 決算短信(セグメント別概況) |
| 減損損失 | 1,936億円 | 決算短信(損益計算書) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高5,100億円、営業利益300億円、当期純利益290億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年50円、2027年3月期予想50円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男本業は黒字に戻ったけど、SiCの減損で大きな最終赤字なんだね。半導体素子の赤字が縮むかを見ておこう
まとめ
- ロームは、LSIと半導体素子(SiCパワーデバイスなど)が中心の半導体メーカー
- 2026年3月期は営業利益109億円で黒字転換、構造改革の効果
- BEV市場の成長見通しの下方修正でSiC事業を中心に減損、当期純損失1,584億円
- LSIは黒字転換、半導体素子は227億円の損失
- 2027年3月期は営業利益300億円・当期純利益290億円の予想
参考文献
- ローム. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.daiwair.co.jp/td_download.cgi?c=6963&i=3203502 (閲覧日:2026年10月12日)
- ルネサスエレクトロニクス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)・決算概要(2026年2月5日). https://www.renesas.com/en/document/rep/earnings-report-year-ended-december-31-2025?language=ja (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。