レゾナック・ホールディングスの強みとは:AI向けなどの半導体後工程材料を含む「半導体・電子材料」がコア営業利益のほぼすべて。2025年12月期はコア営業利益1,091億円(+18.4%)、事業譲渡にともなう減損で営業利益467億円(−47.6%)
レゾナック・ホールディングスを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益1兆3,471億円(−3.2%)、コア営業利益1,091億円(+18.4%、コア営業利益率8.1%)、営業利益467億円(−47.6%、Fiamm Energy Technologyなど複数事業の譲渡の意思決定にともなう減損損失、前期の旧本社土地建物の売却益の反動)、親会社の所有者に帰属する当期利益290億円(−60.5%)、ROE4.3%、親会社所有者帰属持分比率33.2%。セグメントのコア営業利益は、半導体・電子材料1,084億円(+47.0%、AIなど先端半導体向けの後工程材料の販売数量増)、イノベーション材料104億円、クラサスケミカル47億円、モビリティ44億円、ケミカルは55億円の損失(黒鉛電極の市況低迷)。年65円の配当、2026年12月期はコア営業利益1,400億円・営業利益1,050億円・年65円の予想。信越化学工業・三菱ガス化学との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美レゾナックって、何で稼いでいる会社なの?

プレ男決算短信を見ると、AI向けなどの半導体の材料で、コア営業利益のほとんどを稼いでいるんだって
企業分析の連載、182社目はレゾナック・ホールディングスです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の信越化学工業の強みとは・三菱ガス化学の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、レゾナック・ホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
半導体の前工程・後工程の材料やHDメディアなどの「半導体・電子材料」を中心に、樹脂成形品・摩擦材などのモビリティ、イノベーション材料、黒鉛電極などのケミカル、石油化学のクラサスケミカルを手がける化学の会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆3,471億円 | −3.2% |
| コア営業利益(会社の指標) | 1,091億円 | +18.4% |
| コア営業利益率 | 8.1% | 前期 6.6% |
| 営業利益 | 467億円 | −47.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 290億円 | −60.5% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 4.3% | 前期 12.0% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 33.2% | 前期 30.6% |
| 配当 | 年65円(配当性向40.5%) | 前期 65円 |
- コア営業利益は、営業利益から非経常的な損益や減損損失を除いた、会社の指標です
- 営業利益は、前期に旧本社の土地建物の売却益があった反動と、Fiamm Energy Technologyなど複数の事業の譲渡の意思決定にともなう減損損失で大きく減りました
2. 何で稼いでいるか
当期から報告セグメントの区分を変更しています。
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上収益 | コア営業利益 |
|---|---|---|---|
| 半導体・電子材料 | 後工程材料はAIなど先端半導体向けで増加、HDメディアはデータセンター向けが堅調 | 5,063億円(+13.7%) | 1,084億円(+47.0%) |
| イノベーション材料 | 自動車市場の低迷で一部製品の需要が減少 | 922億円(−4.9%) | 104億円(−8.1%) |
| クラサスケミカル | ナフサ価格の下落、製品市況の下落 | 3,003億円(−8.9%) | 47億円(−45.5%) |
| モビリティ | 二次電池外装材・食品包装材などの事業譲渡 | 1,784億円(−10.9%) | 44億円(−30.7%) |
| ケミカル | 化学品は増益、黒鉛電極は市況低迷で赤字拡大 | 1,744億円(−14.0%) | −55億円 |
- コア営業利益の合計(その他・調整額を含む)1,091億円に対し、半導体・電子材料だけで1,084億円です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① AI向けの半導体後工程材料
- 半導体後工程材料は、主にAIなどの先端半導体向けの販売数量が増えました。半導体・電子材料のコア営業利益は+47.0%です
② データセンター向けのHDメディア
- HDメディアは、データセンター向けの需要が堅調でした
③ 事業ポートフォリオの入れ替え
- 二次電池外装材・食品包装材などの事業譲渡や、Fiamm Energy Technologyなどの譲渡の意思決定を進め、半導体材料に経営資源を集中しています
4. 弱み・リスク
① 減損と最終利益
- 事業譲渡の意思決定にともなう減損で、営業利益は47.6%減、当期利益は60.5%減りました
② 半導体への集中
- 利益のほとんどが半導体・電子材料です。NANDの需要の回復ペースが緩やかなことや、SiCエピタキシャルウェハーがEV市場の成長鈍化で横ばいだったことも挙げられています
③ 自己資本の比率
- 親会社所有者帰属持分比率は33.2%です
5. ライバルとの比較
化学の会社と並べます。会計基準(信越化学・三菱ガス化学は日本基準)と決算期(ほか2社は3月期)、利益の指標が違うので、おおまかな比較です。
| レゾナックHD(2025年12月期) | 信越化学工業(2026年3月期) | 三菱ガス化学(2026年3月期) | |
|---|---|---|---|
| 売上 | 1兆3,471億円(−3.2%) | 2兆5,739億円(+0.5%) | 7,382億円(−4.6%) |
| 利益(コア営業/営業) | 1,091億円(コア) | 6,352億円(営業) | 453億円(営業) |
| 利益率 | 8.1% | 24.7% | 6.1% |
| ROE | 4.3% | 10.4% | −6.1% |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 33.2% | 78.7% | 58.1% |
- 3社とも半導体関連の材料が伸びていますが、利益率と財務は信越化学が大きく上回ります(→信越化学工業の強みとは、三菱ガス化学の強みとは)。半導体パッケージ基板はイビデンの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
レゾナックHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 半導体・電子材料のコア営業利益 | 1,084億円 | 決算短信(セグメント別概況) |
| コア営業利益と営業利益の差 | 1,091億円と467億円 | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上収益1兆3,100億円、コア営業利益1,400億円、営業利益1,050億円、当期利益770億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年65円、2026年12月期予想65円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美半導体の材料に集中する会社に変わってきているのね。減損が出なくなって、営業利益がコア営業利益に近づくかを見ておきたいな
まとめ
- レゾナックHDは、半導体・電子材料が利益のほとんどを占める化学の会社
- 2025年12月期はコア営業利益1,091億円(+18.4%)
- AI向けなどの後工程材料が伸びた
- 事業譲渡にともなう減損で営業利益467億円(−47.6%)
- 2026年12月期はコア営業利益1,400億円・営業利益1,050億円の予想
参考文献
- レゾナック・ホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/40040/140120260213561241.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三菱ガス化学. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.mgc.co.jp/ir/files/260513-3.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。