三井住友トラストグループの強みとは:三井住友信託銀行を中心に、法人・個人・投資家・不動産・資産運用の手数料で稼ぐ信託銀行グループ。2026年3月期は当期純利益3,175億円(+23.3%)で過去最高。株主還元は総還元性向50%以上に変更
三井住友トラストグループを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日、東証の適時開示)で分析しました。経常収益2兆9,835億円(+2.1%)、実質業務純益3,474億円(−145億円、債券ポートフォリオの健全化による損失)、経常利益4,015億円(+9.2%、政策保有株式の売却で株式等関係損益1,388億円)、親会社株主に帰属する当期純利益3,175億円(+23.3%)は過去最高、ROE9.5%。セグメントの実質業務純益は、法人1,970億円、投資家860億円、個人561億円、不動産467億円、運用ビジネス340億円、マーケット−192億円。円金利の上昇、組合出資関連収益の増加、法人与信・資産運用・資産管理の手数料が好調。株主還元を総還元性向50%以上に変え、配当は政策保有株式の売却損益を除く修正純利益の50%程度を目安に。年185円(分割前)の配当、2026年8月1日に1株→4株の株式分割。2027年3月期は当期純利益3,800億円の予想。りそなホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美信託銀行って、ふつうの銀行と何が違うの?

プレ男決算短信を見ると、収益に「信託報酬」や資産運用・資産管理の手数料が多く出てくるよ
企業分析の連載、103社目は三井住友トラストグループです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のりそなホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三井住友トラストグループ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の金融商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
三井住友信託銀行を中心に、法人・個人・投資家(年金など)・不動産・資産運用の5つのお客さま向けサービスと、マーケット業務を手がける信託銀行グループ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 2兆9,835億円 | +2.1% |
| 実質業務純益(本業のもうけ) | 3,474億円 | −145億円 |
| 経常利益 | 4,015億円 | +9.2% |
| うち株式等関係損益 | 1,388億円 | +574億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,175億円 | +23.3% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 9.5% | 前期 8.3% |
| 配当 | 年185円(分割前、配当性向40.9%) | 前期 155円 |
- 実質業務純益は、円金利の上昇や組合出資関連収益の増加で資金関連損益が良くなり、法人与信・資産運用・資産管理などの手数料も好調でしたが、債券ポートフォリオの健全化による損失を出したため、前期より減りました
- 経常利益は、政策保有株式の売却が進んで株式等関係損益が増えたことで増えました。当期純利益は過去最高です
2. 何で稼いでいるか
セグメントごとの実質業務純益(社内の管理の数字)です。
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 実質業務粗利益 | 実質業務純益 |
|---|---|---|---|
| 法人 | 法人のお客さまへのサービス | 3,118億円 | 1,971億円 |
| 投資家 | 投資家のお客さまへのサービス | 1,769億円 | 860億円 |
| 個人 | 個人のお客さまへのサービス | 2,485億円 | 562億円 |
| 不動産 | 不動産事業のサービス | 807億円 | 467億円 |
| 運用ビジネス | 資産運用のサービス | 1,119億円 | 340億円 |
| マーケット | マーケティング、マーケットメイク、投資、財務マネージ | 70億円 | −192億円 |
- 実質業務純益は法人がいちばん大きく、セグメント合計3,475億円のうち約57%です(その他を含む合計に対する計算値)
- 信託報酬は1,254億円(前期1,209億円)です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 手数料の事業
- 法人与信関連、資産運用・資産管理などの手数料関連利益が好調でした
② 金利上昇の追い風
- 円金利の上昇による影響などで、資金関連損益が改善しました
③ はっきりした株主還元の方針
- 株主還元の方針を変え、総還元性向50%以上を目安にしました。1株当たり配当は累進的としつつ、政策保有株式の売却損益を除いた「修正純利益」の50%程度を目安に決めるとしています(→配当方針の読み方)
4. 弱み・リスク
① 債券の損失
- 2026年3月期は、債券ポートフォリオの健全化による損失で、実質業務純益が減りました。金利の動きで債券の評価は変わります
② 政策保有株式の売却益に頼る部分
- 経常利益の増加は、政策保有株式の売却による株式等関係損益によるものです。会社自身も、配当を決めるときはこの売却損益を除いた利益を使うとしています
③ マーケット事業の赤字
- マーケットの実質業務純益は−192億円でした
5. ライバルとの比較
銀行グループのりそなホールディングスと比べます。りそなは個人と中小企業向けの銀行が中心で、事業の中身が違うので、おおまかな比較です(どちらも日本基準・2026年3月期)。
| 三井住友トラストG | りそなHD | |
|---|---|---|
| 経常収益 | 2兆9,835億円 | 1兆3,572億円 |
| 実質業務純益 | 3,474億円 | 2,982億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,175億円(+23.3%) | 2,587億円(+21.3%) |
| ROE | 9.5% | 9.2% |
- 利益の規模は三井住友トラストGが少し大きく、ROEはほぼ同じです(→りそなホールディングスの強みとは)。メガバンクは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三井住友トラストGの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 実質業務純益 | 3,474億円 | 決算短信(経営成績の概況) |
| 株式等関係損益 | 1,388億円 | 決算短信(経営成績の概況) |
| セグメント別の実質業務純益 | 法人1,971億円など | 決算短信(セグメント情報) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 実質業務純益4,200億円、当期純利益3,800億円 | 決算短信(今後の見通し) |
| 配当 | 年185円(分割前)、2027年3月期予想は分割後で年47.5円 | 決算短信 |
- 2026年8月1日に1株→4株の株式分割をしています(→株式分割と投資単位)
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美貸し出しの利息だけじゃなく、資産運用や管理の手数料でも稼いでいるのね。株の売却益を除いた利益も見ておきたいな
まとめ
- 三井住友トラストGは、三井住友信託銀行を中心とした信託銀行グループ
- 2026年3月期は当期純利益3,175億円(+23.3%)で過去最高
- 実質業務純益は3,474億円。いちばん稼いでいるのは法人
- 利益には政策保有株式の売却益が含まれる
- 株主還元は総還元性向50%以上に変更。2027年3月期は当期純利益3,800億円の予想
参考文献
- 三井住友トラストグループ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/83090/140120260513528737.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- りそなホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.resona-gr.co.jp/holdings/investors/ir/kessan/pdf/20260512_1a.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。