空売りのルール:持っていない株を借りて先に売り、値下がりしたら買い戻して返す取引。注文時に「空売り」と明示する義務、株価が10%以上下がると発動する価格規制、0.2%以上の残高の報告義務がある。損失に上限がないのが大きなリスク
空売りのしくみと規制を、日本取引所グループ(JPX)の「空売り規制」と「信用取引の目的・仕組み」のページでまとめました。空売りは、株を持たずに、または借りて売ること。信用取引の売りも含まれます。金融商品取引法と施行令により、①空売りかどうかの明示・確認義務、②価格規制(株価下落局面では直近公表価格以下の空売りを禁止。基準値段から10%以上下落したときだけ発動する「トリガー方式」)、③発行済株式総数の0.2%以上の空売り残高の報告義務(0.5%以上は取引所が公表)があります。制度信用取引の売りでは、株が不足すると品貸料(逆日歩)を払うことも。値上がりには上限がないため、損失にも上限がありません。

プレ男株が下がっても、もうけられる方法があるって聞いた。「空売り」っていうんでしょ?

メル美でも、逆に上がり続けたら、どこまでも損するんじゃない…?
今回は、空売りのしくみと規制です。日本取引所グループ(JPX)「空売り規制」と「信用取引の目的・仕組み」のページで確認しました。
この記事はしくみとリスクの説明です。空売りをすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
空売りとは
JPXによると、空売りとは「有価証券を有しないでもしくは有価証券を借り入れてその売付けをすること」です。
| 注文 | 種類 | 内容 |
|---|---|---|
| 実売り | — | 自分が持っている株を売る |
| 空売り | 信用取引による空売り | 証券会社から株を借りて売る |
| 信用取引以外の空売り | 株主との交渉・契約などで株を借りて売る |
もうかるしくみと損するしくみ
あくまで仮の計算です(手数料・金利・貸株料などは入れていません)。株価1,000円の株を100株借りて売ったとします。
| その後の株価 | 買い戻す金額 | 損益 |
|---|---|---|
| 800円に下がった | 8万円 | +2万円 |
| 1,200円に上がった | 12万円 | −2万円 |
| 3,000円に上がった | 30万円 | −20万円 |
- 株価の下落は0円までですが、上昇には上限がありません。そのため、空売りの損失にも上限がありません
- ストップ高が続くと、買い戻したくても買えないこともあります
3つの規制(金融商品取引法・施行令)
① 明示・確認義務(施行令26条の3)
- 売り注文を出すときは、それが空売りかどうかを明示しなければなりません。注文を受けた証券会社なども、取引所に空売りかどうかを明示します
② 価格規制(施行令26条の4)
- 株価が上昇局面のときは、直近公表価格未満、下落局面のときは、直近公表価格以下の値段での空売りが禁止されます
| 値動き | 局面 | 101円での空売り | 100円での空売り |
|---|---|---|---|
| 100円→101円 | 上昇 | できる | できない |
| 102円→101円 | 下落 | できない | できない |
- この価格規制はいつもかかっているわけではありません。基準値段から10%以上下落した場合だけ発動する「トリガー方式」です
- 10%以上下落したその瞬間から翌日の取引終了まで規制がかかり、翌々日には戻ります。10%以上下がる日が続くと、規制も続きます
- JPXは、トリガーが発動した銘柄の一覧を毎日公表しています
③ 残高報告(施行令26条の5)
- 空売りの残高が発行済株式総数の0.2%以上になると、証券会社に残高情報を提供する義務があり、証券会社が取引所に報告します
- 取引所は、そのうち0.5%以上のものをウェブサイトなどで公表しています

プレ男急に10%下がった株は、それ以上たたき売れないようにブレーキがかかるんだ
信用取引の空売りのコスト
- 信用取引で株を借りて売るときは、委託保証金(約定代金の30%以上・最低30万円)が必要です(→デイトレードのしくみとリスク)
- 制度信用取引では、証券会社が株を調達できず株不足になると、入札で決まる品貸料(逆日歩)がつくことがあります。品貸料がつくと、その銘柄を制度信用取引で売っている人はそれを支払い、買っている人は受け取ります(JPX)
- 制度信用取引の返済期限は6か月以内です
気をつけたいこと
- 空売りを使って、うわさを流して株価を下げる行為は、風説の流布や相場操縦として禁止されています
- 公表前の悪い情報を知って空売りするのは、インサイダー取引です(→インサイダー取引規制)
保証金を担保に売買する取引は信用取引のしくみとリスクへ。
まとめ
- 空売りは、株を借りて先に売り、あとで買い戻して返す取引。信用取引の売りも含む
- 損失に上限がないのが最大のリスク
- 規制は、①空売りの明示、②10%下落で発動する価格規制(トリガー方式)、③0.2%以上の残高報告(0.5%以上は公表)
- 制度信用の売りでは逆日歩を払うことがある
参考文献
- 日本取引所グループ. 空売り規制. https://www.jpx.co.jp/equities/trading/regulations/02.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 日本取引所グループ. 信用取引の目的・仕組み(2023年1月10日更新). https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/01.html (閲覧日:2026年10月5日)
- 日本取引所グループ. 用語集 委託保証金. https://www.jpx.co.jp/glossary/a/15.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。